米国の若年層で、AIへの期待より懸念が強まっている。Pew Research Centerが8月18日に公表した調査では、18〜29歳の55%が、日常生活でAIの利用が増えることに「期待より懸念を感じる」と答えた。2021年の31%から24ポイント増え、この年齢層で初めて過半数となった。

雇用への見方も厳しい。同じ年齢層の73%は、AIが今後20年で米国の雇用を減らすと予測した。若い世代はチャットボットの利用経験や利用頻度が高い。それでも、利用者の多さをそのまま楽観と結びつける前提は弱くなっている。

Pewが2026年に実施した二つの調査を並べると、若年層ではAIを身近なツールとして使う人が多い一方、社会や雇用への見方は厳しい。ただし、調査は個人の雇用不安や実際の雇用変化を測ったものではない。

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55%で初の過半数、直近2年で16ポイント上昇

18〜29歳で「懸念が期待を上回る」とした割合は、2021年の31%から2022年は29%、2023年は42%、2024年は39%、2025年は47%、2026年は55%と推移した。2024年からの2年間だけでも16ポイント上がった。一方、「期待が懸念を上回る」と答えた割合は2021年の25%から2026年には11%へ下がっている。

年長層では、AIへの懸念は2021年から2023年にかけて大きく高まった後、2023年以降はおおむね横ばいか低下だった。対して若年層は2024年から2年続けて上昇し、年齢層による差は縮まった。2026年の全成人でも、懸念が期待を上回るとの回答は52%で、期待が上回るとの回答は9%だった。

ただし、2021年の感情に関する設問にはAIの説明文が含まれており、2022年以降と文言が完全に同じではない。長期の変化はその違いを含む数字として読む必要がある。それでも、2024年以降の若年層の上昇と、期待側の低下は同じ設問系列の中で確認できる。

雇用減少を見込む18〜29歳は73%

AIが今後20年に米国の雇用を減らすと答えた18〜29歳は73%だった。2024年の61%から12ポイント増えた。30〜49歳は74%、50〜64歳は72%で、若年層の見方は他の働く年齢層とほぼ同じ水準になっている。

全成人では71%が雇用を減らすと答えた。増やすとの回答は5%、大差はないが10%、不確かは14%だった。AIによる労働市場への影響を、雇用増より雇用減として捉える回答が年齢をまたいで広がっている。

設問が尋ねたのは、今後20年の米国全体で雇用の数がどう変わるかという予測である。回答者本人が職を失うと感じているか、就職が難しくなると考えているかは問うていない。したがって73%を、若年層自身の失職不安の割合として読むことはできない。

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高い利用率と厳しい見方は併存する

Pewが2026年2月に別に実施した調査では、18〜29歳の66%がAIチャットボットを使った経験があり、31%は日常的に使うと答えた。利用能力に「非常に自信がある」または「かなり自信がある」とした人も31%で、若年層は年長層より利用経験、頻度、自信のいずれも高かった。

同じ2月調査で、18〜29歳の48%はAIが今後20年に社会へ悪影響を与えると予測し、37%は自分自身への悪影響を予測した。使えるという感覚と、社会への影響を肯定的に見るかどうかは一致していない。

ただし、2月の利用実態調査と6月の意識調査は、時期も回答者も異なる。AIをよく使う人ほど懸念が強い、あるいは利用が懸念を生んだとは、この二つの調査からは言えない。両調査は、若年層で高い利用率と強い懸念が別々に観察された事実を示している。

数字を読む前に押さえる調査の境界

6月調査は、米国の非施設居住の18歳以上3,488人を対象に、6月22日から28日に実施された。全体の標本誤差は95%信頼水準でプラスマイナス1.8ポイント、18〜29歳は未加重で569人、誤差はプラスマイナス4.7ポイントである。年齢層間の小さな差を順位のように扱うことには向かない。

また、時系列は同じ個人の態度を追った記録ではなく、その時点ごとの米国成人の回答である。Pewは年齢、学歴、政党支持などを含めて重み付けしているが、世論調査には質問文や非回答に由来する誤差が残る。今回の調査の回答率は86%、累積回答率は3%だった。

若年層のAI観は、利用の広がりとともに一方向へ動くとは限らない。警戒感が持続するかは、2027年以降も同じ設問で回答の推移を追えば判断できる。一方、就業率や初職の採用動向は、雇用減を見込む回答が現実の労働市場とどこまで重なるかを測る材料になる。