台湾の半導体受託製造大手UMCは2026年10月28日、第3四半期(7〜9月)決算を発表し、約32億米ドルの設備投資予算を追加承認したと明らかにした。同社は先端パッケージングとシリコンフォトニクスの需要拡大に対し、短期的には既存の生産能力の一部を転用し、長期的にはシンガポールと台湾・台南の拡張で対応する方針だ。

第3四半期の全社稼働率は92%に上昇したが、同社によれば新分野には満たせていない需要がある。追加予算が承認された時点と、新たな設備が実際に供給を増やす時点は同じではない。2026年通年の現金支出ベースの設備投資計画は別途20億米ドルで、両数字は区別して読む必要がある。

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稼働率92%、営業利益は前期比24.7%増

第3四半期の連結売上高は742.4億台湾ドルで、前四半期比8.0%増、前年同期比25.6%増となった。12インチ換算のウエハー出荷は前四半期の112万9,000枚から121万2,000枚に増え、前期比7.3%増で過去最高を記録。12インチ換算とは、異なる直径のウエハーを12インチ相当の面積に換算した枚数である。

全社の稼働率は前四半期の85%から92%に上昇した。Jason Wang CEOは、各最終市場の需要が堅調で、複数の12インチ工場がフル稼働し、8インチ工場も回復したと説明している。フル稼働とされたのは複数の工場であり、全工場ではない。

収益を見ると、営業利益は186.4億台湾ドルと前期比24.7%増え、粗利益率は34.0%だった。一方、親会社株主に帰属する純利益は164.3億台湾ドルで、前年同期比では9.7%増えたものの、前期比では61.1%減っている。

この動きは営業利益と営業外損益を分けると読みやすい。営業外損益は前四半期の302.36億台湾ドルから12.68億台湾ドルへ縮小し、うち純投資損益も300.45億台湾ドルから11.59億台湾ドルに減った。本業の営業利益が増えた一方、営業外損益の縮小が最終利益に表れた形だ。決算数値は、個々の取引を原因として特定するものではない。

22nmがウエハー売上の18.3%に

製造技術別では、22nm単独の割合がウエハー売上の18.3%となり、過去最高を更新した。UMCは22/28nm事業について、ディスプレイドライバーIC(DDI)、車載レーダー、Wi-Fi向けICで設計の最終確定が進んでいると説明する。DDIは画面の表示を駆動するチップだ。

22nmと28nmを合わせたウエハー売上の構成比は、前四半期の37%から35%に下がった。それでも同社は22/28nm事業の売上を過去最高と説明している。構成比は全体に占める割合なので、割合が下がっただけでは、その事業の売上額も減ったとは言えない。

ここでの分母はウエハー売上で、連結売上高とは異なる。先端パッケージングとシリコンフォトニクスの個別売上や利益への寄与は未開示だ。連結売上の伸びをそのまま新分野の成果と結びつけることはできない。

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追加承認32億ドルと年内支出20億ドルを分けて読む

全社稼働率92%という数字と、複数工場のフル稼働や新分野の未充足需要は両立する。全社平均に空きがあるとしても、それが特定の製品や用途に必要な能力と一致するとは限らないからだ。残る8%がどの注文にも使える余力を意味するわけではない。

Wang CEOによれば、同社は先端パッケージングとシリコンフォトニクスの短期的な未充足需要に対し、既存能力の一部を転用している。先端パッケージングはチップの接続や実装を高度化する技術で、シリコンフォトニクスはシリコン上に光回路を形成する技術だ。転用する能力の規模は決算報告に記載されていない。

長期的にはシンガポールと台南の拡張を進める。UMCは将来の拡張スケジュールを前倒しし、顧客の製品計画に合わせる文脈で、約32億ドルの追加設備投資予算を承認したと説明した。承認額だけから年内の供給増を算出することはできない。

指標 数値 対象・期間 読み取れる範囲
追加設備投資予算の承認 約32億米ドル 2026年10月28日付の追加承認 将来の拡張に向けた予算。支出年次の配分は未記載
現金支出ベースの設備投資計画 20億米ドル 2026年通年 年間の現金支出計画。追加承認額とは対象が異なる
全社の四半期生産能力 第3四半期132万5,000枚、第4四半期見込み133万7,000枚 12インチ換算のウエハー枚数、四半期ごと 最大出力ベースの推計。出荷枚数とは異なる

出典はUMCの第3四半期決算報告の2、9ページ。生産能力の推計は設備の納入や工程の移行などによって実際には変わりうる。

32億ドルは追加設備投資承認、20億ドルは2026年現金支出計画、133万7,000枚は第4四半期の四半期能力見通し。三者は対象と時点が異なる。32億ドルの支出が何年に配分されるか、シンガポールと台南にいくらずつ振り向けられるか、新設備がいつ稼働するかは報告に記載されていない。二つの金額を足して2026年の投資額としたり、第4四半期の能力増をすべて今回の承認の効果と見たりすることは適切ではない。

第4四半期は出荷増と90%台前半の稼働を予想

UMCは第4四半期(10〜12月)について、ウエハー出荷が前四半期比で1桁台前半の割合で増えると見込む。米ドル建て平均販売単価は堅調、粗利益率は前四半期並み、全社稼働率は90%台前半を予想している。これらは会社の見通しであり、実績ではない。

短期の能力転用と将来の拠点拡張が、それぞれどれだけ新分野の供給につながるかは、現時点の数字だけでは測れない。

次の判断材料は、拡張した設備の稼働時期と、新分野への対応が実際の供給や収益にどう表れるかだ。UMCがその規模や時期を示せば、追加予算の承認から実際の増産までの距離を、より具体的に測れるようになる。