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Google、「NotebookLM」に待望のモバイルアプリを追加:5月20日のリリースに向けて予約開始

Y Kobayashi

2025年5月3日

GoogleのAI戦略において、時に派手な「Gemini」の影に隠れがちながら、着実に支持を集めてきたAIリサーチアシスタント「NotebookLM」。これまでWebブラウザ版のみの提供だったこのツールが、ついに専用モバイルアプリとして登場する。すでにGoogle Play StoreとiOS App Storeでは事前登録(予約注文)が開始されており、研究者や学生、そして知的好奇心旺盛なすべての人々にとって、情報との向き合い方が大きく変わる可能性を秘めている。

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なぜ今、NotebookLMアプリなのか? – Web版の成功とユーザーの声

NotebookLMが最初に登場したのは2023年。PDF、WebサイトのURL、YouTube動画、Googleドキュメント、さらにはコピーしたテキストなど、ユーザーが提供した情報源(ソース)を学習し、その内容について深く理解し、要約や質問応答、アイデア出しまでこなす「パーソナルなAI専門家」として設計された。

その最大の特徴は、一般的なチャットAIのようにインターネット全体から情報を拾ってくるのではなく、あくまでユーザーが指定したソースのみに基づいて回答を生成する点にある。 これにより、AIがもっともらしい嘘をつく「ハルシネーション」のリスクを低減し、さらに回答には必ずソース内の該当箇所への引用が付与されるため、情報の正確性をユーザー自身が容易に確認できる。この信頼性の高さが評価され、学術研究や専門的な文書の読解、あるいは複雑な情報の整理といった場面で、熱心なユーザー層を獲得してきたと言えるだろう。

Web版の使い勝手はデスクトップ環境では良好だったものの、スマートフォンでの利用は最適化されているとは言い難かった。情報収集や学習の場が多様化する現代において、移動中や外出先でも手軽にNotebookLMの機能を使いたい、という声が高まるのは自然な流れだった。今回のアプリ化は、こうしたユーザーの声に応え、NotebookLMの利便性を飛躍的に高め、さらに多くの人々にその価値を届けるための一手となりそうだ。

モバイルアプリで何が変わる? – 主要機能と利便性向上

では、具体的にモバイルアプリ版NotebookLMでは何ができるようになるのだろうか? 各ソースの情報やアプリストアのスクリーンショットから、その姿が見えてきた。

まず、基本的な機能として、既存のノートブック(特定のテーマに関するソースとAIの対話をまとめたもの)の閲覧や、新たなノートブックの作成がモバイルデバイス上で可能になる。

ソースの追加方法も格段に便利になる。デバイス内に保存されているPDFファイルはもちろん、WebサイトのURL、YouTube動画のリンク、コピーしたテキストなどを直接アプリに投入できる。特に注目すべきは、スマートフォンの「共有」メニューとの連携だ。これにより、ブラウジング中に見つけた記事や、他のアプリで扱っている文書などを、NotebookLMアプリを開くことなく、シームレスに指定のノートブックへ送信できるようになる。この機能は、情報収集のワークフローを大幅に効率化する機能だ。

もちろん、NotebookLMの中核機能であるAIへの質問応答もアプリ上で利用可能だ。通勤中の電車内や、ちょっとした空き時間に、気になる点を確認したり、複雑な資料の要点をつかんだりといった使い方が容易になるだろう。

プラットフォームは、AndroidスマートフォンとiPhoneの両方に対応。さらに、iPadやAndroidタブレットといった、より大きな画面を持つデバイスにも最適化されるようだ。また、タブレット版では画面分割(スプリットスクリーン)表示に対応し、ソースリストとAIチャット画面を同時に表示させながら、より効率的な作業が可能になるようだ。

いつでもどこでもAIと対話 – オーディオ要約機能の進化

NotebookLMのユニークな機能の一つに、「音声概要(Audio Overviews)」がある。これは、アップロードされたソースに基づいて、AIがまるでポッドキャスト番組のように内容を解説してくれる機能だ。この機能もモバイルアプリで利用可能となり、さらに利便性が向上する。

特筆すべきは、バックグラウンド再生とオフライン再生への対応だ。これにより、他のアプリを使用しながら、あるいはスマートフォンの画面をロックした状態でも、AIによる解説を聞き続けることができる。通勤・通学中や運動中など、耳からの情報収集が適した場面で威力を発揮するだろう。また、事前に音声概要をダウンロードしておけば、インターネット接続がない環境でも利用できるため、飛行機での移動中や電波の不安定な場所での学習にも役立つ。

さらに、アプリのオーディオプレーヤーには、再生中にユーザーが「会話に参加」し、AIに対して追加の質問をしたり、不明点を尋ねたりする機能も搭載されるようだ。これは単なる再生機能を超え、よりインタラクティブな学習体験を提供するものと言える。これは、新しい情報摂取の形として注目に値する機能だ。

情報収集がシームレスに – 共有機能とソース管理

前述の通り、モバイルアプリではデバイスからの直接アップロードや共有メニュー経由でのソース追加が可能になる。これは、情報収集の「入口」としての役割を強化するものだ。Webブラウジング中、SNSのタイムライン、あるいはメールで受け取った添付ファイルなど、あらゆる場面で「これはNotebookLMで深掘りしたい」と感じた情報を、その場で即座に取り込めるようになる。

アプリのインターフェースによれば、「ホーム画面」には最近使ったノートブックや共有されたノートブック、ダウンロード済みのコンテンツなどがタブで整理され、アクセスしやすくなっている。ノートブックを開くと、画面下部には「ソース」「チャット」「スタジオ」(設定や利用状況などを確認する場所か?)といった主要機能へ素早くアクセスできるツールバーが配置されるようだ。こうしたUI/UXへの配慮は、モバイル環境での快適な操作性を追求した結果だろう。

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信頼できるAIアシスタント – NotebookLMの強み

数多あるAIツールの中で、NotebookLMが際立つ理由は何か。それはやはり、その設計思想にある。一般的な生成AIが広範な知識を持つ反面、情報の出所が不明確だったり、時に誤情報(ハルシネーション)を生み出したりするリスクを抱えているのに対し、NotebookLMはユーザーが提供した「閉じた情報空間」に特化する。

これにより、AIの回答は常にユーザーが与えたソースに基づいたものとなり、信頼性が格段に向上する。さらに、すべての回答にインライン引用が付くため、ユーザーはワンクリックで元の文書の該当箇所を確認し、ファクトチェックを行うことができる。この透明性は、特に学術的な利用や正確性が求められる業務において、決定的な強みとなる。

また、その情報処理能力も高く、最大50万トークンという広大なコンテキストウィンドウと、最大200MBのドキュメントアップロードに対応している。

ただし、音声概要など一部の高度な機能について、月額1980円のGemini Advancedサブスクリプションが必要になる可能性もありそうだる。この点については、正式リリースやGoogle I/Oでの発表を待つ必要があるだろう。もし一部機能が有料となる場合、その価格設定や無料版との機能差が、普及の鍵を握るかもしれない。

Google I/Oでの発表にも期待

さて、この待望のNotebookLMモバイルアプリだが、 App Storeのリストによれば、2025年5月20日が予定リリース日とされている。これは、Googleの年次開発者会議「Google I/O 2025」の開幕日と一致しており、偶然ではないだろう。Google I/Oの基調講演や関連セッションで、このアプリに関するさらなる詳細やデモンストレーション、そして今後のロードマップなどが発表される可能性が高いと見られる。

現在、Google Play StoreApp Storeの両方で、事前登録(Android)または予約注文(iOS)が可能だ。これを行っておけば、リリース日にアプリが自動的にダウンロード・インストールされる(設定による)。

ただし、App Storeの予定日はあくまで目安であり、若干前後する可能性もある点には注意が必要だ。とはいえ、「ベータ版のローンチまで数週間」という公式の言及や、Google I/Oという絶好の発表タイミングを考えると、5月20日前後にリリースされる可能性は極めて高いと言えるだろう。


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