Microsoftが2026年7月20日に公開したWindows 11 Insider Experimental Preview Build 26300.8935から、File ExplorerのファイルプロパティをWinUIで描く新画面が見つかった。ダークモードに対応し、Windows 11のほかの画面と近い外観へ変わっている。ただし、今動くのはごみ箱にある削除済みファイル向けの画面であり、Microsoftはこの変更を公式リリースノートで発表していない。長く残ってきたプロパティ画面の全面置換を告げる完成版ではなく、その入口となる試作が実機で動き始めた段階である。

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Build 26300.8935で動くのは「削除済みファイル」の1画面

Windowsの変更点を追跡するphantomofearthが7月21日に公開したスクリーンショットには、新しい「File Properties」がダークテーマで表示されている。確認できるタブはGeneralの1つだ。上部にはファイル名と種類、元の場所、サイズが並び、その下で削除日時と作成日時を確認できる。Read-onlyやHidden、Archiveといった属性もあり、下部には元の場所へ戻すRestoreボタンと、Apply、OK、Cancelが置かれた。

対象は通常のファイルではなく、ごみ箱の中にある削除済みファイルである。したがって、従来のプロパティ画面にある各種タブや、フォルダー、ドライブなどの画面までWinUIへ置き換わったとは判断できない。phantomofearthはほかの画面にも広がる見通しを示しているが、これはMicrosoftの発表ではない。

公式リリースノートに書かれたFile Explorerの変更は別にある。大きく断片化したファイルを削除する一部場面の高速化、Home画面の起動と応答の改善、Recommended欄のタッチスクロール対応だ。新しいFile Propertiesへの言及はない。このため、利用者向けに順次配信される機能ではなく、ビルド内に隠された開発途中の画面として扱う必要がある。

Build 26300.8935はWindows 11 version 26H2をenablement packageで提供するExperimental Channel向けビルドだ。Microsoftは同チャネルの説明で、試験中の機能は変更、削除、置換されることがあり、Windows Insiderの外へ出ない場合もあると明記している。画面が動いた事実と、一般提供が決まったことは分けなければならない。

File Explorerは部分ごとにWinUI3へ移ってきた

今回の試作は、Microsoftが続けてきた段階的な移行とつながる。同社は2023年、File ExplorerにWinUI3を導入したと説明した。同時に紹介した「Island」は、アプリ全体を作り直さず、必要な部分へWinUI3の外観や機能を組み込む仕組みである。この方式なら、File Explorerの既存部分を残しながら対象を区切って更新できる。

2026年3月に示したWindows品質計画では、Microsoftは中核的なWindows体験をWinUI3へ移し、操作の遅延と共通UI基盤の負荷を減らす方針を掲げた。File Explorerでは検索や移動、コンテキストメニュー、ファイル操作の遅延を下げ、信頼性を高めるとしている。見た目の統一と応答性の改善を同じ年間計画に入れた点から、新しいプロパティ画面も孤立した化粧直しではなく、Shellを部分ごとに更新する流れにあると考えられる。

ただし、WinUIを使うこと自体が速度を保証するわけではない。MicrosoftはBuild 26300.8935でHome起動や一部の削除処理が速くなったと述べているものの、新旧のプロパティ画面を比べた測定値は示していない。ダークモード対応は画像で確認できても、起動時間やメモリ使用量は実装が広がってから個別に測る必要がある。

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見た目の統一より重い、プロパティシートの互換性

通常のファイルプロパティは、Windowsだけで完結する固定画面ではない。Microsoft Learnによると、Win32 ShellのIShellPropSheetExtインターフェースは、ファイルの種類ごとに登録されたプロパティシート・ハンドラーを呼び出し、既定画面へカスタムページを追加できる。Microsoftの資料に記載された最小対応クライアントはWindows XPであり、長く使われてきた拡張経路だ。

この仕組みがあるため、全面置換では標準項目をWinUIで描き直す以上の作業が要る。既存のハンドラーが追加するページをどう表示するのか、旧来のページと新しい画面を併存させるのか、互換性のない拡張をどこで扱うのかを決めなければならない。今回の削除済みファイル向け画面は、表示する項目と操作が比較的限られている。対象を絞れば新UIの表示と復元操作を先に試せるが、通常ファイルへの展開を保証する証拠にはならない。

機能同等性も同じ問題を抱える。現在の画像で確認できるのはGeneralタブとRestore操作までで、通常ファイルに必要な追加タブが新UIで実装されたかは分からない。利用者にとって移行の成否を決めるのは、丸みを帯びた外観や暗い背景より、今まで開けた項目と第三者製のページが失われないことだ。

一般提供までに確認したい条件

第一の確認点は、通常のファイルとフォルダーでも新画面が有効になるかだ。削除済みファイル専用の試作から対象が広がれば、プロパティシート全体を移す意思が一段はっきりする。第二は、標準の追加タブとIShellPropSheetExtで登録されたページが動くかである。外観が揃っても、既存機能やShell拡張を呼び出せなければ置換は終わらない。

第三は性能だ。Microsoftが掲げる遅延削減を裏づけるには、新旧画面の起動時間、操作中の応答、メモリ使用量を同じ条件で比べる必要がある。第四は配信経路である。MicrosoftがExperimental Channelでこの画面を既定有効にするか、公式変更点として告知するか、さらにほかのInsider Channelへ広げるかを順に確認したい。

Build 26300.8935で見えたのは、長く残ったプロパティ画面をWinUIへ移す初期の試作だ。次の節目は新しい見た目の追加ではなく、通常ファイルで既存タブと拡張ページを保ったまま開き、旧画面と同等以上の速度を測定できる時点になる。