最新のリークによると、NVIDIAの次期ミドルレンジGPU「GeForce RTX 5060 Ti」が4月16日に発売される可能性があるようだ。当初3月末の発売が予想されていた同製品だが、計画変更により延期。8GBと16GBのバージョンが同時に市場投入される見込みとのこと。加えて、仕様の詳細についても明らかになっている。
RTX 5060 Tiの最終仕様の詳細
VideoCardzが入手したという情報に基づいて報じているところでは、RTX 5060 Tiの最終仕様は以下の通りになるようだ:
RTX 5060 Tiは「GB206-300-A1」GPUを搭載し、4,608基のCUDAコア(並列演算処理ユニット)を実装。ベースクロックは2,407MHz、ブーストクロックは約2,570〜2,572MHzと報じられている。これは前世代のRTX 4060 Tiと比較して100MHz未満の向上にとどまる。
メモリ構成については、8GBと16GBの2つのバリエーションが用意され、いずれも128ビットのメモリバスを採用する。最も注目すべき点は、28Gbpsの高速GDDR7メモリを搭載することで、帯域幅は448GB/sに達する点だ。これは前世代のRTX 4060 Ti(18Gbpsメモリ、288GB/s帯域幅)と比較して約55%の大幅な向上となり、高解像度テクスチャの処理性能や全体的なゲームパフォーマンスに好影響を与えることが期待される。
クロック周波数については、ベースクロックが2407MHzでブーストクロックが2572MHzと設定される見込みだ。これは前世代のRTX 4060 Tiと比較して、ベースクロックで97MHz(約4.2%向上)、ブーストクロックで37MHz(約1.5%向上)の改善となる。クロック周波数の向上幅は控えめだが、アーキテクチャの改良と合わせて性能向上に寄与するとみられる。
電力要件に関しては、TDP(熱設計電力)が180Wと設定され、RTX 4060 Tiの165Wから15W(約9.1%)増加する。電源コネクタについては、一部のカスタムモデルでは従来の8ピンPCIe補助電源コネクタを採用するが、多くのモデルでは16ピン電源コネクタ(12V-2×6)を採用すると予想されている。ユーザーは既存の電源ユニットとの互換性確認が必要になるだろう。
現時点での情報に基づけば、RTX 5060 Tiは前世代のRTX 4060 Tiと比較して「少し速い」程度のパフォーマンス向上が予想される。CUDAコア数の微増とクロック周波数の小幅な向上からは劇的な性能向上は見込めないが、GDDR7メモリの大幅な帯域幅向上が特定のシナリオでのパフォーマンス向上に貢献する可能性がある。
また、Blackwellアーキテクチャに基づく同GPUは、マルチフレーム生成機能やニューラルレンダリングサポートなど、新世代の機能も搭載する見込みである。
発売日と価格戦略
有名なハードウェアリーカーであるwxnodによると、RTX 5060 Tiの発売日は2025年4月16日に設定されているとのことだ。特に注目すべきは、当初予定では16GBモデルが3月末、8GBモデルが4月中旬という段階的な発売が検討されていたが、計画が変更され、両バリエーションが同時に発売されることになったという点だ。
この発売延期の背景には、十分な初期出荷量を確保するためとの見方がある。NVIDIAはRTX 5090、5080、5070 Tiなど上位モデルの発売時に在庫不足の問題を抱えており、いわゆる「ペーパーローンチ」(発表はされたものの実際には入手困難な状態での発売)を避けるための措置とみられる。特にRTX 5060 Tiは、ハイエンドモデルに比べて需要が大きいと予想されるため、十分な在庫確保は重要な戦略といえる。
価格については公式発表はまだないが、リーク情報によれば399〜449ドル(米国価格)の範囲になるとの予測がある。一部の情報源ではより広い価格帯(400〜500ドル)を示唆しており、特に16GBモデルは上限価格に近い設定になる可能性もある。これは前世代のRTX 4060 Tiの価格帯と同程度だが、近年のGPU価格高騰トレンドを考慮すると、実際の小売価格はメーカー希望小売価格を上回る展開も想定される。
市場での位置づけと競合状況
RTX 5060 Tiは、NVIDIAのBlackwellアーキテクチャを採用したミドルレンジGPUとして、幅広いゲーマー層をターゲットとする製品だ。しかし、その市場での位置づけには複数の課題が存在する。
まず、同じBlackwellアーキテクチャを採用するRTX 5070(6144 CUDAコア搭載)との比較である。RTX 5070の予想価格が549ドルであるのに対し、RTX 5060 Tiが499ドル程度に設定された場合、わずか50ドルの価格差で33%多いCUDAコアを獲得できることになる。このことから、コストパフォーマンス面でRTX 5070の方が魅力的に映る可能性がある。
また、電力効率の面でも検討すべき点がある。RTX 5070のTBPは250Wと報告されており、RTX 5060 Tiの180Wと比較すると約39%高い。しかし、CUDAコア数の増加率(約33%)とほぼ比例しており、ワット当たりの性能としては両モデルが近い値を示す可能性がある。
競合他社の動向も注目される。AMDは第2四半期(2025年4〜6月)にRadeon RX 9060 XTおよびRX 9060を発売予定であり、Intelもまた「Battlemage」アーキテクチャのグラフィックカードを投入している。特にAMDのRadeon RX 9070 XTはNVIDIAのRTX 5070に対して優位性を示したとの報告もあり、ミドルレンジ市場での競争は一層激化すると予想される。
RTX 5060 Tiの技術的な特徴としては、マルチフレーム生成技術による高リフレッシュレートモニターでの動きの明瞭さ向上や、ニューラルレンダリングのサポートなどが挙げられる。これらの機能がゲーム体験にどの程度の付加価値をもたらすかも、製品の市場での成功を左右する要因となるだろう。
また、RTX 50シリーズの上位モデルで報告されたブラックスクリーン問題やドライバーの不具合、ROP(レンダリング出力ユニット)の欠落といった問題が、RTX 5060 Tiでは解消されているかも大きな注目点だ。特に、より多くのユーザーが購入するミドルレンジ製品では、こうした初期トラブルの有無がNVIDIAのブランドイメージに大きな影響を与える可能性がある。
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