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Google NotebookLMの音声要約機能が多言語に対応

Y Kobayashi

2025年4月30日

Googleは、AIを活用したノートアプリ「NotebookLM」の注目機能「音声概要(Audio Overviews)」を、新たに50以上の言語に対応させた。この進化により、テキストベースの情報を、まるでラジオ番組を聞くような自然な対話形式のポッドキャストで、より多くの言語で楽しめるようになっている。NotebookLMは、言語学習者から研究者、教育者まで、幅広いユーザーにとって情報アクセスと理解の方法が大きく変わる画期的な学習ツールとして、着実に進化を遂げているようだ。

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音声概要とは? テキストが「聞く」コンテンツに進化

NotebookLMは、ユーザーがアップロードした文書(PDF、Googleドキュメント、テキストファイルなど)を分析し、要約や質疑応答をAIが行うツールだ。その中でも特に革新的と評されているのが「音声概要(Audio Overviews)」機能である。これは、取り込んだテキスト情報を基に、AIが生成した二人のホストが内容について議論するポッドキャスト風の音声コンテンツを作成する機能となっている。

単なるテキスト読み上げとは異なり、AIホストが自然な会話形式で情報を解説し、時には補足や質問を交えながら進むため、複雑な内容や長文の資料も、より直感的かつ容易に理解できるようになる。 通学・通勤中や家事をしながらの「ながら学習」にも最適で、情報を効率的にインプットする新しい方法として、特に学生や研究者から高い評価を得ている。

この機能は当初英語のみの提供だったが、その有用性から早期にGoogleの主力AIであるGeminiアプリにも統合されるなど、GoogleがAI分野で近年最も注目すべき成果の一つと見なされていることがうかがえる。

50言語以上に対応! Geminiが可能にした多言語化

今回、Googleはこの音声概要機能を大幅にアップデートし、新たに50以上の言語に対応したことを発表した。 これにより、英語話者以外にもこの革新的な機能の門戸が開かれたことになる。

この多言語対応は、Googleの最新AIモデル「Gemini」のネイティブオーディオサポートによって実現された。 Geminiはテキストだけでなく、音声や画像なども統合的に扱えるマルチモーダルAIであり、その能力が今回の自然で高品質な多言語音声生成に活かされていると考えられる。

新たに対応した言語は、日本語、スペイン語(複数方言)、フランス語(複数方言)、ドイツ語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、ヒンディー語、アラビア語など、世界中の主要言語を網羅している。

対応言語リスト:
Afrikaans, Arabic, Azerbaijani, Bulgarian, Bengali, Catalan, Cebuano, Czech, Danish, German, Greek, Spanish (European), Spanish (Latin America), Spanish (Mexico), Estonian, Basque, Persian, Finnish, Filipino, French (European), French (Canada), Galician, Gujarati, Hindi, Croatian, Haitian Creole, Hungarian, Armenian, Indonesian, Icelandic, Italian, Hebrew, Japanese, Javanese, Georgian, Kannada, Korean, Konkani, Latin, Lithuanian, Latvian, Maithili, Macedonian, Malayalam, Marathi, Malay, Burmese (Myanmar), Nepali, Dutch, Norwegian (Nynorsk), Norwegian (Bokmål), Oriya, Punjabi, Polish, Pashto, Portuguese (Brazil), Portuguese (Portugal), Romanian, Russian, Sindhi, Sinhala, Slovak, Slovenian, Albanian, Serbian (Cyrillic), Swedish, Swahili, Tamil, Telugu, Thai, Turkish, Ukrainian, Urdu, Vietnamese, Chinese (Simplified), Chinese (Traditional).

この広範な言語対応は、Googleが断片的な機能追加ではなく、一気にグローバルな利用を見据えた本格的な展開を目指していることを示唆している。

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新設定「出力言語」で言語切り替えも簡単に

多言語対応に伴い、NotebookLMの設定には新たに「出力言語」という項目が追加された。 これにより、ユーザーは音声概要やチャット応答を生成する言語を、いつでも自由に選択・変更できるようになった。

設定方法は以下の通りだ。

  1. NotebookLMのWebサイトにアクセスする。
  2. 画面右上の「設定」ボタンをクリックする。
  3. メニューから「出力言語」を選択する。
  4. 「オーバーライドする言語を選択」ヘッダーの下にあるドロップダウンメニューから、希望の言語を選択する。

この設定を変更しない場合、音声概要はユーザーのGoogleアカウントで設定されているデフォルト言語で生成される。

この柔軟な言語切り替え機能は、多言語環境での利用価値を大きく高める。例えば、あるトピックについて様々な言語の資料(ポルトガル語のドキュメンタリー、スペイン語の研究論文、英語のレポートなど)をNotebookLMに読み込ませ、学生が各自の母語で音声概要を生成して内容を理解する、といった活用が可能になる。 まさに、言語の壁を取り払い、情報へのアクセスを民主化する可能性を秘めていると言えるだろう。

言語学習から専門分野まで広がる活用シーン

今回の多言語対応により、音声概要の活用シーンは飛躍的に広がることが予想される。

  • 言語学習: 学習中の言語で書かれたテキストを読み込ませ、その言語での音声概要を聞くことで、リスニング力や語彙力の向上に役立つ。ネイティブスピーカーによる自然な会話形式は、教科書的な学習だけでは得られない実践的な言語感覚を養う助けとなるだろう。ZDNETの記者がスペイン語で試したところ、会話は非常に自然で、専門的な内容も正確に、かつ分かりやすく要約されていたという。特に、ニュース記事のような硬い表現を、日常会話に近い自然な言い回しに変換する能力は注目に値する物だ。
  • 教育現場: 教師は様々な言語の教材を準備し、生徒は自分の得意な言語で内容を要約した音声概要を聞くことができる。これにより、言語的な背景が異なる生徒たちが、同じ教材にアクセスしやすくなる。
  • 研究・情報収集: 海外の研究論文やレポートなど、母語以外の言語で書かれた専門的な文書の内容を、自身の母語による音声概要で素早く把握することが可能になる。翻訳の手間を省き、効率的な情報収集を実現する。
  • コンテンツ制作: 多言語でのコンテンツ作成や、異文化理解のための資料作成などにも応用できる。

今後の進化にも期待 – 「まだ初期段階」

Googleは、今回の多言語対応は初期段階であり、今後もユーザーからのフィードバックを基に機能改善を続けていくとしている。

実際に、一部のユーザーからは、非英語言語のサポートはまだベータ版であり、利用可能になるまで少し時間がかかる場合があるとの指摘もある。 しかし、Googleが示した方向性は明確であり、NotebookLM、そして音声概要機能が、今後さらに洗練され、多様なニーズに応えるツールへと進化していくことは間違いないだろう。

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