Anthropicが四半期売上でOpenAIを初めて上回った。Wall Street Journal(WSJ)が報じた2026年第2四半期の売上高は、Anthropicが116億ドル、OpenAIが67億ドルである。Anthropicは第1四半期から2倍超、OpenAIは18%増となり、成長率の差が売上順位に表れた。
ただし、116億ドル対67億ドルを、そのまま競争力や市場シェアの差には置き換えられない。両社は非公開企業で、今回の数値は監査済みの公開財務諸表ではなく、投資家向け資料や関係者情報に基づく報道である。さらに、売上へ含める範囲と利益を示す指標にも差がある。売上順位は逆転したが、数字の差はそのまま事業規模の差ではない。
116億ドル対67億ドル、伸び方が分かれた
WSJによると、OpenAIの第2四半期売上高は67億ドルで、第1四半期の57億ドルから18%増えた。増収ではあるが、Anthropicの伸びはそれを大きく上回った。Anthropicは第1四半期の47億3000万ドルから2倍超の116億ドルへ増えたとされる。
Anthropicの第2四半期値は、Bloombergが報じた暫定売上高「115億ドル超」とも整合する。Bloombergは前年同期の売上高を7億8700万ドルとしており、前年からの増加幅も大きい。もっとも、いずれも報道に基づく非公開企業の数値であり、公式に開示された四半期決算ではない。
| 企業 | 2026年第1四半期 | 2026年第2四半期 | 第2四半期までに報じられた変化 |
|---|---|---|---|
| Anthropic | 47億3000万ドル | 116億ドル | 第1四半期から2倍超、OpenAIを初めて上回ったとWSJが報道 |
| OpenAI | 57億ドル | 67億ドル | 前四半期比18%増とWSJが報道 |
同じ四半期に両社の売上が増えたなかで、差を生んだのは増収の有無ではなく増加の速度である。ただし、この表で見えるのは各社の報告値の比較であって、同じ会計範囲で測った売上の比較ではない。
Claude Codeを含む企業・開発者向け販売
Anthropicは2026年2月、年率換算売上高(run-rate revenue)が140億ドルに達したと発表していた。run-rate revenueは、短期間の足元実績を年率換算する指標であり、3カ月間に認識した売上を示す四半期売上高とは同じものではない。同社はClaude Code、API、Claude for Workをそれぞれ売上の入口としている。
なかでもClaude Codeのrun-rate revenueは25億ドル超だった。Anthropicによれば、Claude Codeの企業利用は同製品売上の半分超を占め、年間100万ドル超を利用する顧客は500社を超えた。企業がコード生成や開発作業で使う製品と、開発者がAPI経由で組み込む利用の双方が、売上の拡大に寄与する販売構成である。
OpenAIも企業向けを広げている。OpenAIは3月31日時点で月間売上高を20億ドルとし、企業向け売上が40%超を占めると説明していた。一方、同時点では消費者向けが売上の過半を占めていた。Anthropicが示した企業利用の比率はClaude Code内の値で、OpenAIの40%超は全社売上に占める値である。この2つから両社全体の企業向け比率は比較できない。
売上計上の範囲と利益指標はそろわない
今回の逆転を収益力の逆転と呼ぶには、会計上の前提がそろっていない。WSJが4月に比較した投資家向け資料では、Anthropicはクラウドパートナー経由の販売を売上として計上する一方、OpenAIは同様には計上しないとされる。クラウド経由の販売を含めるかどうかで、同じ顧客利用でも売上高に表れる範囲が変わる。
利益の見せ方にも差がある。比較された資料では、AnthropicはEBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)を基準にし、OpenAIはEBIT(利払い・税引前利益)を基準にしていた。両社ともモデル訓練コストを含む版と除く版を示していたため、利益の数字も一つの定義だけで並べられない。
WSJはAnthropicが小幅な営業黒字へ転じたと報じ、Bloombergも調整後営業損益が黒字だったと報じた。これは公開企業のGAAP純利益を意味しない。売上高の順位と、どの費用を差し引いた後に利益が残るかは別の問いである。
GPT-5.6後の数字は第3四半期で問われる
第2四半期は6月30日までである。OpenAIがGPT-5.6の一般提供を始めたのは7月9日で、Terraを20%、Lunaを80%値下げした追記も7月30日付である。いずれも第2四半期の終了後であり、投入と値下げの影響は今回の67億ドルに反映されていない。
WSJによれば、OpenAIは投資家に対し、第3四半期には成長が再加速したと説明したという。ただし、比較できる四半期売上高はまだ示されていない。第3四半期の数字が出るまで、GPT-5.6と価格改定が売上構成や成長率にどう影響したかは確認できない。
次の比較では、売上額に加え、クラウドパートナー経由の販売をどこまで含むか、モデル訓練コストを利益指標へどう反映するかも必要になる。GPT-5.6後の四半期売上と共通の会計範囲がそろえば、今回の逆転が続くのかを判断できる。



