Microsoftは3月30日、Microsoft 365 Copilot向けの新機能「Copilot Cowork」をFrontier programで提供開始した。Copilot Coworkは、Microsoft 365上で長時間にわたる複数工程の業務を任せるための機能で、ユーザーが求める成果を伝えると、AIが作業計画を組み立て、関連するツールやファイルをまたいで処理を進める。進行状況は画面上で確認でき、必要に応じて途中で指示を加えられる。
同時に、調査支援機能「Researcher」にも複数モデルを前提にした新機能が加わった。初稿作成と評価を分ける「Critique」と、異なるモデルの回答を並べて比較する「Model Council」である。Microsoftは今回の更新をMicrosoft 365 Copilotの「Wave 3」に含まれる新機能として案内している。現時点ではいずれもFrontier programを通じた先行提供で、一般提供の時期や追加料金の有無は明らかにしていない。
複数工程の仕事をまとめて進めるCopilot Cowork
Copilot Coworkが想定するのは、ひとつの短い指示で完結する用途ではなく、複数の手順を含む継続的な業務だ。Microsoftの説明では、ユーザーは目指す成果を伝えるだけでよく、その後はCopilot Coworkが計画を立て、必要なツールやファイルを横断しながら作業を進める。途中経過は可視化され、必要なら人が介入して方向を修正できる。
Microsoftは、Copilot Coworkについて「長期間にわたる複数段階の作業」に向けた機能だと位置付けている。資料の確認、関係者との調整、成果物の作成といった工程が続く仕事では、個々の作業を順番に指示するより、全体の流れをまとめて扱えるかどうかが使い勝手を左右する。Copilot Coworkは、その一連の流れをひとつの仕事として受け取り、途中で止まらず進めていく設計として打ち出している。
組織内データを踏まえた業務支援として展開する
Microsoftは、Microsoft 365 Copilot全体について、業務文脈を捉える「Work IQ」と「Enterprise Data Protection」を基盤に据えると説明している。Copilot Coworkもその延長線上にあり、企業内データを踏まえながら、既存の業務環境の中でAIを動かす構想の一部として示された。
Copilot CoworkにはClaudeとMicrosoftのスキルが組み込まれており、カレンダー管理やデイリーブリーフィングのような仕事に対応する。対象は一度限りの依頼にとどまらず、月次予算レビューのような反復的なワークフローにも及ぶという。先行利用企業として紹介されたCapital Groupでは、企画立案、日程調整、成果物の作成、経営層レビューの準備といった場面で活用が始まっている。発表に添えられたコメントでも、文章や答えを出すことより、手順をつなぎ、日常的なワークフローを最後まで進める点に価値があると説明されている。
Researcherは下書きと評価を分担させる
Researcherは、複数の情報源を横断し、引用付きで分析結果をまとめる機能だ。今回追加されたCritiqueでは、ひとつのモデルがタスクを計画して初稿を作成し、別のモデルがレビュー役として内容を見直す。生成と評価を切り分けることで、最終レポートを出す前に別視点の確認工程を入れる構成になった。
Microsoftによると、CritiqueはAnthropicとOpenAIを含む複数モデルの組み合わせで動作する。発表では、この改善によってResearcherのDRACO benchmarkにおけるスコアが13.8%向上し57.4とトップのスコアを示している。ここで重視されているのは、回答を作る工程と、その内容を吟味する工程を分けることで、調査レポートの完成度を引き上げる点だ。

回答の差分を見比べるModel Councilと今後の注目点
Researcherに加わったModel Councilでは、異なるモデルの回答を並べて表示し、どこで一致し、どこで見解が分かれるのかを確認できる。Microsoftはこれを、複数の研究者が同じテーマを調べたときのように、各モデルが持つ視点の違いを見比べられる機能として紹介している。ひとつの出力をそのまま採用するのではなく、差分を見ながら判断する流れをMicrosoft 365 Copilotの中に持ち込む狙いがある。
今回の更新は、いずれもFrontier programでの提供開始という位置付けだ。Frontier programは、Microsoftの新しいAI機能に早期アクセスするための枠組みであり、Copilot CoworkとResearcherの新機能はその中で先行公開された。現時点では、一般提供の開始時期、対象プラン、地域ごとの提供条件、追加コストの扱いまでは示されていないが、MicrosoftがMicrosoft 365 Copilotにおいて、複数工程の実行と複数モデルによる確認を同時に前進させたことは大きな意義を持つだろう。
Sources
- Microsoft: Copilot Cowork: Now available in Frontier