中国の長鑫存儲技術(CXMT)が、DRAMのウェハー投入能力でMicronに迫っている。SemiAnalysisは、CXMTが2026年末に月35万枚へ達し、Micronの月38万5000枚に対して90.9%の規模になると推計する。だが、工場へ入れるウェハーの枚数と、そこから取り出せるメモリーの量や価値は同じではない。CXMTの増産が大手3社へ及ぼす圧力を測るには、ビット出荷量と製品構成まで見る必要がある。

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月35万枚と月38万5000枚の距離

SemiAnalysisは、CXMTの2026年末のDRAMウェハー投入能力を月35万枚、Micronを約38万5000枚と見積もる。差は月3万5000枚で、CXMTはMicronの90.9%に当たる。月間の工場規模だけを比べれば、両社の距離はかなり縮まる。

同じSemiAnalysisの推計では、Samsung Electronicsは月72万枚、SK hynixは月59万5000枚である。CXMTはこの2社にはまだ遠いが、ウェハー能力で数えれば世界3位のMicronに近づき、4位の座を固める。2025年末の月26万5000枚から1年で8万5000枚を積み増す計算だ。

ここで使われるWSPMは、300mmウェハーを1カ月に何枚、前工程へ投入できるかを表す。完成したDRAMチップの個数でも、出荷容量を合計したビット量でもない。それでも製造装置、クリーンルーム、人員を含む工場の規模を横並びにできるため、供給力の入口を測る数字として意味を持つ。

3工場とDDR5が支える現在地

CXMTには、すでに稼働中の工場と販売中の製品がある。上海証券取引所に提出された上場関連資料によると、同社は合肥と北京に合計3棟の12インチDRAM工場を持つ。Omdiaの集計では出荷量と売上高の双方で中国1位、世界4位に達しており、第4世代の製造工程まで量産へ移した。

製品世代はDDR4からDDR5へ進んだ。CXMTは16Gbと24GbのDDR5チップを用意し、最高速度は8000Mbpsを超える。サーバー向けRDIMMやMRDIMMを含むモジュール群も公開した。LPDDR5Xでは8533Mbps品と9600Mbps品を2025年5月に量産へ移し、10667Mbps品を顧客向けにサンプル出荷している。

上場資料に記された2025年の製品別売上高は、LPDDRが407億355万元で66.43%、DDRが195億3129万元で31.87%だった。スマートフォンなどのモバイル機器とPC、サーバー向けの汎用DRAMが事業のほぼ全てを占める。CXMTには現在の生産を支える製品群と顧客基盤があるが、増設分をどの速さで出荷へ結び付けられるかはまだ分からない。

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同じ月35万枚でも、有効ビット量は違う

一方で、月35万枚からMicronと同じ量のメモリーが生まれるとは限らない。1枚のウェハーから得られる有効ビット量は、ダイの面積、1ダイ当たりの容量、歩留まり、工場の稼働率で変わる。製造工程が新しくなり、同じ面積へ多くのビットを詰められれば、同じウェハー枚数からより多くのメモリーを出荷できる。

SemiAnalysisは、CXMTの2026年の主力工程をG4、すなわち業界の1z世代相当とみる。DDR5のビット当たり製造コストは大手3社より30%以上高いとの試算だ。同社が見込むCXMTの世界ビット出荷シェアも、2025年の9%から2027年の12%への上昇にとどまり、ウェハー能力の比率ほど速くは伸びない。

製品の行き先にも差がある。SemiAnalysisはCXMTがHBMへ割り当てる能力を2025年末の月5000枚から2026年末に月3万枚へ増やすとみるが、それでも総能力の1割に届かない。Micronは1β工程のHBM4をすでに量産出荷し、EUV露光を採り入れた1γ工程でHBM4Eの2027年量産を準備している。AIアクセラレーター向けのHBMでは、両社のウェハー1枚が生む売上高と戦略的な価値に大きな差が残る。

DUV多重露光と輸出規制

CXMTが次の工程へ進むには、露光装置と歩留まりを同時に解決する必要がある。EUV装置を導入できない工場でも、193nmの液浸DUVで同じ層を複数回に分けて露光すれば微細化は続けられる。ただし、露光に加えて成膜やエッチングの回数も増え、工程は長くなる。ASMLが紹介したimecのモデルでは、EUVの単一露光はDUVの多重露光より1枚当たりの工程数を約20%減らした。

装置を十分に確保できるかも読めない。米商務省産業安全保障局(BIS)は2022年、ハーフピッチ18nm以下のDRAMを製造できる中国の工場を対象に、装置輸出と米国人による支援へ許可を求める制度を導入した。その後、BISはDRAMの微細化を示す定義を改めた。現行の輸出管理規則は、メモリーセル面積が0.0026平方マイクロメートル未満、密度が1平方ミリメートル当たり0.20Gb超、または1ダイ当たりのシリコン貫通電極が3000本超のいずれかを、先端DRAMの基準にしている。

規制は全てのDUV装置を一律に禁じるものではない。それでも先端DRAM向けの装置や技術支援に許可が要るため、増産、保守、工程移行は難しくなる。建屋が完成しても、必要な台数の露光装置を入れ、工程を安定させ、顧客が求める品質で稼働させなければWSPMは出荷量に変わらない。

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増産はPCメモリーを安くするのか

SemiAnalysisは、CXMTのウェハー投入能力が2027年末に月42万枚、2028年末に月50万枚へ増えると予測する。ビット出荷シェアは2025年の9%から2027年に12%へ上がる見通しだ。汎用DRAMの供給元が増えれば、中国のスマートフォン、PC、サーバーが大手3社へ依存する量は減り、その分を他地域へ回しやすくなる。

ただし、SemiAnalysisはCXMTの増産を織り込んでもDRAM不足が2028年まで続くと予測し、Micronも需給の逼迫が2027年を越えると説明している。新しいウェハー能力が立ち上がる間にも、AIサーバー向けのHBMと大容量DRAMの需要は増える。月35万枚が直ちにPC向けメモリーの値崩れを起こすとは考えにくい。

年末に実際の投入量が月35万枚へ届くか。2027年にビット出荷シェアが12%へ伸びるか。次世代工程の歩留まりと、HBMへ振り向ける月3万枚の進捗も個別に確かめる必要がある。CXMTがMicronへどこまで近づいたかは、工場の広さではなく、1枚から何ビットを良品として出せるかで決まる。