Bloombergは2026年8月11日、Anthropicがビットコイン採掘で知られるRiot Platformsから大規模なAIデータセンター容量を確保すると、関係者の話として報じた。Riotが前日に開示した契約は、テキサス州Rockdaleで191MWを20年間提供し、基本賃料の総額を約91億ドルと見込むものだ。Riotは借り手を「世界有数のフロンティアAI研究所」と記すにとどめている。Anthropicという社名はBloombergの報道による。
今回動くのは、Riotがすでに大規模な電力接続を持つビットコイン採掘拠点である。AI企業がサーバーを置く場所を探すなか、電力を確保済みの採掘会社が長期の賃貸収入を得る構想が、191MWという規模で具体化した。ただし、91億ドルは20年間の基本賃料を合計した数字だ。建設が予定通り進み、借り手が契約を履行して初めて積み上がる。
191MWを20年で借りる契約
契約対象は、Rockdaleキャンパスに建設する191MWのcritical IT capacityである。Riotは借り手の仕様に合わせるbuild-to-suit方式を採り、施設をTier 3として整備する。最初の96MWを2027年12月に引き渡し、残る95MWも2028年6月までに引き渡す計画だ。
20年の基本期間は、全191MWを引き渡す予定の2028年6月に始まり、2048年6月まで続く。借り手はその後、5年ずつ2回延長できる。両方を行った場合、Riotが見込む潜在契約価値は約161億ドルになる。延長するかどうかは借り手が決めるため、現時点の確定額ではない。
Rockdaleには約700MWの開発済み容量がある。Riotは既存の承認済み系統接続を今回の建設に使うとしており、電力接続を一から待つ案件とは出発点が異なる。同キャンパスではAMD向け50MWも契約済みで、2社を合わせたAI向け契約容量は241MWに達した。
91億ドルは利益ではない
Riotが開示した91億ドルは、20年間に受け取る基本賃料の合計である。同社は基本期間の累積NOI(純営業利益)を73億〜82億ドル、平均年額を3億6500万〜4億1100万ドルと見積もる。ここでいうNOIは、対象リースの想定賃料から運営原価を引いたRiot独自の非GAAP指標だ。
このNOIは設備投資、重要な金融債務、一般管理費、減価償却費を含まない。借り手から回収できない運営費が将来発生する可能性もあると、Riotは注意を促す。したがって、73億〜82億ドルは株主に残る利益やキャッシュフローとは別の数字である。プロジェクトの総設備投資額は今回開示されなかった。
初期費用には、Riot子会社が確保した5億7300万ドルのつなぎ融資を充てる。資金は長納期設備の調達と開発に使い、金利はSOFRに2.75%を加えた変動型だ。融資はプロジェクト資産を担保とし、通常の例外を除けばRiot本体に返済を求めないノンリコースである。一方、満期は2026年10月15日と近く、一定条件を満たせば延長できる。Riotは投資適格の信用補完が確定するまでの暫定資金と説明しており、満期後の資金手当てとその条件が建設採算を左右する。
AMD向け25MWから契約済み241MWへ
Riotが非採掘向けデータセンター事業に踏み出したのは2025年である。2026年1月にはRockdaleでAMD向け25MWを契約し、同年4月の修正でさらに25MWを追加した。最初の25MWは5月までに稼働し、追加分は2027年5月までに段階的に引き渡す予定だ。今回の191MWは、実績を作り始めた直後に規模を一気に広げる案件となる。
もっとも、現在の売上構成はなおビットコイン採掘が中心だ。2026年第2四半期の総売上高1億7420万ドルに対し、データセンター売上は2320万ドル、ビットコイン採掘売上は1億1370万ドルだった。採掘売上は前年同期の1億4090万ドルから減ったが、データセンターは新たな独立報告セグメントとして収益を計上し始めた。
91億ドルの契約は、この四半期の売上を押し上げたわけではない。基本期間が始まるのは2028年6月の全容量引き渡し後である。Riotが価格変動の大きい採掘収入から長期賃料へ比重を移せるかは、これから約2年の建設実績で決まる。
2027年12月、最初の96MW
既存の系統接続は有利な材料だが、191MWのAIデータセンターそのものはこれから造る。RiotはSEC提出資料で、建設遅延、長納期品の供給、許認可、資金調達をデータセンター開発のリスクに挙げた。同社は大規模電力需要を対象とするテキサス州の規制もリスクとしている。既存接続を使う計画が工期と費用をどこまで抑えられるかは未確定である。
確認すべき日付は三つある。まず2026年10月15日のつなぎ融資満期、次に2027年12月の96MW引き渡し、最後が2028年6月の残り95MWと基本期間の開始だ。融資は条件付きで延長できるが、Riotがどの資金手当てを選ぶかはまだ分からない。最初の96MWを予定通り引き渡せれば、採掘会社が持つ電力資産で20年契約を履行できるかを測る最初の実績になる。



