Microsoftの介入でLGがMcAfee広告停止に同意、無通知のアプリ配布は残る
- 何が起きた: LGは2026年7月22日、Monitor App InstallerのMcAfeeポップアップ停止に同意した。
- なぜ重要か: モニター接続を起点に、Windowsがメーカー製アプリを通知なしで入れる経路が使われた。
- 次に見るべき点: 配布審査や同意画面まで改めるかに加え、既存PCへ更新がどこまで届くかも未確定だ。
Microsoftは、LG製モニターを接続したWindows PCに「LG Monitor App Installer」が入り、McAfee製品を勧める画面を繰り返し表示した問題に介入した。Windows + Devices担当EVPのPavan Davuluri氏は2026年7月22日、LGが同アプリからMcAfeeのポップアップを無効化することに同意したと明らかにした。
ただし、公表された措置は広告表示を無効化する合意に限られる。LGのアプリをWindows Updateから外すことも、インストール前に同意画面を加えることも発表されていない。モニターをつないだだけでStoreアプリまで届くWindowsの設計は、そのまま残った。
Microsoftが得たのはMcAfeeポップアップ停止の合意
Davuluri氏は7月19日、Epic GamesのTim Sweeney氏から問題を指摘され、「チームが調査している」と返答した。3日後の投稿では、MicrosoftがLGと協議し、「直ちに取る次の措置」としてMcAfeeのポップアップを無効化する合意を得たと説明している。Windows Update上の配布を止めたとは述べていない。
騒動では、三つの動作が混同されやすい。Windowsが無通知で取得したのはLG Monitor App Installerであり、そのアプリがMcAfeeの無料試用を勧めるポップアップを出した。McAfeeのセキュリティ製品そのものについて、LGは「ユーザーが選択し、同意した場合に限ってインストールされる」とWindows Latestへの声明で説明している。
ポップアップの発生は、利用者の投稿だけに依存していない。Gamers NexusはLG UltraGear 34GX900A-Bを使って再現試験を行い、WindowsがLGのドライバーパッケージを導入した約1分後にMonitor App Installerが現れることを確認した。続く32回の起動では、31回でMcAfeeの案内が表示されたという。Windows Latestは、当時のMicrosoft Store変更履歴にMcAfeeが「Additional App」として加わり、30日間の無料試用を促す記載があったことも保存している。
この試験は34GX900A-Bで起きる動作を強く裏づける一方、LG製モニター全機種への一般化までは支えない。Microsoftの公式回答も、対象機種、アプリの修正版、既存PCへ反映される時期を示していない。
モニター接続からStoreアプリまでの4段階
ソフトウェアを送り込んだのはモニター本体ではなく、Windowsが周辺機器向けに備える配布経路である。Microsoftの開発者文書は、UWPデバイスアプリの自動取得を4段階で説明している。機器を接続すると、WindowsはWindows Metadata and Internet Servicesから機器情報を取得する。その情報に関連付けられたアプリを特定し、必要ならWindows Updateからドライバーを入れ、最後にStoreアプリを現在のユーザーへ導入する。
この仕組みが動く条件は、Windowsのセットアップ時に推奨設定を選び、Microsoft Storeへサインインし、ネットに接続していることだ。接続条件を後から満たした場合にもWindowsは再試行する。処理はバックグラウンドで進み、Microsoft自身が「アプリのインストール時に通知を出さないため、利用者を混乱させ、苛立たせる可能性がある」と開発者へ警告している。
LG Monitor App Installerの現在のStoreカタログは、発行元をLG Electronics Inc.、配布種別を「WindowsUpdate」と記録する。説明欄に並ぶのは、OnScreen Control、LG Switch、Dual Controller、LG Calibration Studioの4本だ。LGの製品サポートによれば、LG Switchは画面設定や分割表示、ビデオ会議アプリのショートカットを提供する。モニターと結びついた用途はある。
一方、Storeのカタログには「すべてのシステムリソースを使用する」「インターネット接続へアクセスする」という権限表示がある。これはパッケージが利用できる能力を示すもので、個人データを実際に取得した証拠ではない。LGは同社のインストーラーが顧客の個人データへアクセスせず、収集も送信もしないと説明している。
Windowsではドライバー、機器メタデータ、Storeアプリが別々に管理される。Microsoftの文書によると、デバイスを削除してもStoreアプリは消えず、利用者が手動でアンインストールしなければならない。モニターを外せば元に戻る設計ではない。
広告停止の合意後も残る配布と審査の空白
7月24日に更新された現在のStoreカタログからは、McAfeeの記載が消えている。Microsoftの発表と整合する変化だが、カタログは配布バージョンやリリースノートを示していない。すでに導入された全PCでポップアップが止まったかは確認できない。
Microsoft Storeの公開ポリシーには、今回の挙動と直接重なる規定がある。10.2.3は、発行元が開発しておらず、製品の機能を高めない二次ソフトウェアのインストールを提案してはならないと定める。10.9.4も、通知は自社製品または同じ発行元のStore製品に関係する必要があり、無関係な宣伝を含めてはならないとしている。
LGの公式サポートが挙げるMonitor App Installerの役割は、画面制御や色調整に使うLG製アプリの導入である。McAfeeのセキュリティ製品は、その機能を担わない。もっとも、Microsoftは今回の広告がStoreポリシー違反だったのかを公表していない。LGとの協議で表示を止める合意を得たという説明にとどまり、審査で何を見落としたか、再発をどう防ぐかも不明だ。
現在のStoreカタログはMcAfeeの記載を外した一方で、Monitor App Installerを4本のLG製アプリを案内するソフトウェアとして掲載している。配布種別もWindowsUpdateのままである。広告表示を無効化する合意と、周辺機器メーカーがWindowsの信頼を借りてソフトウェアを配る仕組みを改めることは、別の措置だ。
利用者と管理者が制御できる範囲
すでにLG Monitor App Installerが入っているPCでは、「設定」から「アプリ」「インストールされているアプリ」と進み、手動で削除する必要がある。Microsoftの仕様上、デバイスの削除とは連動しないためだ。McAfee製品を導入していない場合でも、LGのインストーラーが起動項目に残っていないかを確認する意味はある。
Windows 10バージョン1809以降では、Pro、Enterprise、Educationがこの設定に対応し、IoT Enterpriseも対象に含まれる。グループポリシーまたは端末管理ポリシーで「デバイスメタデータに関連付けられたアプリケーションの自動ダウンロードを禁止する」を有効にできる。経路は「コンピューターの構成」「管理用テンプレート」「システム」「デバイスのインストール」である。ポリシーを設定しない場合、同じ可否はコントロールパネルのデバイスインストール設定に従う。
この設定はLG専用の遮断策ではない。デバイスメタデータに結び付いたメーカー製アプリをまとめて止めるため、プリンターやカメラなどで便利な補助アプリも届かなくなる可能性がある。Microsoftの文書ではドライバー取得とアプリ取得が別の段階に分かれており、対象は後者だ。
Microsoftは従来のデバイスメタデータを非推奨とし、将来のWindowsで削除する予定である。ただし、Windows 11 24H2のKB5052093、OSビルド26100.3323から使える後継のDriver Package Container Metadataも、文書上はドライバーパッケージからStoreアプリを関連付ける「AddSoftware」を備える。旧方式の廃止だけで、利用者の同意が必須になるわけではない。
今回の対応がWindowsの配布慣行を変えたと言えるのは、修正版の適用範囲が開示され、Store審査の判断が示され、アプリ取得前に利用者が選べるようになった時だ。Microsoftが「直ちに取る次の措置」に続けて何を実装するかが、LG以外の周辺機器にも効く判断材料になる。


