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Apple、WWDCで『Xbox風ゲーム管理アプリ』発表か:iOS 19でゲーム体験はどう変わるか?

Y Kobayashi

2025年5月28日

長年、ゲーム市場においてそのポテンシャルを持て余していると指摘されてきたAppleが、ついに本腰を入れる動きを見せている。Bloombergの報道によると、Appleは来週開催される世界開発者会議(WWDC 2025)において、iPhone、iPad、Mac、そしてApple TV向けの新しい専用ゲームアプリを発表する計画だという。この新アプリは、既存の「Game Center」を置き換え、より統合的でXboxアプリにも似たユーザー体験を提供すると目されており、iOS 19やmacOS 16といった次期OSの目玉機能の一つとなる可能性が高そうだ。

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Game Centerは過去のものに?新ゲームハブアプリの全貌

Bloombergによって報じられたこの新ゲームアプリは、ゲームランチャー機能に留まらず、ユーザーの実績の確認、リーダーボードの閲覧、さらにはAppleによる編集コンテンツへのアクセスといった、ゲーム体験全体を網羅するハブとしての役割を担うとされている。

この構想は、Microsoftが提供するXboxアプリのiPhone版の機能性を彷彿とさせる。Windowsに搭載されているXboxアプリでは、ゲームライブラリの管理、フレンドとのコミュニケーション、実績追跡などが可能であり、Appleの新アプリも同様の利便性を目指していると考えられる。

現行のGame Centerは、フレンドとのスコア競争や実績システムといった機能を提供するものの、その存在感は希薄であり、多くのユーザーにとって積極的に活用されているとは言い難い状況だった。新アプリは、このGame Centerを完全に置き換える形で、今年9月に予定されているiOS 19、macOS 16、tvOS 19のリリースと共に提供が開始される見込みだ。

特筆すべきはMac版の動向だ。Bloombergによると、Mac向けの新しいゲームアプリでは、App Store経由でダウンロードしたゲームだけでなく、App Store外から入手したゲームも統合的に管理できるようになるという。これは、Steamなど他のプラットフォームで購入したゲームも一元的に扱えるようになる可能性を示唆しており、Macにおけるゲーミング体験の自由度を大きく向上させるかもしれない。これが実現すれば、これまでMacでのゲーム環境に物足りなさを感じていたユーザー層にとって、大きな魅力となるだろう。

Apple Arcadeとの連携強化と開発スタジオ買収の狙い

Appleのゲーム戦略において重要な位置を占めるサブスクリプションサービス「Apple Arcade」も、この新アプリと深く連携することは間違いないだろう。新アプリ内でApple Arcadeのタイトルがどのようにフィーチャーされ、ユーザーエンゲージメントを高めるのか注目される。

さらに、この報道と時を同じくして、Appleが人気Apple Arcadeタイトル『Sneaky Sasquatch』の開発元である2人組のインディースタジオ「RAC7」を買収したというニュースも飛び込んできた。Digital Trendsが報じたところによると、RAC7はApple社内の他チームに吸収されることなく、独立したゲームスタジオとして活動を継続するとのこと。これは、Appleがプラットフォーム提供者としてだけでなく、魅力的な独自コンテンツを確保することにも本格的に注力し始めた証左と言えるのではないだろうか。小規模ながらも独創的なヒット作を生み出したスタジオを傘下に収めることで、Apple Arcadeのラインナップ強化、ひいてはApple製デバイスのゲーミングプラットフォームとしての価値向上を狙っていると考えられる。

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過去の噂と期待される追加機能

実は、この新しいゲームアプリに関する噂は今回が初めてではない。9to5Macは2024年10月の時点で、AppleがApp Storeとは独立した専用ゲームアプリを開発中であると独占的に報じていた。当時の報道では、新アプリには以下のような機能が搭載される可能性が示唆されていた。

  • 「Play Now」タブ: おすすめゲームや編集コンテンツを表示
  • マイゲームタブ: ユーザーが所有するゲームの管理
  • フレンドタブ: フレンドのアクティビティやコミュニケーション機能
  • チャレンジ、リーダーボード、実績の統合表示
  • ゲームイベントや大型アップデートに関する情報発信
  • FaceTimeやiMessageとの連携: プレイヤー間のコミュニケーション支援
  • App Clipsを利用したミニゲーム(デモ版)の提供

これらの機能が全て実現するかは不明だが、単にゲームを起動するだけのランチャーではなく、プレイヤー同士の繋がりや、新たなゲームとの出会いを促進する、よりソーシャルでダイナミックなプラットフォームを目指していることは想像に難くない。

Appleがついにゲーム市場に本気で取り組むか?期待と課題

Appleは長年、ゲーム開発者や熱心なゲーマーからは、その巨大なプラットフォーム力にも関わらず、ゲーム市場への取り組みが中途半端であると見なされてきた。App Storeにおけるゲームの収益は莫大である一方、「ゲーミングプラットフォームとしてのApple」の評価は、必ずしも高いとは言えないのが現状だ。

Appleがこの新アプリで真にゲーム市場での存在感を高めるためには、単なるニュース配信やランチャーツールに留まらない、より踏み込んだ機能提供が必要になるだろう。例えば、ゲーム内チャット機能の統合や、クロスプラットフォームでのマッチメイキングシステムの提供など、Appleが持つプラットフォームコントロールという強みを最大限に活かした機能が期待される。

今回の新ゲームアプリの発表とRAC7の買収は、Appleがこれまでの姿勢を改め、ゲーム市場に対してより積極的かつ戦略的なアプローチを取ろうとしていることの表れと見ることもできるだろう。しかし、AAAタイトルの不足、Macにおける最新グラフィック技術への対応の遅れなど、Appleのゲームエコシステムが抱える課題は依然として根深い。

WWDC 2025での発表で、Appleがどのようなビジョンを示し、この新しいゲームアプリがその実現にどう貢献するのか。それは、Appleが単にアプリを刷新するだけでなく、ゲームという巨大なエンターテインメント市場における自らの立ち位置を再定義しようとしているのかどうかを占う試金石にもなりそうだ。


Sources

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