Samsung ElectronicsとASMLは2026年9月8日、High-NA EUVを2028年までに先端DRAMの量産へ導入し、6×12インチフォトマスクの業界開発にも参加すると発表した。同じ日にASMLとTSMCは、TSMCが2030年から先端ノードの量産へHigh-NA EUVを使い、2031年に大型マスクの試作ライン、2033年に対応露光システムの量産投入を目指す工程表を公表した。

並べると、奇妙な順序に見える。SamsungとTSMCは大型マスクの完成を待たず、High-NA EUVを量産へ入れるからだ。だが、この時間差こそ移行戦略の中身である。半導体メーカーは現行6インチマスクで高い解像度を先に使い、つなぎ合わせ露光が処理能力や大面積設計を圧迫する段階で12インチへ進む。

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2028年と2030年、量産は12インチ対応より先に始まる

4つの年号は、High-NA EUVと大型マスクが一体の設備更新ではないことを示す。

時期 公表された到達点 状態
2028年まで Samsungが先端DRAM量産へHigh-NA EUVを導入 計画
2030年から TSMCが先端ノード量産へHigh-NA EUVを導入 意向
2031年 12インチマスクの試作ラインを構築 目標
2033年 12インチ対応露光システムを先端ノード量産へ投入 目標

Samsungの導入計画は、大型マスク対応より少なくとも5年早い。同社の発表がDRAMで挙げた直接の利点は、解像度を高めて微細化を続け、露光工程を簡素化することだ。対象となるDRAM世代と適用層は明かしていない。導入する工場や装置台数も不明だ。また、2028年のDRAMに、二つの露光領域を境界で合わせるつなぎ合わせが必要だとも説明していない。

TSMCも同じ順序を採る。同社は2030年からHigh-NA EUVを先端ノードへ使い、世代が進むほど適用層が増えると見込む。一方、12インチの試作ラインは翌2031年である。ASMLのChristophe Fouquet CEOは、High-NA EUVがまず現行6インチマスクで普及し、その後12インチが装置の処理能力を高めると説明した。初期導入の目的は最小寸法と工程数にあり、大型マスクは量産規模が広がった後の経済性を改善する。

解像度を上げる光学系が、露光できる面積を半分にした

High-NA EUVは、投影光学系の開口数を0.55へ引き上げる。ASMLのTWINSCAN EXE:5000は8nmの解像度を持ち、従来のNXE装置より単露光で1.7倍細いパターンと2.9倍のトランジスタ密度を可能にするとASMLは説明する。これは装置の光学能力であり、SamsungやTSMC製品の密度実績ではない。

代償は、一度に露光できる面積である。ASMLは現行6インチマスクを使い続けるため、マスク像を一方の軸で4分の1、もう一方で8分の1に縮小する異方性縮小光学系を採った。この設計によって高い開口数でもマスク互換性を保ったが、ウェハー上の露光フィールドは従来EUVの半分になった。

半面に収まる設計なら、そのまま一度で露光できる。半面を越える設計では左右を別々に露光し、境界を高精度で合わせなければならない。Intel Foundryは、この二通りに対応するため、半面内へ回路を配置する方法と、つなぎ合わせ機能を備えたPDKの両方を顧客へ用意している。すでに量産でHigh-NA EUVを使うIntelの例は、6インチでも導入できることと、設計側へ負担が移ることを同時に示す。

つなぎ合わせでは露光回数が増え、境界の位置合わせも必要になる。High-NAによって多重パターニングを減らしても、大きな設計を二つの領域へ分ければ装置の処理能力を使い切れない。したがって、解像度でHigh-NAを採る判断と、一時間当たりの良品枚数で12インチへ移る判断には時間差が生じる。

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6×12インチは面積2倍、設備更新はマスク工場全体に及ぶ

「12インチマスク」は12インチ角ではない。構想されている寸法は6×12インチであり、現行6×6インチの一方向を2倍に広げる。面積は2倍になる。High-NAの光学系で8分の1に縮小する軸へ長い辺を割り当てれば、ウェハー上で従来EUVと同じ全面の露光フィールドを取り戻せる。

項目 現行6×6インチ 6×12インチ構想
High-NAでの露光範囲 従来EUVの半面 従来EUVの全面を回復
導入時期 すでに利用可能 試作ライン2031年、対応装置2033年が目標
大型設計 つなぎ合わせが必要 一度の全面露光を目指す
主な負担 露光回数、境界、設計ルール マスク製造・検査・搬送・露光装置の更新

寸法を広げるだけなら、2031年まで待つ理由はない。EUVフォトマスクは光を透過させる原版ではなく、多層膜で極端紫外線を反射する精密部品である。SPIE Photomask Technology 2025で公表されたマスク素板の研究は、6×12インチ向けの有効領域104×264mmを対象に、反射多層膜の中心波長を広い面積で均一に保つことを課題として挙げた。現在のイオンビーム成膜工程を広げるには、工程条件と装置の双方を変える必要がある。

完成した素板には回路パターンを描き、欠陥を検査・修理し、洗浄して保護膜を付ける。工場内の容器と搬送装置も長いマスクへ合わせなければならない。露光装置ではマスクを保持して高速走査するステージが変わる。Intelが3年以上にわたり、ASMLに加えてマスクメーカー、自動化企業、EDA企業、材料企業へ参加を呼びかけてきたのは、この連鎖のどこか一つが欠けても量産規格にならないためだ。

TSMCとSamsungの参加が、標準化の採算を変える

大型マスク・コンソーシアム(Large Size Mask Consortium)は、共同研究に加えて標準開発と世界の技術動向の監視を行う。Samsungの韓国語発表は活動内容をここまで具体的に記した。Intelが先に提唱した仕様へ、TSMCと、DRAM・ファウンドリの両方を持つSamsungが加わった意味は、賛同企業の名前が増えたことより投資の前提が変わったことにある。

マスク素板、描画、検査、搬送の各社は、特定メーカーの専用規格では設備投資を回収しにくい。複数の大手半導体メーカーが同じ寸法とインターフェースを採れば、対応製品を複数顧客へ売れる。ASMLも2033年向け装置の需要を見通しやすくなる。TSMCとSamsungの参加は、技術的な可否より先に、業界全体で費用を分担できる可能性を高めた。

ただし、標準化は各社のHigh-NA工程を同じにしない。Samsungは2028年のDRAMで解像度と工程簡素化を取りに行く。TSMCは2030年以降、先端ロジックで適用層を増やす。Intelは現行マスクで量産とつなぎ合わせの学習を先行させている。大型マスクが共通になっても、レジスト、マスク補正、重ね合わせ、歩留まりを製品ごとに詰めた経験は移転しない。

The Registerの取材に対し、IDCのAndrew Bussは今回の移行を200mmから300mmウェハーへの転換になぞらえた。費用や期間が同じという比較ではない。装置メーカー、半導体メーカー、マスク供給企業、設計側が同じ時期に規格を合わせなければ成立しないという範囲の広さを示す見方である。

2028年にSamsungがどのDRAM世代と層へHigh-NAを使い、実働の処理能力と歩留まりをどこまで示すか。2030年にはTSMCが6インチで処理する層と、つなぎ合わせを選ぶ設計が見えてくる。さらに2031年の試作ラインで素板の均一性、欠陥検査、搬送を一体で検証し、既存EXE装置を改造できるのかを2033年までに明かす必要がある。その条件がそろえば、High-NA EUVは解像度の高い装置から、大型の先端チップを一時間当たり何枚作れるかで競う量産基盤へ進む。