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SanDisk、世界最速を謳う「WD_BLACK SN8100 PCIe Gen5 SSD」を発売

Y Kobayashi

2025年5月14日

SanDiskのゲーミングブランドWD_BLACKから、待望のPCIe Gen5対応NVMe SSD「SN8100」が遂に登場した。最大14,900MB/sという驚異的な読込速度と共に、効率もアップしており、海外のテクノロジーサイトによる先行レビューでは概ね絶賛。「ゲーミングSSDの新たな王者」とも評されており、PCゲーマーにとって決定的なSSDとなりそうだ。

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爆速時代の幕開け:WD_BLACK SN8100が市場に投じる一石

「世界最速」の称号を掲げ、SanDiskが満を持して投入するWD_BLACK SN8100。 このSSDは、PCIe Gen5インターフェースの帯域幅を最大限に活用し、従来のPCIe Gen4 SSDを遥かに凌駕するパフォーマンスを実現する。特に、要求の厳しいPCゲーマー、4K/8Kといった高解像度コンテンツを扱うクリエイター、そしてAI開発といった最先端分野のプロフェッショナルにとって、まさに待望の製品と言えるだろう。

SanDiskは、SN8100が同社のPCIe Gen4ハイエンドモデルと比較して最大2倍の読込速度と、100%向上した電力効率を誇るとアピールしており、実際の使用環境における快適性と省電力性の両立を目指した結果と言えるだろう。

驚愕のスペック:SN8100を支えるテクノロジーの深層

WD_BLACK SN8100の心臓部には、SanDiskの最新技術が凝縮されている。

  • インターフェース: PCIe Gen5.0 x4 NVMe M.2 2280
  • 最大シーケンシャルリード: 14,900 MB/s (2TB, 4TBモデル)
  • 最大シーケンシャルライト: 14,000 MB/s (2TB, 4TBモデル)
    • なお、1TBモデルの書込速度は11,000MB/sとされている。
  • 最大ランダムアクセス性能: 230万IOPS以上 (リード・ライト、2TB, 4TBモデル)
  • NANDフラッシュメモリ: SanDisk BiCS8 TLC 3D CBA (CMOS directly bonded to array) NAND(PCGamesNのレビューでは、Kioxia製BiCS8 TLC 3D CBA NANDと具体的に言及されている)
  • コントローラー: SanDiskカスタム8チャンネルコントローラー (ファームウェアも独自開発)
    • PCGamesNは、以前のリーク情報からSilicon Motion SM2508ベースのカスタム品ではないかと推測しているが、SanDiskは詳細を明らかにしていない。
  • 電力効率: PCIe Gen4モデル比で100%向上、平均動作電力7W以下を実現。
  • 耐久性 (TBW):
    • 1TBモデル: 600 TBW
    • 2TBモデル: 1,200 TBW
    • 4TBモデル: 2,400 TBW
  • 保証期間: 5年間

特筆すべきは、SanDisk BiCS8 TLC 3D CBA NANDの採用だ。この技術は、高性能と高信頼性を両立させつつ、ドライブの薄型化と放熱性の向上、そして動作温度の低減に貢献しているとSanDiskは主張している。

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選べるラインナップと価格戦略:ヒートシンクモデルや将来の8TBも視野に

WD_BLACK SN8100は、ユーザーのニーズに合わせて複数の容量と、ヒートシンクの有無を選択できる。なお、日本での価格は発表時点ではオープン価格となっているため、米国発表時の価格を参考までに掲載しておく。

標準モデル (ヒートシンクなし):

  • 1TB: $179.99
  • 2TB: $279.99
  • 4TB: $549.99

ヒートシンク搭載モデル (2025年秋発売予定):

  • 1TB: $199.99
  • 2TB: $299.99
  • 4TB: $569.99

ヒートシンクモデルは、陽極酸化アルミニウム製の薄型パッシブ冷却設計を採用し、追加電源やファンを必要としない。 さらに、カスタマイズ可能なRGB LEDも搭載し、ゲーミングPCのドレスアップにも貢献する。 PCGamesNによれば、このヒートシンクはエアフローチャネルが一般的なPCケースの前面から背面へのエアフローに最適化されるよう、水平方向にカットされているという。

また、SanDiskは2025年後半には8TBモデルの投入も予定しており、大容量を求めるユーザーにとっても期待が持てる展開だ。

海外レビューの初陣:SN8100は「最速」の期待に応えられたか?

発売と同時に、複数の海外大手テックメディアがWD_BLACK SN8100のレビューを公開。その評価は、概ね「現行最速クラス」という称賛に満ちている。

圧倒的なパフォーマンス、特にSamsung 9100 Proとの比較

多くのレビューで共通しているのは、競合となるSamsung 9100 Proと比較しても遜色のない、あるいはそれを上回るパフォーマンスだ。

  • PCGamerは、「現時点で市場最速のPCIe 5.0 SSD」と断言し、94%という高評価を与えた。レビュー内の全てのベンチマークで他を圧倒し、特にランダム性能ではSamsung 9100 Proに対して31%もの向上を見せたという。
  • PCGamesNも「ゲーミングSSDの新たな王」と称賛。多くのテストでSamsung 9100 Proを打ち負かしたと報告。特にシーケンシャルライト性能では公称値を上回る14,088MB/sを記録し、Samsung 9100 Proの最速値を638MB/sも引き離した。 CrystalDiskMarkのランダム4KリードでもPCIe 4.0の旧モデルSN850Xを上回り、ランダムライトも他のPCIe 5.0ドライブより高速だった。 PCMark 10フルシステムドライブテストでも平均650MB/sとSamsung 9100 Proを上回り、アクセス時間も38µsと最速を記録した。
  • Windows Centralは、2TBモデルの実測でリード14,472MB/sを記録。公称値にはわずかに届かなかったものの、Samsung 990 PRO (PCIe 4.0) の約2倍の速度であり、「ドル/MB/s」の指標ではSamsung 990 PROよりも優れた価値を提供すると評価している。

温度管理の重要性:「速さ」の代償

一方で、高性能ゆえの発熱については、いくつかのレビューで注意点が挙げられている。

  • Windows Centralは、「PCIe 5.0ドライブは熱くなる」と指摘。通常時はSamsung 990 PROより5℃高い程度だったが、CrystalDiskMarkでのストレステストではASICコントローラー温度が99℃に達した(ただしHWiNFOの読み取り値であり、他のセンサーは55℃以下だった)。 強力なヒートシンクは必須であり、SanDiskがオプションでヒートシンクモデルを用意しているのはそのためだろうと述べている。
  • PCGamesNも、SN8100は高温になると警告。テスト中にスロットリングが発生するほどではなかったものの、マザーボード付属の大型ヒートシンク下で、CrystalDiskMarkの連続実行中にピーク温度73℃を記録した。 Samsung 9100 Proが同じクーラーで70℃だったことと比較し、SN8100は相対的に高温で動作すると指摘している。 ケースファンによるエアフロー確保と、可能な限り大型のヒートシンクの使用を推奨している。

コストパフォーマンスとターゲットユーザー

絶対的な価格は安くないものの、その性能を考慮すれば価値があるという意見が多い。

  • Windows Centralは、「絶対的な最速速度が必要ないなら、このドライブは必要ない。しかし、その恩恵を受けられ、適切なヒートシンクで保護できるなら、SanDiskは長期的な価値を提供する」と結論付けている。 4K以上のゲームプレイ映像を扱うコンテンツクリエイターや、最新パーツでPCを組みたいユーザーには魅力的だが、ヒートシンクなしでの運用は推奨できないとしている。
  • PCGamesNは、1TBモデルの価格がSamsung 9100 Proより$20安い点を指摘しつつも、依然として高価であると述べている。 「絶対的にお金で買える最高のSSDが欲しいなら、WD Black SN8100だ」としながらも、より安価な他のPCIe 5.0ドライブでも十分な性能が得られる可能性にも言及している。
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SanDisk/WDの狙い:ゲーマー、クリエイター、そしてAIの未来へ

SanDiskのバイスプレジデントであるEric Spanneut氏は、「ハイレベルなゲーミング、プロフェッショナルなコンテンツ制作、AIアプリケーションのいずれにおいても、高性能ユーザーは速度と電力効率を両立させたPCIe Gen5.0ストレージソリューションを手に入れることができる」とコメント。

また、AMDのSVP兼CTOであるJoe Macri氏や、Intelのクライアントエコシステムグループ担当VPであるTodd Lewellen氏も、それぞれSN8100のような高性能SSDがPCの革新を加速させることへの期待を寄せている。

これらのコメントからも、WD_BLACK SN8100が単なる速度追求だけでなく、次世代のコンピューティング環境を見据えた戦略的製品であることが伺える。特に電力効率の向上は、高性能化に伴う消費電力増大という課題に対する一つの答えと言えるだろう。

WD_BLACK SN8100は「買い」か?

WD_BLACK SN8100は、間違いなく現時点で市場最速クラスのコンシューマー向けSSDであり、そのパフォーマンスは多くのレビューで絶賛されている。特に、大容量ファイルの頻繁な読み書きを行うプロのクリエイターや、1フレームの遅延も許されないeスポーツプレイヤー、そして最先端のAI開発に携わる人々にとっては、作業効率を劇的に向上させる可能性を秘めている。

しかし、その高性能と引き換えに、適切な熱対策が不可欠である点、そして依然として高価である点は無視できない。一般的なPCユーザーにとってはオーバースペックとなる可能性も否めないだろう。

とはいえ、SanDiskがWD_BLACKブランドでPCIe Gen5市場の頂点を狙うという明確な意思を示したことは、今後のSSD市場の活性化に繋がることは間違いない。Samsungとの熾烈なトップ争いは、技術革新をさらに加速させ、将来的にはより高性能で手頃な価格の製品が登場することを期待させる。WD_BLACK SN8100は、その新たな時代の幕開けを告げる、象徴的な製品と言えるのではないだろうか。


Sources

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