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Sonyの次世代「PlayStation携帯機」2028年登場か? Samsung 2nmチップ搭載、AMDと共同開発の噂

Y Kobayashi

2025年5月25日3:44PM

Sonyがかつての「PlayStation Vita」の系譜を継ぐ、新たな携帯ゲーム機の開発を進めているという噂が流れている。特に注目されるのは、その心臓部となるSoC(システム・オン・チップ)に、韓国Samsungの最先端2nmプロセスで製造されるAMD製カスタムチップが採用される可能性が浮上した点だ。この情報が事実であれば、携帯ゲーム機市場の勢力図を塗り替える一手となるかもしれない。

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新たな噂の震源地 – 「Jupiter」とSamsung 2nmプロセスの衝撃

この新たな情報は、リーカーのJukanlosreve氏がX上で発信した内容が発端となっている。同氏によると、Sonyが開発中とされるこの新型PlayStation携帯機は、社内で「Jupiter(ジュピター)」というコードネームで呼ばれており、そのSoCはAMDが設計し、Samsung Foundryの2nmプロセス「SF2P」で製造されるという。

これまでも、著名リーカーであるKepler_L2氏などから、Sonyが15Wクラスの3nmプロセス(製造ファウンドリは不明)を採用した携帯機を開発中であるとの情報は存在した。しかし、今回のJukanlosreve氏の情報は、製造プロセスをより微細なSamsungの2nmへと進め、さらに具体的なファウンドリ名まで言及している点で、一歩踏み込んだ内容と言えるだろう。

なぜSamsungの2nmプロセスなのか? – 技術的背景と戦略的意図

今回の噂で最も注目されるのが、Samsungの2nmプロセス「SF2P」の採用だ。Samsungは2026年までにSF2Pプロセスを完全に稼働させる計画を明らかにしており、もしこの携帯機の量産開始が2028年だとすれば、プロセスノードの成熟と歩留まり改善には十分な時間があると考えられる。

ここで疑問となるのは、長年AMDと強固なパートナーシップを築いてきた台湾TSMCではなく、なぜSamsungが選ばれる可能性が出てきたのかという点だ。AMDはこれまで、主力製品の多くをTSMCで製造しており、その関係性は揺るぎないものと見られてきた。

考えられる理由の一つは、コストと性能のバランスだ。TSMCの最先端プロセス、特に次世代のN2ファミリーは、ウェハー価格が非常に高額になるとの予測がある。SonyとAMDが、TSMCの既存のN3クラス(N3B/N3E/N3P/N3Xなど)の性能やコストと、SamsungのSF2Pを比較検討した結果、SF2Pにアドバンテージを見出した可能性は否定できない。実際、AMDやSonyがSF2Pをテストし、TSMCのN3クラスを凌駕する、あるいは同等以上の性能をより魅力的なコストで実現できると判断したシナリオも考えられるだろう。

また、AMDがSamsung Foundryを選択する前例がないわけではない。任天堂の次世代機「Nintendo Switch 2」に搭載されると噂されるNVIDIAのカスタムチップ「Tegra T239」は、Samsungの8Nプロセスで製造されると言われている。これは、ファウンドリ選択において、必ずしも従来の慣習に縛られない柔軟な判断が下される可能性を示している。

もちろん、Sony、AMD、そしてSamsung Foundryの三者間での正式な合意はまだ締結されていないとされており、現時点ではあくまで可能性の一つに過ぎない。しかし、この選択は、半導体業界における地政学的リスクの分散や、特定ファウンドリへの依存度低減といった戦略的判断も絡んでいるのかもしれない。

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スペックと性能への期待 – 「ミニPS5」を超える存在となるか?

肝心のSoCの具体的なスペックについては、現時点では様々な憶測が飛び交っている状況だ。一部の噂では、AMDの高性能デスクトップCPUにも採用されている「3D V-Cache」技術の搭載や、GPUのCU(コンピュートユニット)数が20から40基になる可能性が示唆されている。CPUコアに関しては、AMDの次世代アーキテクチャ「Zen 5」が有力候補として挙げられているが、これもまだ確定情報ではない。

もしこれらの噂が現実となれば、携帯ゲーム機としては前例のないレベルの処理性能を実現する可能性がある。そうなれば、かつてDigital Foundryが報じたような「PlayStation 5のゲームをネイティブ実行できず、スケールダウンされたタイトルが必要になる『ミニPS5』のような存在」という懸念を払拭し、PlayStation 5に近い、あるいは特定の条件下ではそれを超えるような体験を提供するデバイスとなるかもしれない。カスタムSoCの最大の利点は、特定の用途に合わせて電力効率を極限まで高められる点にあり、SonyとAMDがそのノウハウを最大限に活かすことは想像に難くない。

登場は2028年? – PlayStation 6との連携と市場投入のタイミング

Jukanlosreve氏の情報では、この「Jupiter」SoCの量産開始は2028年になるという。これは、次世代据え置き機「PlayStation 6」の登場時期との関連で興味深い。Sonyのコンソールは伝統的に約7年のサイクルで世代交代しており、PlayStation 5が2020年に発売されたことを考えると、PlayStation 6は2027年頃の登場が有力視されている。

もし携帯機が2028年の登場となれば、PlayStation 6のローンチから約1年後ということになり、両者の連携を前提とした戦略が練られている可能性が高い。例えば、PlayStation 6のタイトルをリモートプレイで快適に遊べるだけでなく、一部タイトルは携帯機に最適化されたネイティブ版が提供される、といった展開も考えられるだろう。あるいは、PlayStation Portalのコンセプトをさらに進化させ、クラウドゲーミングとネイティブ実行の両方に対応するハイブリッドなデバイスとなるのかもしれない。

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実現へのハードルと残された疑問 – 未確定要素と今後の注目点

今回の噂は非常に魅力的である一方、いくつかの注意点も存在する。まず、前述の通り、Sony、AMD、Samsung間の正式契約は未締結とされており、計画が変更される可能性は常に残る。Sonyは過去にも、発表されながら実現に至らなかった「野心的なプロジェクト」が存在したことも事実だ。

また、仮にこの高性能な携帯機が実現したとしても、価格設定が大きな課題となるだろう。最先端の2nmプロセスを採用したカスタムSoCは、相応のコストがかかる。かつてのPlayStation Vitaは、高性能ゆえに価格が高めとなり、独自仕様のメモリーカードなども普及の足かせとなった側面がある。その教訓をSonyがどう活かすのか、市場は注視している。

そして何より、このデバイスがどのようなゲーム体験を提供してくれるのか、という点が最も重要だ。単なるスペックの高さだけでなく、それを活かす魅力的なソフトウェアラインナップ、そしてユーザーインターフェースやバッテリー持続時間といった使い勝手の良さが伴わなければ、市場での成功は難しい。

PlayStation Vitaは、その先進的な機能と美しい有機ELディスプレイで多くのファンを生み出したが、商業的には必ずしも大成功とは言えなかった。その「遺産」をどのように継承し、そして現代のゲーマーが求める携帯ゲーム体験をどのように再定義するのか。このエキサイティングな噂の続報に、引き続き注目していきたい。


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