OpenAIは2026年8月6日、ChatGPTの無料・GoプランでGPT-5.6 Lunaを既定モデルにし、テキスト会話を無制限にすると発表した。Lunaへの切り替えは今週、無制限化と新しい「Think」ボタンの提供は来週に始まる。無料版では、これまでGPT-5.5 Instantの利用量が5時間単位で制限されてきた。今回の変更で、文章でのやり取りを止めずに続けられる常用サービスへ近づく。一方、画像やファイル、各種ツールには従来通り上限が残り、「無制限」が指す範囲を見誤ると期待との差が生じる。
無制限になるのは「テキスト会話」
無制限化の対象は、GPT-5.6 Lunaを使うテキスト会話である。OpenAIは無料・Goプランの既定モデルを今週中にLunaへ替え、翌週からテキストのレート制限を外すとしている。利用者がモデル一覧からLunaを選ぶ方式ではない。通常のChatGPTでは、Lunaが無料版の標準応答を自動的に担う。
ただし、ファイルのアップロード、画像、その他のツールには利用上限が残る。不正利用を防ぐガードレールも適用されるため、自動化した大量送信まで保証する提供条件ではない。OpenAIは応答速度や混雑時の処理量についてサービス水準を示しておらず、ここで約束されたのはテキスト会話を回数制限で打ち切らないことだ。
「Think」ボタンは、難しい質問に対してLunaへより長く考える時間を与える。無料利用者がGPT-5.6 Solへ切り替える機能ではなく、同じLunaの推論時間を増やす操作である。無料・GoプランにはSolが含まれず、Lunaも標準チャットのモデル一覧から直接選択できない。この区別により、無料版の継続利用は広がるが、最上位モデルへのアクセスまで開放されたわけではない。
5時間枠からLuna常用へ
OpenAIのヘルプセンターは、無料版のGPT-5.5 Instantについて5時間の枠内で利用量を制限すると説明してきた。上限は固定値ではなく、市場やシステム状況、不正利用防止措置、個々の利用状況によって変動する。今回の更新後はLunaが無料・Goプランの既定となり、少なくともテキスト会話はこの時間枠に遮られなくなる。
変化が効くのは、短い質問を数回投げる利用者より、文脈を保ったまま作業を続けたい人だ。履歴書や長文の推敲、学習中の質疑、旅行計画の具体化などは、途中で利用枠を使い切ると会話の流れが切れる。テキストの回数制限が外れれば、同じスレッドで修正を重ねやすくなる。OpenAIによると、ChatGPTの週間利用者は10億人に達しており、無料枠の変更は有料機能の追加より広い層へ届く。
有料版との境界も引き直された。PlusとProでは、日常会話向けに調整したGPT-5.6 Solが即時応答から深い推論までを担い、考える量をスライダーで選べる。無料・Goでは低コストのLunaを既定にし、必要な場面でThinkを押す。テキスト会話を続けられるかという差が縮まり、有料版との主な差は使えるモデルの能力と推論量に残る。
80%値下げの翌週に来た無料枠拡大
OpenAIは無料枠の発表に先立つ2026年7月30日、LunaのAPI価格を80%引き下げた。100万入力トークン当たり1ドルから0.20ドル、100万出力トークン当たり6ドルから1.20ドルへ下がった。LunaはGPT-5.6系で最も速く、最も安いモデルとされ、高頻度で処理する用途を受け持つ。
API価格はChatGPT一会話当たりの社内原価を示す数字ではない。それでも、Lunaの値下げと無料版への投入が7日間隔で続いた事実は、OpenAIが大量の日常処理を低コストモデルに担わせる方針と一致する。同社はモデル、推論基盤、ツールをつなぐ仕組みを効率化し、同じ計算資源でより多くの処理を完了できるようになったと説明している。
この配分なら、高価なSolを全利用者の標準にする必要はない。大量の日常会話をLunaが処理し、料金を払う利用者にはSolの高い推論能力と調整機能を提供できる。OpenAIは、能力とコストの異なるモデルをプラン別に割り当てながら、無料枠を広げた。
無料版の標準品質はどこまで上がるか
OpenAIの社内評価では、金融、医療、法律の詳細な事実を問う課題で、少なくとも1件の事実誤りを含む回答はGPT-5.6 Lunaの方がGPT-5.5 Instantより約62%少なかった。同社は、検索した情報を質問に合わせて使う能力の改善によるものだと説明する。無料版は利用回数が増えると同時に、既定モデルの正確さも上がるという主張である。
ただし、発表ページは評価件数や問題の内訳を開示しておらず、62%はOpenAIの内部試験による相対値だ。医療や法律の回答が正しいと保証する数字ではない。重要な判断で出典を確かめる必要は残る。
実際の評価は、来週の展開後に無料アカウントで長い会話を続けたとき、文脈保持と応答速度が落ちないかで決まる。画像やファイルを多用する作業では別枠の上限が先に来る。テキスト中心の相談と執筆でLunaが混雑時にも安定すれば、ChatGPT無料版は試用枠から日常の作業環境へ一歩進む。



