中国最大のファウンドリーであるSMIC(中芯国際集成電路製造)は、2026年第2四半期に売上高を前四半期比20.0%増の30億0558万8000ドルへ伸ばした。四半期売上が30億ドルを超えたのは初めてである。TrendForceが9月9日に公表した集計では世界3位を保ち、2位Samsung Foundryとの差は約2億5000万ドルまで縮まった。

ただし、SMICの3位は今回初めてではない。増収を支えた需要は、PCなどの前倒し調達からAI周辺IC、サーバーネットワークまで広い。フラッシュメモリーの受託製造も含む。20%という伸びを出荷枚数と単価・製品構成に分けると、Samsungへの接近とTSMCとの技術競争を同じ話として扱えない理由が見えてくる。

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売上20%増を支えた出荷14.4%増と単価・製品構成

SMICの売上は第1四半期の25億0548万7000ドルから、第2四半期には30億0558万8000ドルへ増えた。同じ期間に8インチ標準ロジック換算のウェハー出荷枚数は250万9137枚から286万9495枚へ14.4%増えた。月産能力の増加は107万8250枚から109万6500枚への1.7%にとどまり、稼働率は93.1%から93.7%へ上がった。

SMICの指標 2026年Q1 2026年Q2 前四半期比
売上高 25億0548万7000ドル 30億0558万8000ドル 20.0%
ウェハー出荷枚数 250万9137枚 286万9495枚 14.4%
稼働率 93.1% 93.7% 0.6ポイント増
月産能力 107万8250枚 109万6500枚 1.7%
ウェハー売上÷換算出荷枚数 938ドル 991ドル 5.7%

最後の行は、各四半期の連結売上高にウェハー売上比率を掛け、8インチ標準ロジック換算の出荷枚数で割った参考値である。第1四半期は売上の93.9%、第2四半期は94.6%がウェハーによるものだった。この計算では、ウェハー1枚当たりの売上が約938ドルから約991ドル5.7%増える。

これは同じ製品を5.7%値上げしたという意味ではない。口径、プロセス世代、製品構成が異なるウェハーを8インチ相当に換算した混合単価である。SMIC自身も、売上増には出荷枚数の増加に加え、平均販売価格(ASP)と製品構成の変化が寄与し、粗利率は20.1%から25.3%へ上がったと説明している。SMICの売上20.0%増に対し、8インチ標準ロジック換算の出荷枚数は14.4%増で、ウェハー1枚当たりの混合売上参考値も約938ドルから約991ドル5.7%増えた。

この14.4%5.7%は、連結売上の20.0%増を加算できる形で厳密に分解した寄与度ではない。前者は換算出荷枚数、後者はウェハー売上だけを分子にした混合単価の伸びであり、非ウェハー売上や構成差も残る。それでも、数量に加えて価格・製品構成も増収を支えたことは確認できる。

世界3位は新しくない 市場シェアの差は調査会社で変わる

TrendForceの集計では、世界上位10社の売上高は前四半期比11.5%増の534億9000万ドル近くとなり、四半期の最高記録を更新した。同社が別に示した市場シェア推計では、TSMCが約402億ドルで72.5%、Samsung Foundryが32億6000万ドルで5.9%、SMICが30億ドル超で5.4%だった。以下、UMCが3.9%、GlobalFoundriesが3.2%と続く。上位10社合計と市場シェアの分母が同じかは公開発表で示されておらず、402億ドルを534億9000万ドルで割った値を72.5%の根拠とはみなせない。

調査会社 TSMC Samsung SMIC UMC GlobalFoundries SamsungとSMICの差
TrendForce 72.5% 5.9% 5.4% 3.9% 3.2% 0.5ポイント
Counterpoint Research 73% 7% 5% 4% 3% 2ポイント

同じ2026年第2四半期でも、TrendForceはSamsung 5.9%、SMIC 5.4%と0.5ポイント差を示す一方、Counterpoint Researchは整数丸めでSamsung 7%、SMIC 5%とする。順位は一致するが、SamsungとSMICの距離は同じではない。Counterpoint Researchは過去系列で、Samsungについて自社ロジックIC向けの製造を含むと注記している。TrendForceの公開発表は、市場シェアを算出する際にSamsungの社内需要をどう扱ったかを明記していない。したがって、0.5ポイントと2ポイントは誤差として平均せず、それぞれの調査方法に基づく推計として読む必要がある。

Counterpoint Researchの系列では、SMICは少なくとも2025年第3四半期に売上高3位だった。今回GlobalFoundriesを初めて追い抜いたわけではない。しかもGlobalFoundriesの第2四半期売上は前四半期比9%増の17億8600万ドル、300mm換算出荷も8%増の62万5000枚であり、同社が縮小したため順位が入れ替わったのでもない。新しい変化は、TrendForce推計でSMICがSamsungとの売上差を約2億5000万ドルまで詰めた点にある。

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売上の接近と先端プロセスの接近は別に測る

SMICの増収は、AI需要だけで説明できない。TrendForceはPC・ノートPCを中心とする前倒し調達に加え、AI周辺ICやサーバーネットワーク製品の受注増を挙げた。メモリー不足に伴うNAND・NOR Flashの受託需要と価格上昇も寄与したという。

SMICの公式資料でも、ウェハー売上の44.2%を民生機器が占め、スマートフォンは16.9%、産業・自動車は16.5%、コンピューター・タブレットは15.6%だった。地域別では中国が全売上の90.2%に達する。中国市場向けの現地調達と、複数分野の供給逼迫を取り込んだ成長である。

一方、SMICはプロセス世代別の売上を開示していない。ウェハー売上の78.2%を12インチ品が占めるものの、12インチという口径は先端プロセスと同義ではない。米商務省は2020年にSMICをEntity Listへ追加し、10nm以下の製造に固有の品目について輸出許可を原則不許可とした。全面禁輸ではないが、先端ノード用の装置や技術を入手する条件は競合と異なる。

対照的にTSMCは、第2四半期のウェハー売上の77%7nm以下だったと明らかにしている。内訳は2nm3%3nm30%5nm33%7nm11%である。TSMCの約402億ドルという規模と先端ノード比率に対し、SMICの30億ドルには比較できるノード別内訳がない。売上順位の接近から、先端AIプロセッサを製造する能力の差まで縮んだとは判断できない。

Samsungも別の競争を進める。同社はFoundry単独の売上額を公表していないが、報奨金関連の引当金計上前では、HBM用ベースダイと米国顧客からの受注で第2四半期の業績が改善したと説明した。2026年下半期には第2世代2nmのモバイル製品を増産し、4nmプロセスのLPUとHBM用ベースダイの販売を広げる計画である。Samsungの公開資料はLPUの語を展開していない。TrendForceが推計した32億6000万ドルとSMICの公式売上を比べる際には、この開示範囲の違いも残る。

次の四半期は高稼働より増収率と粗利率を見る

SMICは第3四半期の売上を前四半期比2〜4%増、粗利率を26〜28%と見込む。第2四半期の20%増からは大きく鈍る予想だ。93.7%という稼働率のもとで新しい生産能力を立ち上げるため、売上を増やすには出荷余力を作りながら、価格と製品構成を維持する必要がある。

TrendForceは第3四半期も、旗艦スマートフォンの生産拡大と次世代AI・高性能計算基盤が市場売上を押し上げるとみる。だが、同じ需要が各社に同じ形で届くわけではない。TSMCには先端GPUやXPU、Samsungには2nmとHBM用ベースダイ、SMICには中国の民生機器と周辺ICを中心とする受注が入る。

Samsungとの差がさらに縮むかは、SMICが30億ドル台から増収を続けられるかに加え、Samsung Foundry側の売上がどの程度伸びるかで決まる。SMICの粗利率26〜28%という予想は、差の大小ではなく、その成長が収益性を伴うかを見る指標である。プロセス世代別売上が開示されれば両社の売上構成は比べやすくなるが、それだけで製造能力や技術差を直接測れるわけではない。