Company

ASML

別名: ASML Holding N.V., ASML

Overview

最終更新: 2026年7月9日

ASMLは、オランダに本拠を置く半導体製造装置メーカーであり、正式名称をASML Holding N.V.という。半導体ウェハー上に回路パターンを焼き付けるリソグラフィ(露光)装置の開発・製造・販売を主力事業とし、特に先端プロセスノードの量産に不可欠なEUV(Extreme Ultraviolet、極端紫外線)露光装置を世界で唯一供給するメーカーとして知られている。

技術的位置づけ

半導体製造においてリソグラフィ工程は、回路の微細化を左右する中核工程である。ASMLが供給するEUV露光装置は、波長13.5nmの極端紫外線を光源として用いることで、従来のDUV(深紫外線)装置では困難であった7nm以下の先端プロセスノードの量産を可能にした。EUV装置の製造には精密光学系・高出力レーザー・超精密機械制御など多岐にわたる高度技術が要求されるため、参入障壁が極めて高く、ASMLが事実上の独占的供給者となっている。DUV装置についても世界市場で高いシェアを持ち、幅広いプロセスノードに対応した装置ラインアップを展開している。

研究開発と連携

ASMLは自社開発にとどまらず、外部研究機関や半導体メーカーとの共同開発を積極的に進めている。ベルギーの半導体研究機関imecとは長期にわたる協力関係があり、2026年6月にはASML、TSMC、imecの3者が2D材料トランジスタの300mmウェハー統合に成功し、50nmピッチを達成したと発表した。これはシリコンの物理的限界を超える次世代材料を用いたトランジスタの量産化に向けた重要な成果と位置づけられる。また同月、オランダの研究機関TNOとの提携を発表し、次世代光チップ(InPベースのフォトニクスチップ)の産業化に向けたパイロットラインに露光装置や計測技術を提供することで、研究段階から量産体制への移行を支援する取り組みを開始した。

主要な動向

2026年に入り、ASMLは地政学的文脈での注目度を高めている。2026年6月には、米国主導の半導体供給網構想「Pax Silica」にオランダが正式参加したことが報じられ、ASMLの製造装置を巡る輸出統制の強化が焦点となった。米国ではMATCH法案を通じて同盟国に規制の足並みを揃えるよう求める動きがあり、EUV装置のみならず幅広い製造工程の管理強化が議論されている。

同月、EUV露光装置の中国への流出疑惑が米国政府側から提起された。米商務長官がこの疑惑を公に言及したが、ASMLは装置の厳格な管理体制を根拠として全面的に否定した。米政府からは決定的な証拠は示されておらず、新興企業支援という政治的背景との関連も指摘されている。

一方、欧州の半導体政策をめぐっては、ASML CEO Christophe Fouquetが2026年6月、欧州委員会によるChips Act 2.0(1200億ユーロ規模の製造投資計画)の発表から約2週間後に、「欧州に2nmファブを建設しても、製造されるウェハーの大半は米国に流れる」と述べ、需要創出なき製造投資への懸念を示した。先端AIチップ購入の約80%を米国が占めるとされる現状を踏まえ、製造よりも需要の育成を優先すべきだという主張であり、EU政策の設計思想そのものへの批判として受け止められた。

競合動向としては、中国のスタートアップPrinanoが光学系を使わないナノインプリント技術を用いた製造装置を開発し、輸出規制下の中国においてフォトニクス半導体などの量産向け代替手段として注目されていることが2026年6月に報告された。DUV装置を迂回する新たな製造経路の出現は、リソグラフィ技術の多様化という観点で業界に影響を与える可能性がある。

よくある質問

ASMLとは何ですか?
ASMLはオランダに本拠を置く半導体製造装置メーカーで、半導体ウェハーに回路パターンを焼き付けるリソグラフィ(露光)装置を開発・製造・販売している。特に先端プロセスノードに不可欠なEUV露光装置を世界で唯一供給するメーカーとして知られる。
EUV露光装置とは何ですか?
波長13.5nmの極端紫外線を光源として用いるリソグラフィ装置で、7nm以下の先端プロセスノードの半導体量産を可能にする。製造には精密光学系・高出力レーザー・超精密機械制御など多くの高度技術が必要で、ASMLが世界唯一の供給者となっている。
ASMLはなぜ輸出規制の対象になっているのですか?
EUV露光装置は先端半導体の量産に不可欠であるため、米国を中心とした各国政府が安全保障上の観点から中国などへの輸出を規制している。2026年6月にはEUV装置の中国流出疑惑が米国政府から提起されたが、ASMLは厳格な管理体制を理由にこれを否定した。
ASMLはどのような研究機関や企業と連携していますか?
ベルギーの半導体研究機関imecや顧客であるTSMCと共同研究を行っており、2026年6月には3者で2D材料トランジスタの300mmウェハー統合を実証した。またオランダの研究機関TNOとも提携し、次世代光チップの量産化に向けたパイロットラインへの技術提供を開始している。
ASMLのCEOは欧州の半導体政策についてどのような見解を示しましたか?
CEO Christophe Fouquetは2026年6月、欧州委員会のChips Act 2.0発表後に「欧州に2nmファブを建設しても製造ウェハーの大半は米国に流れる」と述べ、需要創出なき製造投資への懸念を示した。先端AIチップ購入の約80%を米国が占める現状を踏まえ、製造より需要育成を優先すべきと主張した。

Mentioned Articles

54 件(最新 20 件を表示)