小型ボディを用途に合わせて組む、シグマ「FP2」の6K撮影と拡張機能の条件
- 何が起きた: シグマがSigma FP2を発表。位相差検出を含むAF、チルト液晶、6K動画を採用し、11月11日に発売する。
- なぜ重要か: 小型の本体に撮影機能を収める一方、EVF、外部SSD、32bit Float録音、フラッシュには端子や追加機器の条件がある。
- 次に見るべき点: 使う記録形式と周辺機器を決め、6Kでの手ブレ補正の制限や、装備を含めた扱いやすさを確認したい。
シグマは2026年10月23日、フルサイズミラーレスカメラ「Sigma FP2」を発表した。11月11日に発売する。本体約376gの小型路線を引き継ぎながら、位相差検出を含むAFやチルト液晶、6K動画記録を取り入れた一方、ファインダーや高度な音声収録には用途に応じて部品を足す設計だ。写真と映像の機能が増えたFP2を選ぶには、本体に収まる機能と、追加機器や撮影モードに左右される機能を分けて考える必要がある。
価格はオープンプライスで、公式オンラインショップの予約開始は10月29日10時。デジカメWatchの発表会取材によると、ボディ単体の直販価格は34万6,500円となる。
376gのボディに入ったAFとチルト液晶
FP2はLマウントを採用し、約112.8×69.9×41.8mmのボディに有効約2,450万画素の35mmフルサイズ部分積層型CMOSセンサーを収める。本体のみの質量は約376gだが、SDカードとバッテリーを含めると約460gだ。レンズや拡張部品を加える前の数字である。
2019年発売の初代fpは本体370gで、AFはコントラスト方式だった。FP2は位相差検出とコントラスト検出を組み合わせ、人物に加え、犬・猫・鳥を検出する。重量の増加を抑えつつ、被写体を捉える仕組みを更新した形だ。
背面液晶にも、初代ユーザーから要望が強かったというチルト機構が入った。3.15型、約210万ドットの画面は上90度、下45度に動き、カメラを目の高さ以外に構えたときも画面を向けやすくなる。AFの更新とともに、写真を撮る際の操作に関わる変更といえる。
シャッターは電子式のみ。シグマは部分積層型センサーの高速読み出しによって、動く被写体などで生じるローリングシャッター歪みを低減すると説明している。歪みが消えるという意味ではなく、その低減量やAF精度は発売後の実写検証で確かめたいところだ。連写は最高約20コマ/秒で、同速度での連続撮影可能枚数はJPEGが200枚、RAW形式のDNGが180枚となる。
6Kの映像は撮影後にどう使い分けるか
動画の6Kオープンゲートは、センサーの広い撮像範囲を記録する。撮影時に一つの縦横比へ絞らず、同じ素材から横長の映像と縦長の映像を切り出す使い方に向く。ただし、切り出した後の解像度は残す範囲によって変わるため、「6Kで撮ればどの画面比率でも同じ画質」と受け取るべきではない。
記録形式には12bitのApple ProRes RAWとRAW HQを用意し、デジカメWatchはProRes RAWの内部収録対応を伝えている。MOVのH.264/H.265や、ライカのL-Logも選択肢に入った。撮った映像をどの形式で編集へ渡すかまで、用途に合わせて選べる。
ただし、解像度とフレームレートの上限は形式ごとに確認する必要がある。公式仕様には6Kの59.94pまでが載る一方、ProRes RAW HQとProRes RAWの6K記録は29.97fps以下という条件が付く。「6K60p」と「RAW収録」を一つの仕様として結びつけることはできない。
シグマが示す最大14.1ストップのダイナミックレンジも、4K FF L-Log時のメーカー公称値だ。6KやRAWを含めた全モード共通の値ではない。記録先には約70GBの内蔵メモリー、SDXCカード(UHS-II)、USB 3.2接続のポータブルSSDが挙がるが、すべての形式をすべての媒体に保存できるとまでは示されておらず、使う形式と記録先の組み合わせを確かめる必要がある。
拡張機能は端子と撮影条件で選ぶ
撮影形式が決まると、必要な端子と装備も変わる。USB-Cは端子の形状を示す名称であり、FP2の二つの端子で同じ機器を使えるわけではない。
FP2はEVF用と高速データ用にUSB-C端子を分け、音声・フラッシュの拡張には別の条件を設けている。
下表は、2026年10月23日の発表と10月24日に取得した公式製品仕様をもとに、同一機種の端子と記録媒体、フラッシュ、手ブレ補正の各欄を用途別にまとめたものだ。32bit Float録音の条件は、公式発表とシグマ配信の発表文の脚注による。
| 用途 | 本体・端子の対応 | 追加機器・利用条件 |
|---|---|---|
| 専用EVFで構図を確認 | ポート1:USB 2.0 Type-C | 別売EVF-21。ポート1は音声、専用レリーズ、充電/給電にも対応 |
| 外部SSDへ記録 | ポート2:USB 3.2 Type-C | ポータブルSSDを接続。ポート2はマスストレージ、ビデオ、音声、専用レリーズ、充電/給電に対応 |
| 32bit Float録音 | 別売ホットシューユニットHU-21を装着 | Panasonic製DMW-XLR2およびDMW-DMS1使用時 |
| フラッシュ撮影 | HU-21の装着が必要 | 同調速度は1/50秒以下、DCクロップ時は1/60秒以下 |
| 手持ち動画の手ブレ補正 | 動画のみ電子式(EIS) | 6K動画は対象外 |
この対応表から、ファインダーと高速データの接続先は分けて選べる。ただし、端子の割り当てが分かれていることは、EVF、SSD、給電の全同時使用を実証したことにはならず、記録形式と媒体の互換性も別に確認が要る。表は公開仕様の分類であり、装備を付けた状態の総重量を比較したものでもない。
音声では、本体の内蔵マイクだけで32bit Float録音に対応すると考えないことだ。公式の条件はHU-21の装着と「Panasonic社製DMW-XLR2およびDMW-DMS1使用時」であり、機器の組み合わせの詳細までこの記述から広げることはできない。外部マイクには3.5mm端子とUSB UAC2.0が用意され、ヘッドホンはUSB経由となる。タイムコード入力は外部マイク端子と兼用だ。
また、6Kを選ぶと電子式手ブレ補正は使えない。FP2の補正は動画用の電子式なので、センサーを動かす方式のボディ内手ブレ補正を前提にせず、6Kでのカメラの支え方を構成に含めたい。写真の動体検出AFが進化しても、フラッシュ撮影には表の同調速度という別の制約が残る。
装備を含めて考えるFP2の小ささ
こうした構成の選び方は、fpシリーズの製品思想にもつながっている。デジカメWatchの発表会取材によれば、山木和人社長は、BFをシンプルに使うカメラと位置付ける一方、fpではユーザー自身が工夫して拡張する使い方を想定していると説明した。FP2も、必要な機能を使い手が足していく路線を引き継ぐ。
ボディの左右と底面には1/4インチねじ穴を備え、別売のハンドグリップHG-11やベースプレートBPL-21などを組み合わせられる。EVF-21も別売で、0.5型、約576万ドットの有機ELを使い、上90度のチルトに対応する。追加する部品は、画面で撮るかファインダーを使うかといった撮影の仕方で決まってくる。
本体約376gという数字を生かせるかは、レンズや記録媒体、音声機器を含めた撮影一式で判断したい。11月11日の発売後、必要な記録形式と機器を組んだ状態での扱いやすさや継続撮影を確かめれば、小型の本体を自分の撮影に合う構成へ仕立てられるかが見えてくる。
