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Intel 18AとTSMC N2の比較:処理速度はIntel、トランジスタ密度はTSMCが優位か

Y Kobayashi

2025年2月14日

TechInsightsとSemiWikiがIEDMで発表されたIntelとTSMCの次世代プロセス技術(それぞれ18AとN2)の詳細を分析している。それによると、Intel 18Aは高性能、TSMC N2は高密度に強みを持つ可能性が示唆された。両社の技術競争が激化する中、2025年の半導体市場に大きな変化が訪れるかもしれない。

IntelとTSMCの次世代プロセス技術競争

2024年12月に開催された国際電子デバイス会議(IEDM)で、IntelとTSMCはそれぞれ18A(1.8nmクラス)とN2(2nmクラス)のプロセス技術を発表した。TechInsightsの分析によると、Intelの18Aは性能面で優位性を持つ可能性があり、一方TSMCのN2はトランジスタ密度でリードする可能性がありそうだ。

トランジスタ密度:TSMC N2がリード

半導体チップの性能と集積度を測る重要な指標であるトランジスタ密度。TechInsightsの分析によると、TSMCのN2プロセスは高密度(HD)スタンダードセルにおいて313 MTr/mm²(平方ミリメートルあたり数百万トランジスタ)を実現し、Intel 18Aの238 MTr/mm²、Samsung SF2/SF3Pの231 MTr/mm²を大きく引き離していることが判明した。

この数値は、SRAMセルのサイズやTSMC自身のN2およびN3の予測とも整合性が取れているとされる。ただし、これはHDセルに限った比較であり、実際のプロセッサではHD、高パフォーマンス(HP)、低電力(LP)のセルが組み合わされる点に注意が必要だ。HPセルやLPセルでの密度比較は現時点では不明確であり、N2が密度でリードしているとしても、HDセルほどの差ではない可能性がある。

性能:Intel 18Aが優位に立つ可能性

パフォーマンス比較において、TechInsightsはIntel 18AがTSMC N2やSamsung SF2よりも優位に立つと予測している。ただし、この予測方法は、TSMCの16nmプロセスとSamsungの14nmプロセスを基準点とし、両社が発表した世代間の性能向上率を積み重ねるという、推測に基づいたものだ。

Intelは高性能プロセッサに特化しており、18Aプロセスはトランジスタ密度よりもパフォーマンスと電力効率を重視している可能性がある。Intel 18Aの最大の武器は、ウェハー裏面から電力を供給するPowerVia技術だ。PowerViaはチップの性能とトランジスタ密度を向上させる可能性があり、TSMC N2は同等の技術をサポートしていない。ただし、PowerViaがすべての18Aチップに採用されるわけではない点には留意が必要だ。

消費電力:TSMCに優位性、IntelはPowerViaで対抗

電力効率:TSMC N2がリード、Intel 18Aの動向に注目

電力効率においては、近年TSMCが業界をリードしてきた実績から、N2プロセスがSamsung SF2よりも低い消費電力になるとTechInsightsは見ている。Intel 18Aの電力効率はまだ不透明ですが、PowerVia技術が電力効率の改善にも貢献する可能性があるだろう。TechInsightsの分析によると、TSMCはN2プロセスで30%の電力改善または15%の性能向上を達成すると発表しており、Samsungの25%の改善を上回っている。

ただし、TechInsightsが初期のTSMCの発表資料から分析した電力効率のグラフと、最終版の論文とで数値に大きな乖離が見られる点が指摘されている。初期のグラフではN3からN2への電力効率の改善が55%と示されていたのに対し、TSMCの公式発表は30%だ。この食い違いの理由は不明であり、最終版の論文からグラフが削除された背景も不明となっている。

製造時期と市場への影響

製造スケジュールについては、Intel 18Aは2025年半ばに量産開始、Core Ultra 3シリーズ「Panther Lake」プロセッサに採用され、年内後半には市場に投入される見込みだ。一方、TSMC N2は2025年後半に量産開始予定で、製品の市場投入は早くとも2026年半ば、 大量生産は2026年秋以降になると予想されている。Samsung SF2の量産開始時期は2025年中とされているが、具体的な時期は不明だ。

ウェハーコストに関しては、TSMC N2のウェハー価格が3万ドルに達するという報道があるが、TechInsightsはこれを疑問視している。3nmプロセスから2nmプロセスへの価格上昇率がトランジスタ密度の向上率を大幅に上回る場合、顧客がIntelやSamsungに流れる可能性を指摘しており、TechInsightsは、TSMC N2のウェハー価格を3万ドル以下と予測している。


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