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Apple、iOS 26を正式発表:iPhoneを再定義する「Liquid Glass」デザインとAIの進化

Y Kobayashi

2025年6月10日6:22AM

Appleは年次開発者会議WWDC 2025の基調講演で、次期iPhone向けOS「iOS 26」を正式に発表した。今回のアップデートは、2013年のiOS 7以来となる抜本的なデザイン刷新「Liquid Glass」の導入と、AI機能「Apple Intelligence」の進化が、iPhoneのユーザー体験を大きく変える物となる可能性を秘めたものだ。これは、Appleが描く次世代のモバイルコンピューティングの姿そのものと言えるかもしれない。

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デザイン哲学の転換:ガラスの透明感が織りなす「Liquid Glass」

前の記事で詳しく取り上げたが、今回の発表で最も話題となるのが、間違いなくそのビジュアルだろう。Appleは「Liquid Glass」と名付けられた全く新しいデザイン言語を導入した。これは、visionOSで示された空間コンピューティングの思想をモバイルに持ち込む試みとも見て取れる。

特徴的なのは、ガラスのような透明感(トランスペアレンシー)、光の屈折や反射を表現したUIコンポーネントだ。一部のテックメディアからは、かつてのWindows Vistaが採用した「Aero Glass」を彷彿とさせるとの声も上がっているが、Appleはこれを現代的に再解釈。Safariのタブバーや各種アプリのツールバーはコンテンツの上に浮遊(フローティング)し、スクロールに応じて動的にサイズを変えることで、画面領域を最大限に活用しつつ、必要な機能にスムーズにアクセスできる。

この新しいデザインは、ロック画面やホーム画面にも及ぶ。ロック画面では、壁紙の写真に合わせて時刻表示が流体のように伸縮し、被写体を避けるようにレイアウトされる。さらに、一部の壁紙ではユーザーの動きに合わせて奥行きが感じられる3Dエフェクトも実現。日常的に目にする画面が、より表現豊かでパーソナルな空間へと進化する。

また、今回のアップデートでは命名規則も変更された。順当にいけば「iOS 19」となるはずだったが、今後はリリースされる西暦にちなんで「iOS 26」と呼称される。これはmacOSやwatchOSも同様で、Appleエコシステム全体でのブランディング統一を図る狙いがあると考えられる。

iPhoneの「頭脳」が覚醒:Apple Intelligenceの進化

見た目の変化に劣らず、内部の進化も著しい。AppleのオンデバイスAI「Apple Intelligence」は、iOS 26でその能力を大幅に拡張し、より実用的で強力なツールへと変貌を遂げた。

言葉の壁をなくす「ライブ翻訳」

最も注目すべき機能の一つが、リアルタイム翻訳「ライブ翻訳」だ。メッセージ、FaceTime、そして通常の電話通話において、異なる言語を話す相手とのコミュニケーションをAIが瞬時に翻訳してくれる。Appleが強調するのは、この処理がApple製のモデルによって完全にオンデバイスで実行される点だ。これにより、プライベートな会話が外部のサーバーに送信されることなく、プライバシーが強固に保護される。

画面上のすべてが情報源になる「ビジュアルインテリジェンス」

ビジュアルインテリジェンスは、ユーザーがiPhoneの画面上で見ているものすべてを文脈として理解し、アクションを可能にする機能だ。例えば、SNSの投稿写真に写っているジャケットをスクリーンショットに撮り、ビジュアルインテリジェンスを使ってGoogleなどで類似商品を検索できる。また、イベントの告知画面を認識し、日付や場所といった情報を自動でカレンダーに登録する提案もしてくれる。さらに、画面上の内容についてChatGPTに質問することも可能になるという。

表現の幅を広げるクリエイティブツール

ユーモラスな表現を生み出す「ジェン文字」も進化し、2つの既存絵文字を組み合わせて全く新しい絵文字を生成できるようになった。また、画像生成AI「Image Playground」はOpenAIのChatGPTと連携し、より高度な画像生成が可能になる。

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日常体験の再構築:電話、メッセージ、カメラが劇的進化

iOS 26は、私たちが毎日使う基本的なアプリの体験も根本から見直している。

電話アプリ:AIアシスタントが煩わしさを解消

長年大きな変化のなかった電話アプリは、UIが刷新され、お気に入り、履歴、留守番電話が一つの画面に統合された。しかし、真の革新はAI機能にある。

  • 通話スクリーニング:かかってきた電話にAIが代理で応答し、相手の用件を聞き出してテキストで表示する。これにより、ユーザーは電話に出る前に重要な連絡かどうかを判断できる。GoogleのPixelシリーズが先行していた機能だが、ついにiPhoneにも搭載される。
  • 保留アシスト:コールセンターなどへの電話で保留になった際、煩わしい保留音をミュートし、オペレーターが応答した瞬間に通知してくれる。

メッセージアプリ:コミュニケーションがより豊かに

メッセージアプリも大幅に機能強化された。カスタム背景の設定や、Image Playgroundで生成した画像の背景適用が可能になる。また、グループチャットでは、長らく待たれていた「入力インジケータ(誰が入力中か分かる表示)」や、意見集約に便利な「投票機能」が追加される。

カメラと写真アプリ:スピードと利便性の追求

カメラアプリは、写真とビデオという最も利用頻度の高い2つのモードに焦点を当てた、シンプルでクリーンなレイアウトに再設計された。スローモーションやパノラマといった他のモードにはスワイプで素早くアクセスできる。

一方、写真アプリでは、iOS 18の刷新で一部ユーザーから惜しむ声が上がっていた「ライブラリ」と「コレクション」のタブ表示が復活。多くのユーザーにとって、より直感的な操作性が戻ってきたと言えるだろう。

エンタメとライフスタイルのアップデート

日常のコミュニケーションツールだけでなく、生活を彩る各サービスも大きく進化する。

  • Apple Music:歌詞をリアルタイムで翻訳する「Lyrics Translation」や、正しい発音をガイドする「Lyrics Pronunciation」を搭載。さらに、AIが曲間をDJのようにスムーズに繋ぐ「AutoMix」機能も追加される。
  • マップ:「訪問した場所」機能により、訪れたレストランや店舗などを自動で記録し、後から振り返ることができる。
  • Apple Wallet:搭乗券が刷新され、フライト情報をリアルタイムで表示するライブアクティビティに対応。空港の屋内マップにもアクセスしやすくなる。
  • Gamesアプリ:新たに専用の「Games」アプリが登場。App Storeで購入したゲームやApple Arcadeのライブラリを一元管理し、友達のプレイ状況を確認したり、スコアを競ったりできるハブとなる。
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対応機種とリリース時期:あなたのiPhoneは対応しているか?

iOS 26は、2024年秋に正式リリースされる予定だ。開発者向けベータ版はWWDC基調講演直後の本日より、パブリックベータ版は7月に提供が開始される。

対応機種はiPhone 11以降とされている。ただし、ライブ翻訳やビジュアルインテリジェンスといった「Apple Intelligence」を駆使する高度な機能については、処理能力の要求からiPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max以降、およびM1チップ以降を搭載したiPadとMacなど、特定のデバイスに限定される点には注意が必要だ。

総括:Appleが示す「統合」と「洗練」の真価

iOS 26は、Appleのデザイン哲学の新たなステージへの移行であり、AIとの共存を本格化させるための布石だ。

「Liquid Glass」デザインは、見た目の美しさだけでなく、情報をより直感的に、そして没入感を持ってユーザーに届けるための機能的な進化だ。また、通話スクリーニングやライブ翻訳といった新機能の多くは、競合であるAndroidプラットフォームで既に見られたものかもしれない。しかし、Appleの真骨頂は、それらの機能を単に模倣するのではなく、プライバシーを最優先するオンデバイス処理を基本とし、OSの隅々までシームレスに「統合」することで、誰にとっても使いやすく洗練された体験へと昇華させる点にある。

iOS 26は、iPhoneというデバイスが、単なる通信機器から、ユーザーの思考を拡張し、日常のあらゆる障壁を取り除く、真にインテリジェントなパートナーへと進化していく未来を明確に指し示していると言えるだろう。


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