ノートPCを買い替えようとして、Windows機の価格上昇に頭を悩ませた経験はないだろうか。多くのメーカーがコスト増に直面し、製品価格を押し上げざるを得ない状況にある。一方で、AppleのMacBookは市場の逆風を無視して成長を続けている。市場全体が8%縮小し、HPも11%減という逆風の中で、Appleは21.7%増を予測されている。この差はメモリコスト上昇への対抗方法に隠れているのだ。

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1億8,110万台へ縮小するノートPC市場の停滞

Sigmaintel社の2026年出荷予測によれば、ノートPC市場全体は約1億8,110万台まで縮小する。これは前年比で約8%の減少にあたる。米中間の関税問題によるコスト増が市場に不確実性をもたらし、多くのメジャーベンダーが成長を止める要因となった。

HPは出荷台数が約11%減少する見込みだ。2025年初頭には関税回避のための駆け込み需要でMacBookの出荷が一時的に急増したが、中長期的なトレンドは下降線にある。市場の縮小と政治的リスクが、PCメーカーの経営を圧迫する。

21.7%成長でDellを追い抜くAppleの予測数値

Appleは2026年に2,800万台のノートPC出荷を達成する見込みだが、これは前年比で21.7%という高い成長率だ。この数値により、AppleはDellの予測出荷台数2,250万台を上回り、世界3位のポジションに就く。

2026年第1四半期のMac出荷台数も、アナリストの集計で9%から11%の増加を記録した。特にM4チップを搭載したMacBook Airが、2025年第1四半期の17%増という成長を強力に牽引している。業界全体が沈む中で、唯一意味のある成長を続けるOEMだ。

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主要ベンダーに見る2026年の出荷台数予測対比

上位ベンダー間の順位変動をまとめると、構造的な変化が鮮明になる。Lenovoが4,300万台の予測で1位を維持する一方、2位のHPは台数減に転じた。Appleは急成長し、Dellを抜いて3位に浮上する。

メーカー 2026年予測出荷台数 市場ポジション 傾向
Lenovo 4,300万台 1位 維持
HP 非公開(前年比約11%減) 2位 後退
Apple 2,800万台 3位(予測) 21.7%増
Dell 2,250万台 4位(予測) 後退

AppleとDellの差は、予測値ベースで約550万台にまで広がる。市場全体がマイナス成長に転じる中で、20%を超える成長率を叩き出すのは異例中の異例だ。

DRAMコスト上昇を無効化するユニファイドメモリの仕組み

Windows PCの多くは、CPUとメモリ(DRAM)が別々のチップとして基板上に配置される構造を持つ。DRAMの市場価格が高騰すると、そのまま部品コストの増大となり、販売価格へ転嫁される。これが現在のWindows機における価格上昇の主因だ。

Appleシリコンは、CPU、GPU、そしてメモリを一つのパッケージに統合する「ユニファイドメモリアーキテクチャ(UMA)」を採用する。メモリをSoC(System on a Chip)のダイ上に直接配置し、共通のメモリプールを全プロセッサで共有する設計だ。

この構造では、データ転送のために外部バスを経由する必要がない。M4チップの場合、メモリ帯域幅は最大120GB/sに達し、CPUとGPUが同一のメモリ空間に直接アクセスできる。個別のDRAMモジュールを大量に調達して実装する従来方式に比べ、部品調達コストを根本から削減できる設計だ。

Appleがこの設計を完遂できたのは、M1チップ以降の垂直統合戦略によるものだ。自社でチップ設計からOSまでを制御することで、メモリ割り当ての最適化をソフトウェアレベルで実現した。対してWindows陣営では、AMDのStrix Pointなどでメモリ帯域の向上を図っているが、依然として汎用DRAMモジュールの価格変動に依存する構造から脱却できていない。

DRAMコストが高騰する2026年においても、AppleはMacBookの価格を据え置くか引き下げさえ可能な立場にある。これに対してWindows PCメーカーは価格転嫁を余儀なくされており、それが出荷台数の差となって現れている。2026年のノートPC市場は、メモリ設計の選択が競争力の分岐点となる年として記録されるだろう。