Intelは、将来のサーバーCPU「Coral Rapids」で同時マルチスレッディング(SMT)を復活させる。Lip-Bu Tan CEOが2026年7月23日の第2四半期決算説明会で、Clearwater Forest、Diamond Rapidsに続くロードマップを説明し、Coral Rapidsにマルチスレッディングを載せると明言した。

ただし、これは初めて示された方針ではない。Intelは2025年第4四半期の決算説明資料ですでに同じ計画を公表していた。今回の発言で鮮明になったのは、IntelがSMTを過去の機能として片付けず、サーバー市場でAMDに追いつくための設計要素として扱い続けていることだ。

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再確認だったSMT復活

Tan氏は説明会の質疑で、IntelにはClearwater Forest、Diamond Rapids、そして「SMTを備えたCoral Rapids」があると述べた。競争力を高めるには、シングルスレッド性能とマルチスレッド性能の両方を改善する必要があり、後者はCoral Rapidsで戻るという説明である。

方針の起点は少なくとも1年前にさかのぼる。Intelは2025年7月、SMTから離れたことでデータセンター事業が競争上不利になり、復活によって性能差を縮めると説明した。さらに2025年第4四半期の資料では、サーバーロードマップを簡素化し、16チャネル版Diamond Rapidsへ資源を集中するとともに、Coral Rapidsの導入を可能な限り前倒しすると記している。

つまり今回の変化は、SMT復活の初公表ではなく、経営トップが競争力回復策として再び明示したことにある。Intelが決算説明会でこの機能を繰り返し取り上げるのは、論理スレッド数がクラウドや仮想化、並列度の高いサーバー処理の収容力を左右する一要素になるからだ。

2028年という日付はCoralにまだ結び付かない

Intelの公開資料は、Coral Rapidsの発売年を示していない。2026年第2四半期の決算説明資料で2028年と明記されたのは、次世代製造プロセス「Intel 14A」の大規模量産である。同社は14Aを2027年後半にリスク生産へ移し、2028年の量産立ち上げに全面的に投資するとしたが、Coral Rapidsが14Aを使うとも、同じ年に発売されるとも述べていない。

製品名にも同じ境界がある。Intelが確認したコードネームはCoral Rapidsまでで、「Xeon 8」というブランドやコア数は公表されていない。消費電力、メモリ構成、SMTによる性能向上率も未発表だ。製造プロセスの量産年を、そのプロセスを使うと確認されていないCPUの発売年へ読み替えることはできない。

直前世代のDiamond RapidsがSMTを搭載しないという見方も、公式確認済みとは言い切れない。2026年6月のComputexでIntel幹部にこの点を尋ねたTom's Hardwareの取材では、同社はDiamond Rapidsの詳細を後日説明するとして回答を避けた。Coral Rapidsで「再導入」すると述べている以上、ロードマップのどこかに空白が生じる可能性は高い。それでも、その空白がどの製品から始まり、何世代続くかは公開情報で確定していない。

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128コア256スレッドと288コア288スレッド

現在のXeonを見れば、IntelサーバーCPUが一斉にSMTを捨てたという理解も正確ではない。Pコアを使うXeon 6の最上位「6980P」は128コア、256スレッドで、Hyper-Threadingを有効にしている。一方、2026年第2四半期に投入されたEコア版Xeon 6+の「6990E+」は288コア、288スレッドだ。

製品 コア構成 物理コア 論理スレッド SMT
Intel Xeon 6980P(Granite Rapids) Pコア 128 256 有効
Intel Xeon 6990E+(Clearwater Forest) Eコア 288 288 非搭載
AMD EPYC 9006最上位構成 Zen 6系 最大256 最大512 有効

この表は性能順位ではなく、各社が並列性をどこから得るかの違いを示す。Clearwater Forestは小型のEコアを多数積み、1コア1スレッドで密度を稼ぐ。Granite RapidsとEPYCは、1つの物理コアに2つの実行コンテキストを持たせ、コア内で余っている実行資源を別のスレッドへ回す。論理スレッドが倍でも、演算器やキャッシュまで二組になるわけではない。

IntelがCoral Rapidsで戻そうとしているのは、この後者の選択肢である。Pコアのシングルスレッド性能を保ちながら、待ち時間が多い処理や多数の独立した要求を同時に抱える環境では、空いている実行資源を使ってソケット当たりの処理量を増やせる。

サーバー運用で効くのは、短時間の最高性能よりも、一定の電力とラック数で何件の処理を収容できるかである。Intelの説明では、Hyper-Threadingを有効にした物理コアは2つの論理プロセッサとしてOSに見え、vCPUはそのどちらにも割り当てられる。ただし各vCPUは専用の物理コアではなく、同じコアの資源を時間分割しながら使う。論理スレッド数をそのまま演算能力と見なせない理由はここにある。

最大512スレッドとの競争

Intelの再確認と同じ7月23日、AMDは第6世代EPYC 9006を前面に出し、最大256コア、512スレッドを掲げた。仕様は変更される可能性があるものの、AMDはエージェント型AI、クラウド、仮想化でスレッド密度を明確な販売軸にしている。Intelの現行Pコア最上位が256スレッドであることを考えると、Coral RapidsのSMTは機能表の復刻ではなく、ソケットとラックの収容力を競うための装備になる。

SMTの効果は負荷によって大きく変わる。Intelのサポート資料は、Hyper-ThreadingによるCPU利用率の向上を一般に約10〜30%としている。物理コア数が倍になるわけではないため、性能も倍にはならない。Intel自身も、oneMKLのように同種の計算で演算資源を使い切る処理では、SMTを無効にした方が速くなる場合があると説明している。

仮想化では、1つの物理コアが2つの論理プロセッサとして見えるため、ハイパーバイザーが割り当てられるvCPUの候補は増える。ただし、隣り合う論理プロセッサは実行資源とキャッシュを共有する。性能保証が必要なVMでは、物理コア単位の配置やスレッドの固定を考えなければならない。

共有はセキュリティ上の設計条件にもなる。Intelの管理者向け指針は、信頼できないゲストが同じ物理コアを共有する環境では、マイクロコードとOSの緩和策に加え、ゲストを物理コア単位で分離するスケジューリングを検討するよう求めている。SMTを無効にすれば共有面は減るが、システム全体の処理量も下がり得る。運用者が性能と分離を選べることに価値がある。

Coral Rapidsの成否は「SMTが戻った」という仕様欄では決まらない。確認すべきなのは、物理コア数と電力枠を揃えたときのスループット、1スレッド当たりの性能、SMTを有効にした際の性能効率、そして隔離を施したクラウド環境で残る実効密度である。Intelがその数字と投入時期を示したとき、ロードマップの空白を埋められるかが初めて測れる。