テクノロジーと科学の最新の話題を毎日配信中!!

20代ゲーマー課金実態調査:経験率上昇も単価減、約2割が生活困窮を経験

Y Kobayashi

2025年4月18日

SMBCコンシューマーファイナンスが公開した「20代の金銭感覚についての意識調査2025」により、日本の20代におけるゲーム課金の最新動向が明らかになった。調査からは、ゲームに課金する若者の割合が増加している一方で、一人あたりの平均課金額は減少しているという興味深い傾向が見て取れる。また、課金が原因で生活に困窮したり、後悔したりした経験を持つ人も一定数存在することが示された。

スポンサーリンク

調査概要:20代のリアルな金銭感覚を探る

本調査は、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が2025年2月19日から21日にかけて実施したものだ。調査対象は全国の20歳から29歳の男女1,000名(男女各500名、20代前半・後半各500名)で、インターネットを通じて行われた。調査内容は多岐にわたるが、本記事では特に「ゲーム課金」に関する意識と実態に焦点を当てて解説する。

なお、ここでいう「ゲーム課金」とは、ゲーム内でのアイテム購入やガチャ(ランダム型アイテム提供方式)などの利用を指す。また、比較対象として言及される前回調査は、2023年12月に実施された「20代の金銭感覚についての意識調査2024」である。

ゲーム課金への意識変化:男女ともに肯定的な傾向強まる

まず、ゲーム課金に対する意識を見ていこう。

「お金を使ってでも(課金してでも)ゲームを有利に進めたい」という考えに「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」の合計)と回答した割合は、全体で17.9%であった。これを男女別に見ると、男性は23.8%、女性は12.0%となり、男性の方が課金によってゲームを有利に進めることへの肯定感が強いことがわかる。

注目すべきは前回調査との比較だ。男性のゲーム課金肯定派は前回の16.2%から7.6ポイント増加、女性も前回の8.4%から3.6ポイント増加しており、男女ともにゲームを有利に進めるための課金に対する抵抗感が薄れている傾向がうかがえる。

また、「ほしいアイテム・キャラを手に入れるためのお金は惜しみたくない」に「そう思う」と回答した割合も、男性で25.8%(前回比+6.0ポイント)、女性で18.2%(前回比+6.4ポイント)と、こちらも男女ともに増加している。これは、特定のアイテムやキャラクターに対する所有欲が課金行動の強い動機となっていることを示唆している。

さらに、「ゲームはお金を使わないと楽しく遊べない」という考え方に「そう思う」と答えた割合は、全体で20.8%となり、前回調査の18.1%から2.7ポイント増加した。男女別に見ると、男性は23.2%(前回比+2.8ポイント)、女性は18.4%(前回比+2.6ポイント)と、こちらも男女ともに微増している。ゲームデザイン自体が課金を前提としている、あるいは課金によって得られる体験がより魅力的になっていると感じる若者が増えているのかもしれない。

一方で、「ゲームでレアアイテムやレアキャラを手に入れたときは誇らしい気持ちになる」に「そう思う」と回答した割合は、全体で33.3%と、前回調査(34.3%)から1.0ポイントの微減となった。男女別では男性が37.0%(前回比-0.6ポイント)、女性が29.6%(前回比-1.4ポイント)と、こちらもわずかながら減少傾向にある。課金への肯定感が高まる一方で、レアアイテム入手の達成感や満足感には少し変化が見られるようだ。

スポンサーリンク

課金実態:経験者は増加、しかし一人あたり平均額は減少

次に、実際の課金行動を見てみよう。

ゲームでのアイテム購入やガチャなどに「お金をかけている」と回答した人の割合は、全体の21.6%にのぼった。これは前回調査の15.8%から5.8ポイント上昇しており、ゲームに課金する20代が増加していることが明確に示された。

男女別に見ると、課金経験者の割合は男性で28.2%(前回20.8%から+7.4ポイント)、女性で15.0%(前回10.8%から+4.2ポイント)と、いずれも顕著な増加を示している。特に男性の伸びが大きい。

しかし、興味深いのは、課金経験者の割合が増加している一方で、課金している人がひと月あたりにかけている金額の平均(以下、平均課金額)は減少している点だ。

課金経験者の平均課金額は、全体で4,247円となり、前回調査の5,138円から891円減少した。男女別では、男性が4,461円(前回5,698円から-1,237円)、女性が3,844円(前回4,060円から-216円)と、男女ともに減少している。特に男性の減少幅が大きい。

この「課金経験者率の上昇」と「平均課金額の減少」という一見矛盾する結果は、何を意味するのだろうか。いくつかの可能性が考えられる。
一つは、これまで課金してこなかった層が、少額から課金を始めるようになった可能性だ。これにより全体の課金者数は増えるが、一人あたりの平均額は押し下げられる。
もう一つは、物価高騰などの経済状況を反映し、課金経験者自身が以前よりも支出を抑えるようになった可能性である。特に、高額課金をしていた層が支出を減らした影響が大きいのかもしれない。あるいは、ゲームのマネタイズ(収益化)手法が、少額課金を促す方向に変化している可能性も考えられる。

課金の影:約2割が生活困窮や後悔を経験

ゲーム課金のポジティブな側面が見られる一方で、ネガティブな側面も無視できない。

「ゲームでお金を使いすぎて(ゲーム課金しすぎて)生活に困ったことがある」と回答した人は、全体の18.8%にのぼった。つまり、20代のおよそ5人に1人が、ゲーム課金が原因で経済的な困難を経験していることになる。男女別では、男性が22.8%、女性が14.8%であり、男性の方が生活に支障をきたすほどの課金経験を持つ割合が高い。

さらに、「ゲームでお金を使ったこと(ゲーム課金したこと)に後悔したことがある」と回答した人は、全体の23.9%に達した。約4人に1人が課金に対して後悔の念を抱いた経験があるということだ。こちらも男女別に見ると、男性が27.2%、女性が20.6%と、男性の方が後悔経験を持つ割合が高い。

先に見たように、「ほしいアイテム・キャラのためのお金は惜しみたくない」と考える男性が25.8%、女性が18.2%いることを踏まえると、その「惜しみなく使った」結果が、一部で生活困窮や後悔につながっている可能性が示唆される。魅力的なコンテンツへの欲求と、現実的な支払い能力との間で葛藤する若者の姿が浮かび上がってくるようだ。

変化する20代のゲームとの向き合い方

今回の調査結果は、日本の20代におけるゲーム課金の複雑な実態を浮き彫りにした。課金に対する心理的なハードルは下がり、経験者の割合は増加している。これは、スマートフォンゲームの普及や、魅力的なコンテンツ、ゲームを有利に進めたい、あるいは楽しまないと損だという意識の高まりなどが背景にあると考えられる。

一方で、一人あたりの平均課金額は減少傾向にあり、課金による生活困窮や後悔といった問題も依然として存在している。物価高による可処分所得の圧迫や、いわゆる「タイパ」(タイムパフォーマンス)を重視し、時間短縮のために少額課金を選択する層の増加などが影響している可能性も考えられるだろう。

テクノロジーの進化とともに、ゲームの楽しみ方やお金との関わり方は変化し続ける。今回の調査結果は、ゲーム業界関係者にとっても、そしてゲームを楽しむ私たちユーザーにとっても、現代の若者の価値観や消費行動を理解する上で、非常に示唆に富むデータと言えるだろう。


Sources

Follow Me !

\ この記事が気に入ったら是非フォローを! /

フォローする
スポンサーリンク

コメントする