SpaceXAIのElon Musk氏が9月25日、AI計算基盤「Colossus 2」のGPU構成と、年末までの増設計画を明らかにした。

現在の構成として示したのは、NVIDIAのGB200が11万基、GB300が44万基の計55万基。さらにGB300を22万基ずつ3回追加する計画で、すべて実現すれば年末には121万基に達する。ただし、最後の22万基については、Musk氏自身も「運が良ければ12月末までに」と条件を付けている。

つまり、「120万GPU」という数字は現在の稼働規模ではなく、年末までの増設がすべて予定どおり進んだ場合の規模だ。また、この121万基はColossus 2だけの数字で、既存のColossus 1は含まれていない。

SpaceXの提出書類を見ると、増設の一部は以前から計画されていたことが分かる。一方、今後追加するとされた計66万基が予定どおり稼働するかどうかは、今後確認する必要がある。

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現在55万基、年末には最大121万基を計画

Musk氏がXへの投稿で示したColossus 2の内訳は、GB200が11万基、GB300が44万基の計55万基だ。

ここからGB300を、来週に22万基、11月に22万基、さらに「運が良ければ」12月末までに22万基追加するという。

来週分については「全面的に稼働する」との見通しを示している。ただし、記事執筆時点では、まだその稼働が確認されたわけではない。

時点 追加するGB300 Colossus 2の合計 状況
9月25日時点 — 55万基 Musk氏が示した現在の構成
来週分の追加後 22万基 77万基 稼働予定
11月分の追加後 22万基 99万基 稼働予定
12月末分まで追加後 22万基 121万基 条件付きの計画

Musk氏が示した数字をそのまま合計すると、Colossus 2は現在55万基、来週分が加われば77万基、11月分まで進めば99万基、12月分まで実現すれば121万基となる。

ここで数えているのは、GB200とGB300を合わせた実際のGPU基数だ。異なる世代のGPU性能を共通の基準に換算した数字ではない。

一方、Colossus 1についてMusk氏は、H100が15万基、H200が5万基、GB200が3万基の計23万基と説明している。

そのため、両施設を単純に合計すると、現在の構成は計78万基。Colossus 2の12月分まで実現した場合は、計144万基となる。

「121万基」と「144万基」の違いは、Colossus 1を含めるかどうかにある。

SpaceXの提出書類から見える増設の流れ

SpaceXが米証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書には、Colossus 2の整備状況が記されている。

それによると、最初のクラスターではGB200約11万基を約210MWの電力規模で稼働させ、次のクラスターではGB300を11万基、約220MWで稼働させた。

さらにその次の段階として、GB300を少なくとも22万基追加し、計算設備向けの電力を400MW以上増やす計画も示していた。

9月25日のMusk氏の投稿にあるGB200の11万基は、この初期クラスターの規模と一致する。

一方、今回の投稿ではGB300だけで現在44万基あるとしており、提出書類に記された最初の11万基からさらに増設が進んだことになる。

ただし、提出書類と9月25日の投稿は作成された時点が異なる。両方の数字を同じ時点の設備状況として比較することはできない。

また、SECへの提出書類にも、今回Musk氏が示した来週、11月、12月の計66万基すべてが予定どおり稼働することまで保証する記述はない。

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「Colossus 2」は一つの建物だけを指すわけではない

施設の範囲にも注意が必要だ。

SpaceXの目論見書で定義されている「COLOSSUS II」には、テネシー州メンフィスの施設だけでなく、州境を越えたミシシッピ州サウスヘイブンのデータセンターも含まれている。

また、目論見書に記された約1.0GWという計算設備向けの電力規模は、ColossusとColossus IIを合わせたものだ。

そのため、この1.0GWをColossus 2だけの電力容量とみなすことはできない。今回発表された追加GPUすべてに対して、すでに必要な電力が確保されていることを示す数字でもない。

GPUは、調達しただけではAIの計算資源として使えない。

ラックへ設置し、十分な電力と冷却を用意し、高速なネットワークで接続したうえで、システム全体を安定して動かす必要がある。

22万基ずつGPUを追加して予定どおり稼働させるには、そのたびに電力、冷却、ネットワークなどの設備も対応しなければならない。

Musk氏の投稿では、既存設備にどの程度の余裕があるのかまでは明らかにされていない。

そのため、今後注目すべきなのはGPUの搬入数だけではなく、それぞれの期限までに何基が実際の計算処理に使える状態になるかだ。

「H100換算100万基」と今回のGPU数は同じ数字ではない

過去にxAIが示した「100万GPU」という数字との違いにも注意が必要だ。

xAIは2026年1月の資金調達発表で、2025年末時点のColossus IとIIを合わせた計算能力について、「H100換算で100万基超」と説明している。

これは、異なる世代のGPUが持つ計算能力をNVIDIA H100を基準に換算した数字だ。

実際にH100が100万基設置されていた、あるいは合計100万基のGPUが存在していたという意味ではない。

一方、今回の55万基や121万基は、GB200とGB300の実際の基数を足したものだ。

数字 意味
100万基超 H100を基準に計算能力を換算した値
55万基 Musk氏が示した現在のColossus 2のGB200・GB300合計
121万基 年末までの増設がすべて実現した場合のColossus 2のGPU合計

つまり、100万基から55万基へ減ったわけでも、55万基から100万基へ増えたわけでもない。そもそも数え方が違う。

SpaceXAIのメンフィス向け説明では、以前から「2026年までに100万GPU」という目標も掲げられている。

ただし、このページで示されている施設の範囲と、Musk氏が今回「Colossus 2」として示した範囲が完全に一致するかは確認できない。また、目標値は実際にGPUが稼働したことを示す実績値でもない。

そのため、今回の増設計画だけをもって、過去に掲げた「100万GPU」という目標を達成した、あるいは上回ったと判断するのは早い。

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GPUが増えても、すべてがGrokに使われるとは限らない

GPUの数が増えれば、それだけでAIモデルの性能が決まるわけでもない。

Colossusでは複数世代のGPUが使われているため、1基あたりの計算性能は異なる。また、その計算資源をAIモデルの学習、推論、研究、外部向けサービスなどのどこへ割り当てるかによっても、実際に得られる効果は変わる。

SpaceXAIは5月、Colossus 1の計算資源をAnthropicに提供する契約を発表している。SpaceXの目論見書でも、ColossusとColossus IIを通じて外部向けに計算能力を提供する事業について言及している。

そのため、新たに追加されるGPUをすべてGrokの学習に使うと考えることはできない。

今回のMusk氏の発言で明らかになったのは、Colossus 2を現在の55万基から、年末に最大121万基まで拡大するという具体的な予定だ。

ただし、AI計算基盤として重要なのは、最終的なGPU数だけではない。

まず確認すべきなのは、来週、11月、12月という各段階で、予定されたGPUが実際に稼働するかどうかだ。そのうえで、増えた計算資源がGrokの学習や推論、外部向けサービスなどにどのように使われるのかを見る必要がある。

年末にColossus 2が121万基へ到達するかどうかは、まず最初の22万基が予定どおり稼働したかどうかで、その進み具合が見えてくる。