Metaは2026年7月13日、米ルイジアナ州リッチランド郡で建設中のデータセンターを500億ドル超、IT容量5GWの計画へ拡張すると発表した。建物は1,000万平方フィート近くに広がり、同社最大のAI学習クラスター「Hyperion」を収容する。2024年12月に公表した100億ドル、400万平方フィートの計画から、2年足らずで規模を大きく引き上げたことになる。

ただし、5GWの計算設備を動かす電源はまだ揃っていない。電力会社Entergy Louisianaが追加申請した7基のガス火力発電所は規制審査中であり、Metaの発表額にも内訳や支出時期は示されていない。500億ドルという数字を理解するには、建物やサーバーに加えて外部資本と長期リース、州全体に及ぶ発電・送電投資を分けて見る必要がある。

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100億ドルから500億ドル超へ、面積は2.5倍

ルイジアナ州経済開発局が2024年12月に公表した当初計画は、100億ドルを投じて400万平方フィートのキャンパスを造り、500人以上を常時雇用するという内容だった。建設のピークには5,000人が働き、工事は2030年まで続く想定だった。

今回の発表では、投資額が500億ドル超、床面積が1,000万平方フィート近くへ増えた。面積は約2.5倍、投資額は5倍を上回る伸びだ。ピーク時の建設雇用は7,500人、稼働後の雇用は約1,000人へ引き上げられた。常時雇用の伸びは投資額ほど急ではなく、データセンターが資本集約型の設備であることも数字に表れている。

すでに工事は地域経済を動かしている。Metaによると、着工した2024年12月以降、ルイジアナ州内の企業との契約額は16億ドルを超えた。道路、上水道、下水処理などに投じる地域インフラ費も10億ドル超へ増える見込みだ。同社は2025年12月時点で州内契約8億7,500万ドル、地域インフラ3億ドル超としていたため、半年余りで双方を大きく積み増したことになる。

一方で、完成時期は見えにくくなった。7月の発表は拡張後の完工日を示していない。Entergyは関連する電源・送電工事で2026年から2031年まで建設雇用が生じるとしており、少なくとも周辺インフラの整備は当初の2030年想定をまたぐ可能性がある。

500億ドルはMetaの単年度支出ではない

Metaが示した500億ドル超は、リッチランド郡プロジェクトへの投資計画である。発表文には、建屋とサーバーなどのIT機器、電力・冷却設備をいくらずつ含むのか記載がない。すでに支出した金額でも、2026年に全額を現金で支払う計画でもない。

資金構造を知る手掛かりが、2025年10月にBlue Owl Capitalの運用ファンドと設立した共同事業だ。Hyperionの建物と長期使用する電力・冷却・接続設備の開発費は約270億ドルとされ、Blue Owl側が80%、Metaが20%を保有する。完成後、Metaは共同事業からキャンパス全体を借りる。契約の当初期間は4年で、延長オプションと稼働開始から16年間の残存価値保証が付く。

したがって、270億ドルと500億ドルを足して総額770億ドルとみなすことはできない。前者は共同事業が担う建物と長寿命設備の開発費、後者は拡張後のプロジェクト全体に対する投資計画であり、範囲が重なる可能性がある。Metaは共同事業とリースを組み合わせ、計算設備の建設資金を外部投資家にも担わせている。

会社全体で見ると、Metaは2026年の設備投資を1,250億1,450億ドルと見込む。この見通しにはファイナンスリースの元本返済も含まれる。ルイジアナ州の500億ドルは複数年にまたがるプロジェクト額であり、単年度の設備投資見通しとは期間も会計上の扱いも異なる。

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5GWの計算設備を支える10基のガス発電所

Hyperionの電源計画は二段階に分かれる。ルイジアナ州公益事業委員会(LPSC)は2025年8月、Metaの当初計画に対応する複合サイクル・ガス火力発電所3基を承認した。合計出力は2,260MWで、リッチランド郡の2基は2028年後半、既存のWaterford拠点に建てる1基は2029年末までの稼働を見込む。

5GWへの拡張を受け、Entergyは2026年3月に第2段階を申請した。追加するのは合計5,200MW超のガス火力7基である。両段階を合わせると、新設ガス火力は計10基、出力は約7.5GWに達する。さらに約240マイルの500kV送電線、3カ所の蓄電設備、既存原発の出力増強も計画に入っている。Metaは最大2,500MWの太陽光発電を支援する方針も示した。

ここで5GW7.5GWを同じ数字として扱ってはいけない。Metaの5GWはサーバーなどが使うIT容量であり、7.5GWは第1・第2段階を合わせたガス火力の発電容量だ。Entergyは、Metaの想定需要に加え、系統の予備力を維持するための設備だと説明する。公開資料ではデータセンターの最大需要が伏せられているため、完成後の実消費電力はまだ計算できない。

費用転嫁を防げるか、12月に規制審査

Entergyは、第2段階の契約によって既存顧客が20年間で約20億ドルを節約できると試算する。第1段階で見込む6億5,000万ドルと合わせれば、便益は計26億5,000万ドルになるという。Metaの電気料金収入を送電網の固定費や災害復旧関連費に充て、一般顧客の負担を減らす考え方だ。

契約には費用転嫁を防ぐ仕組みも盛り込まれた。公開版の申請資料によると、電力供給契約は当初20年で、その後は5年ずつ自動更新される。更新しない場合は3年前に通知しなければならない。最低月額料金を増設費の回収に連動させ、Meta本体の保証と追加の信用補完も求める。早期解約時には未回収費をEvestに請求し、発電所を維持するか売却するかEntergyが選べる設計だ。EvestはMetaの子会社である。

もっとも、最低料金や保証額などの主要部分は公開資料で黒塗りになっている。20億ドルと6億5,000万ドルはEntergyの予測であり、確定した節約額ではない。LPSCが4月15日に決めたのも審査日程であって、7基の建設承認ではなかった。委員会は証拠記録を作成し、2026年12月16日の会合で申請を検討する予定だ。

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雇用と税優遇、水使用量をどう測るか

Metaは地域への還元を前面に出している。これまでに地元企業へ16億ドル超を発注し、Louisiana Delta Community Collegeへ500万ドルを寄付する。2026年卒業生については、リッチランド郡の高校を卒業した全員がデータセンター関連の職業資格講座で全額奨学金を受けられる。地元教育長によれば、税収増を受けた教員の年間賞与は前年の1万ドルから5万ドル超へ増えた。

州も大きな誘致策を用意している。ルイジアナ州法は、認定データセンターが対象設備や建設・拡張費に支払う州・地方の売上税と使用税を、当初20年間免除する。認定には50人以上の常勤雇用と2億ドル以上の新規投資が必要で、州は2024年の発表時点でMetaが制度を利用する見通しを示していた。今回約束された1,000人の常時雇用と500億ドル超の投資は、この基準を大幅に上回る。

水についても課題が残る。Metaは消費量の100%に相当する水を周辺流域へ戻す修復事業を約束しているが、床面積を約2.5倍へ広げた後の取水量や消費量は7月の発表に記載がない。流域修復は取水をゼロにする施策ではないため、稼働後に公表される実績値で確認する必要がある。

500億ドルの約束が5GWの計算能力へ変わるかどうかは、12月の電源審査、発電所と送電線の稼働時期、そして運用開始後の電力・水使用量で判定できる。リッチランド郡で生まれた雇用と税収を維持しながら、建設期を終えた後も一般顧客へ費用を移さないこと。それがHyperionを地域の成功例にする条件になる。