米空軍は、Boeingが開発する次期戦闘機F-47が設計・製造開発(EMD)段階に入り、現政権中に飛ぶとの方針を改めて示した。Defense Newsによると、最初のF-47は2028年の初飛行予定を維持しており、評価用の少数機が作られる。だが、2028年を米国の「第6世代機技術が初めて空を飛ぶ年」と捉えるのは正確ではない。DARPAが支援した2機のXプレーンは2019年と2022年に初飛行し、それぞれ数百時間を飛んでいる。
今回動いたのは、技術実証からF-47として統合された試験機を飛ばす工程である。米空軍が「前例のない成熟度」と呼ぶ背景には先行機の蓄積がある一方、機体のエンジン構成や実測性能はなお非公表だ。しかも次世代エンジンNGAPは、2030年頃の潜在的な機体統合作業に備えて開発が続く。2028年の初飛行は重要な節目だが、完成機の仕様や配備時期まで確定させる日付ではない。
2028年に飛ぶのは少数のEMD試験機
F-47を監督するDale White米空軍大将は、2026年7月29日付の公式発表で、同計画が「前例のない成熟度」でEMDに入ったと説明した。White氏の公式な表現は「F-47は現政権中に飛ぶ」である。Defense Newsは翌30日、初号機が2028年の初飛行へ向けて予定通り進んでいると報じた。
EMDは量産開始を意味しない。米空軍が2025年3月にBoeingへ与えた契約は、機体の全要素を成熟させ、統合し、試験する作業を対象とする。評価用として少数の試験機を生産し、低率初期生産の価格付きオプションも含む。試験機の数は公表されていない。
したがって、2026年7月の更新は「F-47の製造が初めて決まった」という発表ではない。EMD契約と少数試験機の計画は2025年3月に公表済みで、同年9月には当時の空軍参謀総長David Allvin氏が初号機の製造開始と2028年初飛行を明らかにしていた。今回の意味は、機体を実際に統合・評価する段階が進み、厳しい日程を空軍が現在も取り下げていない点にある。
初飛行と作戦配備の間にも距離がある。EMD機は飛行制御、構造、推進系からミッションシステムまでを試すための機体であり、飛んだ時点で部隊が使用できるわけではない。低率初期生産のオプションが契約に入っていても、空軍がそれを行使したことや、量産仕様が固まったことを示すものではない。
2019年と2022年のXプレーンが日程を縮めた
DARPAは2025年、F-47へつながる技術実証の経緯を初めて具体化した。DARPAの研究開発契約の下で、BoeingとLockheed MartinはNGADのリスク低減用Xプレーンを1機ずつ設計した。2機は2019年と2022年に初飛行し、それぞれ数百時間を記録したという。
この飛行実績が、2025年のBoeing選定から2028年まで約3年という短い日程を読み解く手掛かりになる。空軍は契約後に白紙から空力形状や運用概念を検討し始めたのではない。先行機で設計案を飛ばし、データを取得したうえで、F-47のEMDへ進んだ。Allvin氏が契約時に語った「過去5年間のXプレーン」と、White氏が今回使った「前例のない成熟度」は同じ開発経路を指している。
一方、Xプレーンの数百時間をF-47本体の飛行実績へ足すことはできない。DARPAの説明は、2機が技術と設計上のリスクを減らしたことを示すが、Boeingが選定後に作るF-47と同じ外形、エンジン、ミッションシステムを備えていたとは公表していない。2019年と2022年は実証機の初飛行、2028年はF-47として統合した機体の初飛行である。
この区別を置くと、空軍のいう「世界初の有人第6世代戦闘機」の意味も明確になる。それはF-47という実用化計画に対する米空軍の呼称であり、2028年まで次世代戦闘機の飛行試験が存在しないという主張ではない。先行Xプレーンの成果を引き継げるかどうかは、F-47試験機が同じ技術を一つの機体として成立させられるかで決まる。
F-47の2028年とNGAPの2030年頃
公開情報の中で最も大きな未確定要素は推進系である。米議会調査局によると、次世代適応型推進(NGAP)ではGE AerospaceのXA102とPratt & WhitneyのXA103が競っている。適応型エンジンは飛行条件に応じて効率と推力の配分を変える構想で、長距離飛行と高い推力を同じ機体で両立させることを狙う。
しかし、機体とエンジンの公開日程は一致していない。Breaking Defenseは2026年7月27日、米空軍推進部門のJohn Sneden氏が、NGAPについて2030年頃の「潜在的な統合作業」に備えると語ったと報じた。同氏は次世代エンジンがF-47へ搭載される可能性に触れながら、採用先を含む最終決定はないと強調している。
F-47が2028年に飛び、NGAPの機体統合準備が2030年頃になるなら、初飛行機のエンジンは何かという疑問が残る。空軍とBoeingは構成を公表していない。この時間差から、既存エンジンや暫定型で飛ぶと断定することも、2028年の日程が崩れたと結論することもできない。確認できるのは、F-47本体の初飛行目標と次世代エンジンの統合準備が、公開上は別の日程で動いていることだ。
初飛行は、その時点の機体構成で空力、構造、制御系などを確かめる入口になる。EMDでは推進系からソフトウェア、センサー、兵装まで各要素を成熟・統合・試験するが、F-47がどの順序を採るかは明かされていない。2028年に離陸する姿だけでは、量産機の航続力や熱管理能力まで検証済みとは判断できない。
50億ドルの開発費と185機超の計画
米空軍の2027会計年度予算要求は、F-47の研究・開発・試験・評価に50億ドルを計上した。Defense Newsによれば、2026会計年度の配分は34億5,000万ドルである。初飛行前に支出を増やす構成は、試験機の製造とシステム統合がこれから本格化することと整合する。ただし、予算要求は議会の審議を経るため、50億ドルがそのまま確定支出になるとは限らない。
空軍が公表した計画値では、F-47の調達数は185機を超え、戦闘行動半径は1,000海里超、速度はMach 2超とされる。米議会調査局が示すF-22の戦闘行動半径は590海里であり、F-47の目標は空中給油への依存を減らしながら、より遠い空域へ届く設計思想を表している。ただし、いずれも量産機で測定された性能ではない。機数も確定発注ではなく、現時点の計画である。
F-47の取得計画は、機体単独では完結しない。NGADはF-47に加え、半自律の無人機であるCollaborative Combat Aircraft(CCA)を含む「システム群」である。長い戦闘行動半径を持つ有人機が、センサーや兵装を分散した無人機と連携できれば、F-22の単純な一対一の置き換えを超える戦力構成になる。反対に、CCAとの通信、任務ソフトウェア、基地や整備の仕組みが揃わなければ、F-47単体の性能だけでは構想を実現できない。
2028年に確認すべきなのは、機体が飛んだという一点より、どのエンジンとシステム構成で飛び、どこまで試験範囲を広げられるかである。その結果を受けて低率初期生産のオプションが行使され、185機超という計画が予算と発注へ移るか。F-47の開発速度は、初飛行の後にこそ測定可能になる。
