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Opera、AIエージェントブラウザ「Neon」を発表

Y Kobayashi

2025年5月28日5:59PM

Opera Software ASAは本日、同社のブラウザポートフォリオに新たに連なる「Opera Neon」を発表した。これは同社が「初のAIエージェントブラウザ(AI agentic browser)」と銘打つ意欲作であり、Webブラウザの役割そのものを再定義しようとする野心的な試みだ。開発者によれば、Neonはユーザーの意図を深く理解し、AIを活用した機能群によって具体的なアクションへと転換するという。果たして、Opera Neonは我々のインターネット体験をどのように変革するのだろうか?

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「AIエージェント」とは何か?Opera Neonが目指す新次元のブラウジング

Opera Neonの核心は、「Neon Chat」「Neon Do」「Neon Make」という3つの主要コンポーネントで構成されている。これらが連携し、ユーザーの指示を自律的に解釈・実行する「エージェント」として機能する点が、従来のAI搭載ブラウザとの大きな違いと言えるだろう。

Neon Chat: 文脈を理解するインテリジェントな対話型AI

まず「Neon Chat」は、CopilotやChatGPTといった最新のAIチャットボットと同様の機能を提供する。Web検索はもちろんのこと、現在開いているタブの文脈情報を理解し、それに基づいた情報提供や対話が可能だ。単なる情報検索ツールを超え、ユーザーの作業をより深くサポートする存在となることが期待される。

Neon Do: 定型作業を自動化する進化した「ブラウザオペレーター」

次に「Neon Do」は、Operaが今年初めに発表した「ブラウザオペレーター」機能を進化させたものだ。WebサイトのコンテンツをAIが理解し、ユーザーに代わってフォーム入力、旅行の予約、オンラインショッピングといった定型的な作業を自動で実行する。特筆すべきは、これらのAI処理がローカル環境で行われる点であり、プライバシー保護への配慮がうかがえる。

Neon Make: オフラインでも創造性を解き放つ革新的クラウドAI

そして、最も注目すべきが「Neon Make」だろう。Operaはこれを「これまでのどのブラウザにも見られなかった全く新しいもの」と表現している。Neon MakeはクラウドベースのAIエージェントを活用し、ユーザーが要求する複雑なタスクを実行する。例えば、レポートの自動生成、ゲームのプロトタイピング、Webアプリケーションの構築、さらにはそれらのホスティングや他ユーザーとの共有まで可能にするという。

驚くべきことに、Neon Makeはユーザーがオフラインの状況、例えば移動中や睡眠中であっても、要求されたタスク(コード記述など)を継続して実行できる能力を持つ。これは、ブラウザが単なる情報閲覧ツールから、能動的な「創造支援プラットフォーム」へと進化する可能性を示唆している。

プライバシーと効率性を両立させる技術的アプローチ

Operaは、Neonにおけるプライバシー保護の重要性を強調している。AIがWebページを理解する際、ピクセル解析や仮想ポインタといった手法ではなく、DOMツリー(Webページの構造情報)とレイアウトデータを直接解析する。このアプローチにより、プライバシー侵害のリスクを低減しつつ、システムの高速化と効率化を実現していると主張する。

OperaのシニアAIプロダクトディレクター、Henrik Lexow氏はプレスリリースで次のように述べている。「AIがインターネットの使い方やブラウザでのあらゆるタスクの実行方法を根本的に変えることができる段階に来ています。Opera Neonはこれをユーザーの指先にもたらします」。

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過去の「Neon」との関連、そして期待と現実

長年のOperaユーザーであれば、「Neon」という名前に聞き覚えがあるかもしれない。Operaは2017年にも同名のコンセプトブラウザを発表したが、当時は広く普及するには至らなかった。今回の新生Neonが、前回の雪辱を果たし、市場に受け入れられるかどうかは未知数だ。

現時点では、Opera Neonの具体的な提供開始時期や価格についての詳細は明らかにされていない。OperaはNeon Makeの機能を「プレミアムサブスクリプション製品」と位置付けており、現在は早期アクセス希望者向けのウェイトリスト (https://www.operaneon.com/) を公開している段階だ。Operaが主張する革新的な機能、特にNeon Makeが実際にどの程度の能力を発揮するのか、そしてその対価はいくらになるのか、多くのユーザーが固唾を飲んで見守っていることだろう。

ただし、現時点ではNeonの能力を裏付ける具体的な情報が少ないため、その実力はベータ版の登場を待つ必要がある。Operaは現在、主力ブラウザ、ゲーミングブラウザOpera GX、先日発表されたマインドフルネス重視のAirブラウザなど、多様なブラウザポートフォリオを展開しており、NeonはこのAI戦略をさらに加速させるものと位置づけられる。

ブラウザの未来を占うOpera Neonの挑戦

Opera Neonは、単にAI機能を付加したブラウザというレベルを超え、「AIエージェント」という新たな概念を提示することで、Webブラウザのあり方そのものを問い直そうとしている。ユーザーの意図を汲み取り、複雑なタスクを自律的に実行するというビジョンは、まさにSF映画で描かれる未来のインターフェースを想起させる。

もちろん、その壮大な構想がどこまで現実のものとなるか、そしてユーザーに受け入れられるかは、今後の展開次第だ。しかし、Opera Neonが提示した「AIエージェントブラウザ」というコンセプトは、間違いなく今後のブラウザ開発競争における重要なマイルストーンとなるだろう。


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