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OpenAI、ライバルAnthropicのMCPを採用:AIモデルとデータ連携の新標準

Y Kobayashi

2025年3月27日

OpenAIは、競合であるAnthropicが開発した連携プロトコル「Model Context Protocol(MCP)」を採用すると発表した。AIモデルと外部データの接続を標準化するこの動きは、AIエコシステムの拡大と開発の簡素化を加速させる可能性がある。

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OpenAI、MCPサポートを製品全体へ展開

OpenAIのCEOであるSam Altman氏は、自身のXアカウントで、Anthropicが開発したオープンソース標準「MCP(Model Context Protocol)」をOpenAI製品全体でサポートすると発表した。

Altman氏は「人々はMCPを気に入っており、我々の製品全体でサポートを追加できることを嬉しく思う」と述べ、「本日よりAgents SDKで利用可能であり、ChatGPTデスクトップアプリおよびResponses APIへの対応も間もなく開始される」と具体的な展開計画を明らかにした。

この発表は、AI業界における主要プレイヤー同士が、競争関係にありながらも共通の技術標準を採用するという点で注目に値する。

MCPとは何か? AIと外部世界を繋ぐ「共通言語」

MCP(Model Context Protocol)は、AIモデル、特に大規模言語モデル(LLM)が、外部のデータソースやツールと対話するためのオープンソースの標準プロトコルだ。Anthropic社によって開発され、2024年11月25日に公開された

現在のLLMは、自然言語での応答生成能力に優れる一方で、リアルタイムのデータや特定の業務システムから隔離されているという制約があった。MCPは、この課題に対処するために設計された。具体的には、以下のような機能を提供する。

  1. 外部データへのアクセス: AIモデルが、業務ツール、ソフトウェア、コンテンツリポジトリ、アプリケーション開発環境など、様々な外部ソースからデータを取得し、タスクを実行することを可能にする。
  2. 双方向接続: 開発者は、データソース(「MCPサーバー」として公開)と、チャットボットのようなAIアプリケーション(「MCPクライアント」として構築)の間に、双方向の接続を確立できる。AIは指示に基づいてこれらのサーバーに接続し、必要な情報を取得したり、操作を実行したりする。
  3. 開発の標準化と簡素化: これまで、AIモデルと外部システムを連携させるには、個別のカスタム統合が必要だった。MCPは、この連携方法を標準化することで、「AIアプリのためのユニバーサルリモコン」(Dev.mdより)のように機能し、開発者がモデルとシステムの組み合わせごとに連携機能を再開発する手間を省く。これにより、AI開発の複雑性が大幅に削減され、より高度で文脈に応じたアプリケーション開発が容易になる。

AIがプログラマーの敷居を下げたように、MCPはAI関連プログラム開発の敷居を下げることにも繋がり、MCPの普及は開発者にとって大きなメリットをもたらす可能性がある。

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MCP採用の背景と今後の影響

OpenAIが競合であるAnthropicの標準を採用した背景には、MCPが急速に普及し、業界標準としての地位を確立しつつある現状があると考えられる。

AnthropicがMCPをオープンソース化してからわずか約4ヶ月で、Block、Apollo、Replit、Codeium、Sourcegraphといった企業が自社プラットフォームへのMCPサポートを追加しており、開発者コミュニティからの支持が広がっている。

Anthropicの最高製品責任者であるMike Krieger氏は、OpenAIの採用発表に対し、「MCPへの愛がOpenAIに広がるのを見て興奮しています――ようこそ!MCPは、数千もの統合実績を持つ、成長著しいオープンスタンダードとなりました。LLMは、あなたがすでに持っているデータや使用しているソフトウェアに接続されたときに最も役立ちます」とXへの投稿で歓迎の意を示した。

OpenAIの採用により、MCPがAIモデルと外部サービスを連携させるための「事実上の標準」となる流れは、ほぼ確実になったと言えるだろう。これは、開発者にとっては、異なるAIプラットフォーム間での相互運用性が高まり、より容易に強力なAIアプリケーションを構築できる環境が整うことを意味する。

一方で、ユーザーにとっては、より多くの外部サービスと連携し、文脈に即した的確な応答やタスク実行が可能な、より洗練されたAIアシスタントの登場が期待される。

OpenAIは、今後数ヶ月のうちにMCPに関する計画の詳細をさらに共有する意向を示しており、業界全体の動向が注目される。


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