Ouraが9月3日に米証券取引委員会(SEC)へS-1を提出し、Nasdaqで「OURA」としての上場を申請した。株数も価格も決まっておらず、上場はまだ完了していない。それでも、指輪型デバイスを売る会社が、継続して料金を払う利用者を抱えた収益事業として市場に出ようとしている点は重い。スマートリングの争いは、睡眠や活動を静かに測る道具を誰が作るかから、計測後のデータをどこまで有料で読み解かせ、指輪そのものに何をさせるかという競争へ移っている。

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有料会員500万人を抱え、Ouraは上場を申請した

SEC提出書類によると、Ouraの2026年6月30日までの9カ月売上高は約12億1500万ドルで、前年同期比74%増だった。内訳はリングなどハードウェアが約9億7400万ドル、会費が約2億4053万ドルで、おおむね80%20%となる。同日現在の有料会員は500万人で、加入時期ごとの会員数で加重平均した12カ月後の有料会員継続率は約85%とした。

Ouraの米国会費は月額5.99ドル、年額69.99ドルである。新規購入者には最初の1カ月が含まれ、退会してもすべての機能が消えるわけではないが、詳細な解析には会員資格が必要になる。会員案内が示すこの線引きは、リング本体の価格だけで比較したときには見えにくい。

上場申請で投資家が見る範囲は、出荷台数に尽きない。ハードを買った人が解析に継続して払うか、そして会費があることで競合へ移る理由を作らないか。会員の増加と継続率を追えば、販売拡大が購入後の利用にもつながっているかを判断できる。

月額不要でも、購入後の費用は消えない

会費を避けたい読者にとって、RingConn Gen 3は分かりやすい対照例だ。米国価格349ドルの同製品は、月額会費を前提にしない。一方、Ultrahuman Ring PROの米国注文ページは479ドルとし、基本的なデータ閲覧に月額料金は不要と説明する。注文ページでは、データへのアクセスに継続会費を求めないと明記する。

ただし、追加機能のPowerPlugs公式案内は無料と有料の両方を用意している。Cardio AdaptabilityやCycle & Ovulation Proのような専門機能は有料で、同社はライセンスや規制対応の費用などを理由に挙げる。基本アプリの機能を制限せず、必要な解析を追加購入する設計だ。月額不要という説明と、購入後に一切の料金が発生しないことは分けて考えたい。

つまり、比較の基準は「サブスクリプションがあるか」に尽きない。毎日の睡眠・活動データを読むだけで良い人と、循環器や月経周期の追加解析まで求める人では、購入後に払う費用が変わる。Ouraは詳細解析を会費へまとめ、Ultrahumanは一部の専門機能を切り分けている。どちらが安いかは、必要な期間と機能を置かなければ決まらない。

Samsungも2024年、Galaxy RingをSamsung Health内でサブスクリプションなしで健康指標を提供する製品として発表した。ただし、利用にはAndroid 11.0以降の端末やSamsungアカウントが必要で、Energy ScoreなどにはGalaxy側の条件がある。Samsungの発表は、月額の有無と、端末に縛られず使えるかを別の論点にしている。

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振動の使い道で分かれる新製品

RingConn Gen 3の振動は、健康変化や座りすぎを知らせるための機能だ。公式FAQは、メッセージの通知や目覚ましには使えないと明記する。同じ「振動対応」の表示でも、CircularやDreameが発表した用途とは異なる。

製品 振動・操作の用途 販売段階 制約・条件
RingConn Gen 3 健康変化、座りすぎ、低電池の通知。メッセージやアラームには使わない 製品・価格を公開 振動オンは10〜12日、オフは11〜14日。血管の健康状態の傾向を示す機能は単回の血圧値を測るものではなく、診断・治療用途でもない
Circular Ring 3 Pro / Slim 目覚ましや健康リマインダー。別機能として決済も予定 2027年発売予定 価格と具体的な発売日は未公表。CircularのCEOは、以前外した振動を利用者の要望で戻すと説明した
Dreame AI Haptic Ring 指輪をたたいて選曲、撮影、プレゼン操作。振動で通知 CES 2026で発表 価格と市場投入時期は確認できていない

RingConnの振動は健康通知に用途を絞る。Circularは目覚ましや決済、Dreameはタッチ操作を掲げるが、発売段階はそろっていない。比較表の機能を、すべて今すぐ利用できる選択肢として並べることはできない。

RingConnの製品ページにある「振動オン10〜12日、オフ11〜14日」は、最大14日という数字の横に小さく置ける条件ではない。健康アラートやリマインダーを振動で受ける使い方なら、公称値は10〜12日であり、振動を切ったときだけ11〜14日という範囲になる。しかも各社の公称値は統一試験の実測ではない。電池の長さを比べる前に、何を通知するために振動させるのかを合わせる必要がある。

Tom's GuideのCEO取材では、CircularはRing 2で外した振動を、利用者の要望を受けて戻すと説明した。Dreameはさらに、指輪を計測機器から操作の入り口へ広げようとしている。CESでの発表どおりに製品化されるかは別として、受動的に測る指輪と、手で操作する指輪では、求められる装着感や誤操作への配慮も違ってくる。

Qualcommも出資する指輪の計算機化

Ouraの上場申請と同じ9月3日、Ultrahumanは7000万ドルを調達したと発表した。Qualcomm VenturesやLabcorpなどが参加した資金調達であり、出資者には半導体企業と検査サービス企業の両方が名を連ねた。同社はRing PROで処理を端末側へ移し、センサーストリームを新しいアルゴリズムへ渡すUltraSignal、専門機能を追加するPowerPlugを掲げる。同社の発表は、指輪を単独製品として閉じず、血液検査のBlood Vision、持続血糖測定器(CGM)による代謝応答、家庭環境のHome、統合サービスのJadeへつなぐ構想も示した。

ただし、外部の血液検査やCGMと接続することは、リング自身が新しい生体指標を測れるようになったこととは異なる。Ultrahumanが広げようとしているのは、リングで取る生体信号をほかのデータと結び、どの解析を有料にするかまで含めたサービスである。計算を端末へ移すという説明も、現時点で汎用アプリやゲームが動くという意味ではない。

端末での処理が増えれば、リングを買った後に追加できる機能も競争の対象になる。毎月一律で払うか、必要な解析だけ買い足すか、あるいは端末や外部検査を含めたサービスを選ぶか。リングの価格表に収まらない比較になってきた。

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健康機能は、測定方法と提供地域で見分ける

Ouraは5月、Health Radarを米国、UAE、インドで7月にかけてGen3以降の会員へ展開する計画を示した。Blood Pressure Signalsは循環器に負担がかかっている可能性を示すパターンを捉える機能で、血圧を単回値として測るものではない。Nighttime Breathingも、30日間の呼吸傾向を扱う。Ouraの機能発表には、AIと医師を組み合わせるCounsel HealthをOura Labsで試用する記述もあるが、Health Radarの発表で挙げた提供地域に日本は含まれていない。

健康機能を比較するときは、「傾向を知らせる」「値を測る」「診断に使う」を区別したい。RingConnが血管の健康状態の傾向を表示することと、血圧計のように単回の値を測ることは異なる。外部の検査結果をアプリへ集めるサービスにも、リング内のセンサーが測る項目とは別の価値がある。解析項目の数だけを並べた比較では、この違いが消えてしまう。

Ouraの新機能がGen3以降にも届く設計は、新しい解析のためにリングを買い替える必要を減らす。一方、決済や振動操作を求めるなら、対応する本体と発売時期が選択を左右する。Ouraの上場審査が進む間にも、Circularの発売計画やUltrahumanの出荷予定は具体化していく。機能が実際に届いた段階で、追加費用に見合う使い道があるか、通知を使っても必要な期間装着し続けられるかを比べることになる。