OpenAIは9月29日のDevDayで、月額500ドルの「Pro 500」と、GPT-6 Astraの生成を高速化する「Ultrafast」を発表した。個人向けProは100ドル、200ドル、500ドルの3段階となり、Google Play経由の日本価格はそれぞれ月額16,800円、30,000円、84,000円となっている。Ultrafastを利用できるのは、このうちPro 500だけだ。

Codexでは標準モードと比べて最大8倍のトークン生成速度をうたう一方、Ultrafastを使うと定額プランに含まれる利用枠も速く消費する。

月額84,000円を払うことで、実際の仕事がどれだけ速く進むのか。これを考えるには、モデルの出力を待つ時間と、一定期間に利用できる総量を分けて見る必要がある。DevDayの公式案内とProのプラン説明から、その条件を整理する。

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月額84,000円で加わるAstra Ultrafast

Pro 500は、3種類のProプランのうち最大の利用枠と、Astra Ultrafastへのアクセスを組み合わせた個人向け最上位プランだ。

OpenAIが案内する米ドル価格と、Google Play経由で確認できる日本価格を並べると次のようになる。

個人向けプラン 米国価格 Google Play経由の日本価格 Astra Ultrafast
Pro 100 100ドル/月 16,800円/月 利用不可
Pro 200 200ドル/月 30,000円/月 利用不可
Pro 500 500ドル/月 84,000円/月 利用可能

日本価格はGoogle Play経由での表示価格。契約経路によって価格や請求条件が異なる場合がある。

Pro 200からPro 500へ上げると、米国価格では月額300ドル増、日本のGoogle Play価格では月額54,000円増となる。料金は米国価格で2.5倍、日本価格では2.8倍だ。

ただし、料金が2.5倍や2.8倍だからといって、モデルの性能や処理できる仕事量が同じ倍率で増えるわけではない。

Pro各プランでは高度なモデルやCodex、ChatGPT Workなどを利用できる。Pro 500では、その利用枠をさらに増やしたうえで、Astraを高速で実行できるUltrafastを個人ユーザー向けに追加している。

追加クレジットを購入すれば同じ機能を使えるわけでもない。

OpenAIは、提供開始時点ではPro 100やPro 200の利用者が追加クレジットを購入してもAstra Ultrafastは利用できないと明記している。従来のPro 200の利用枠を一定期間維持できる既存ユーザーにも、Ultrafastは付かない。

つまり、「使える量を追加すること」と「Ultrafastを利用できること」は別の条件だ。

「最大8倍」になるのは仕事全体ではなく、トークン生成速度

OpenAIの速度設定の説明によると、Astra UltrafastがCodexで最大8倍に高速化するのは、標準モードと比較したトークンの生成速度だ。

トークンとは、モデルが文章やコードを読み書きするときに処理する単位である。出力速度が上がれば、長いコードや回答が表示されるまでの待ち時間を短縮できる。

ただし、Codexで一つの作業を完了するまでには、モデルが文章やコードを生成する以外の時間もかかる。

例えば、

  • ファイルを読み込む
  • 外部サービスから情報を取得する
  • コマンドを実行する
  • テストを走らせる
  • ビルドを待つ
  • 利用者が結果を確認する

といった処理だ。

OpenAIは、こうした作業まで一律に8倍速くなるとは説明していない。UltrafastはAstraの出力速度を高めるモードであって、推論能力や回答の正確さが8倍になるという意味でもない。

例えば、あるCodexの作業に合計10分かかり、そのうちモデルの生成待ちが2分、ツール実行やテストなどが8分だったとする。

生成部分だけが8倍速になり、ほかの処理時間が変わらなければ、

8分 + 2分 ÷ 8 = 8分15秒

となる。

合計時間は10分から8分15秒へ短縮されるが、作業全体が8分の1になるわけではない。

これはUltrafastの実測値ではなく、仕組みを説明するための単純な試算だ。それでも、「最大8倍」という数字を作業全体の速度と取り違えてはいけないことは分かる。

反対に、長いコードや文章を生成させ、その結果を見ながら何度も修正を指示するような仕事では、生成速度の向上による効果は大きくなる。

利用者自身が画面の前でモデルの出力を待つ時間を減らせれば、同じ1時間でも試せる修正や案を増やせる可能性がある。

つまり、Ultrafastの価値は「仕事の中で、モデルの生成待ちがどの程度を占めているか」で変わる。

API向けのUltrafastガイドでも、通信にかかる時間が高速化の効果を弱める可能性があるため、ツール呼び出しを多く行う処理では接続を維持できるWebSocketの利用を推奨している。

モデルそのものが速くても、その前後の処理に時間がかかれば、仕事全体への効果は小さくなる。

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Ultrafastは速い分、利用枠も多く消費する

Astra Ultrafastにはもう一つ重要な条件がある。

標準モードを基準にすると、Ultrafastは定額プランに含まれる利用枠を8倍、追加購入したクレジットを6倍の速度で消費する。

OpenAIの「Speed」に記載されたFastとUltrafastの条件を整理すると、次のようになる。

Astraの速度モード 定額内の利用枠の消費倍率 購入クレジットの消費倍率
Standard 1倍 1倍
Fast 2.5倍 2倍
Ultrafast 8倍 6倍

出典: OpenAI 「Speed」のFast/Ultrafast節。GPT-6 AstraのStandardを1とした消費倍率であり、速度そのものの倍率や、同じ料金で完了できるタスク数を示すものではない。

Pro 500でUltrafastを使う場合、まず契約に含まれる利用枠を消費する。その枠を使い切った後、対応する機能では追加購入したクレジットを使って処理を続けられる。

その際、定額内ではStandardの8倍、購入クレジットでは6倍という異なる消費倍率が適用される。

したがって、月額84,000円を払えばAstra Ultrafastを無制限に使えるわけではない。

同じモデルに同じ量の処理をさせると仮定した場合、Ultrafastを使うほど利用枠は速く減る。

Pro 500にはPro 100やPro 200より大きな利用枠が含まれるが、その大きな枠でUltrafastを実際にどの程度使い続けられるかは別の問題だ。

「生成が最大8倍速い」という数字だけを見て、1カ月にこなせる仕事も8倍になると考えると、この消費倍率を見落とすことになる。

実際の消費量は、入力する文脈の長さ、推論設定、ツールの利用量などによっても変わる。

OpenAIの料金ガイドも、APIのトークン単価を使って、サブスクリプションで実行できるタスク数を推定しないよう説明している。

Pro 500の月額500ドル、あるいは日本での84,000円という料金からAPI単価を使って「何件のタスクを実行できる」と計算することはできない。

CodexとChatGPT Workは同じ利用枠を使う

利用枠については、もう一つ注意すべき点がある。

ChatGPT WorkとCodexは、対象プランでは同じエージェント用の利用枠を共有する。

OpenAIの個人向けクレジットの説明によると、対象アカウントではExcelやPowerPoint、Wordでの対応処理も同じ枠を利用する。

つまり、

  • Codexでのソフトウェア開発
  • Workでの調査や資料作成
  • Officeアプリ内でのエージェント処理

に、それぞれ独立した利用枠が用意されているわけではない。

例えば午前中にCodexで大規模なコード修正を行い、午後にWorkで調査資料をまとめる場合、どちらも共通の残量を消費する。

午前中にUltrafastを多用すれば、コード生成の待ち時間は短くできる一方、その分だけ午後に利用できる枠が減る可能性がある。

「CodexからWorkへ移ったから利用枠もリセットされる」と考えると、予想より早く上限へ達した理由を取り違えることになる。

追加購入できるクレジットは、契約に含まれる利用枠がなくなった後も、対応する作業を続けるための手段になる。

ただし、クレジットを購入すればChatGPTのすべてのモデルや機能を追加利用できるわけではない。

また、Pro 100やPro 200のユーザーが同じクレジットを購入しても、Astra Ultrafastへのアクセス権が追加されるわけではない。

Pro 500の費用を考える場合には、月額84,000円に加え、必要に応じて購入する追加クレジットまで含めて考える必要がある。

そのうえで、待ち時間を短くする価値が大きい仕事だけUltrafastを使い、それ以外はStandardやFastを使うといった使い分けが重要になる。

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Pro 200との差額は月54,000円、年間なら648,000円

Pro 200からPro 500へ変更すると、米国価格では月額300ドル増える。

Google Play経由の日本価格では、Pro 200が月額30,000円、Pro 500が84,000円なので、差額は月54,000円となる。

1年間使い続ければ、

54,000円 × 12カ月 = 648,000円

で、年間648,000円の差になる。

この追加費用に見合うかを考えるとき、比較対象になるのは単なるベンチマーク性能ではなく、自分が毎日どれだけAstraの生成を待っているかだ。

同じDevDayで発表されたGPT-6.1 Solは、速度へ追加料金を払うこととは別の選択肢になる。

OpenAIは、GPT-6.1 Solについて、コーディング、コンピューター操作、専門的な業務などでAstraに近い性能を、標準APIではAstraの5分の1の入力・出力単価で提供すると説明している。

WorkとCodexではPlus以上のプランを対象に利用できるが、通常のChatにはまだ提供されていない。

Solでも自分の仕事に必要な品質を満たせるのであれば、すべての処理でAstraを使い、さらにUltrafastへ料金を払う必要があるのかは考え直せる。

一方、Astraでなければ十分な品質に届かず、その出力を待ちながら何度も修正を繰り返すような仕事では、生成待ちを短縮する価値が高くなる。

つまり、

安いモデルで必要な品質に到達することと、 同じAstraをより速く使うこと

は別の選択肢だ。

GPT-6.1 SolのAPI単価がAstraの5分の1だからといって、ChatGPTの定額プランで5倍の仕事を処理できることを意味するわけでもない。

Pro 500以外にもUltrafastの利用経路はある

Astra Ultrafastを利用できるのは、個人向けではPro 500だが、それだけが提供先ではない。

対象となるEnterpriseやEduにも提供される。

ただしEnterpriseではUltrafastは初期状態で無効となっており、ワークスペースの所有者が有効にする必要がある。

また、推論処理を米国外で行う必要がある組織は対象外となる。そのため、会社や利用者の所在地だけを見て利用できるかどうかを判断することはできない。

企業で導入する場合には、速度や料金だけでなく、管理者設定とデータ処理地域の要件も確認する必要がある。

API向けのUltrafastも用意されているが、これはPro 500とは別の従量課金サービスだ。

GPT-6 AstraをAPIからUltrafastで利用する場合は、API側の料金とレート制限が適用される。

Codexで自分のAPIキーを使用する場合についても、ChatGPT Pro 500の利用枠や追加クレジットではなく、APIのトークン料金が適用される。

ChatGPTのUltrafastとAPIのUltrafastは、同じ高速実行という名前でも、料金体系は分けて考える必要がある。

月額84,000円の価値は「待ち時間」で変わる

Pro 500とPro 200の日本価格の差は、月54,000円、年間では648,000円に達する。

この追加費用を判断する材料は、自分の仕事でどれだけAstraの出力を待っているか、そしてその待ち時間が短くなったことで何を増やせるかだ。

実際に評価するなら、同じ種類の仕事をStandardとUltrafastで実行し、

  • タスク開始から完了までの時間
  • モデルが生成している時間
  • ツールやテストを待っている時間
  • 消費した利用枠
  • 必要になった追加クレジット
  • 最終的な成果物の品質

を比べるとよい。

生成待ちが仕事の大きなボトルネックになっており、Ultrafastによって1日に処理できる仕事や試行回数を十分に増やせるのであれば、月額84,000円のPro 500には意味がある。

一方、テスト、ビルド、外部サービス、人による確認などに多くの時間を使う仕事では、最大8倍のトークン生成速度が、そのまま大きな時間短縮にはつながらない。

Pro 500は「Astraが8倍賢くなるプラン」でも、「仕事量が8倍になるプラン」でもない。

日本では月額84,000円という高額なプランである以上、評価すべきなのは最大速度そのものではなく、月54,000円の追加負担によって、自分の仕事でどれだけ待ち時間を減らし、その時間を別の作業へ回せるかである。