Canvaは2026年11月、全従業員の22%に当たる1,271人に影響する大規模な組織再編を発表した。対象には職務の変更や勤務地の移動、退職が含まれるが、実際に雇用を失う人数は明らかにしていない。1,271人全員が解雇されるわけではない点には注意が必要だ。

今回の再編では、製品・成長・基盤の3チームを一つの製品開発組織に統合し、細分化された専門職をより幅広い役割へと再編する。あわせて、製品チームなどの主要拠点をシドニーに集約する方針も示した。CEOのMelanie Perkins氏は、過去10年間で初めて成長が鈍化したと説明している。同社は人員配置の見直しだけでなく、組織の拡大に伴って増えた部門間の引き継ぎや調整を減らし、製品開発の効率を高めようとしている。

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1,271人が影響を受ける再編、解雇人数は非公表

Canvaの公式声明によると、今回の組織再編で影響を受ける1,271人には、職務変更、拠点移動、退職の対象者が含まれる。ただし、それぞれに該当する人数や、職種・国別の内訳は公表されていない。また、複数の変更に該当する従業員がいるかどうかも明らかではない。したがって、22%という数字は再編の影響範囲を表すものであり、人員削減率として扱うことはできない。

施策 変更内容 公表されていない事項
部門・職務の再編 製品・成長・基盤の3チームを統合し、細分化された専門職をより幅広い役割に再編 職務変更を受ける人数、職種別内訳
拠点集約 製品チームなどでシドニーを主拠点とするチームを増やす 移動対象者の人数、国別内訳
退職 組織再編に伴い、一部の従業員が会社を離れる 解雇人数、国別・職種別内訳

部門間の引き継ぎを減らし、製品開発を効率化

Canvaが今回の再編で重視するのは、製品開発における組織間の調整負担を減らすことだ。同社によれば、従来の体制では一つの機能改善を進める際にも、製品・成長・基盤の各チーム間で引き継ぎや調整が発生していた。組織の拡大とともに専門領域や責任範囲が細分化され、開発を進める上での負担が増していたという。

これに対し、Canvaは3チームを一つの製品開発組織にまとめ、重複する責任や組織階層を整理する。職務についても、狭い専門領域に分かれた役割をより幅広い職務へ統合し、担当者間で仕事を引き継ぐ機会を減らす方針だ。単に組織図を変更するだけでなく、従業員一人ひとりの担当範囲を見直し、製品開発を進めやすい体制への移行を目指す。

拠点戦略も見直し、製品チームなどではシドニーを主拠点とするチームを増やす。一方で、顧客や市場との距離が重要な地域については、引き続き投資を行うとしている。世界各地の拠点を一律に縮小・撤退する方針ではない。ただし、成長鈍化や組織間の調整負担は現時点ではCanva側の説明であり、再編によって開発速度が実際に改善するかどうかは今後の成果を確認する必要がある。

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独自画像生成AI「Craft」と組織統合の関係

今回の組織再編が製品開発にどのような影響を与えるかを考える上で、参考になるのがCanvaの独自画像生成AI「Craft」だ。Canvaの公式ニュース一覧によると、同社は2026年10月22日、AI研究組織が初めて独自開発した画像生成基盤モデルとしてCraftを発表した。

Craftの公式発表によれば、画像生成の処理は大きく二つの段階に分かれる。まず画像の構図や要素間の関係、文字などを計画し、その後に画像を生成する仕組みだ。また、生成画像を編集可能な要素に変換する「Magic Layers」との連携も想定している。

こうした機能では、AIモデルの研究開発、画像生成、生成後の編集という複数の工程を連携させる必要がある。利用者にとって重要なのは画像を生成する能力だけでなく、生成した画像をそのまま編集し、制作作業につなげられることだ。そのため、個々の機能の性能に加え、機能間の連携も製品の使い勝手を左右する。Canvaが目指す部門間の引き継ぎ削減は、このような複数の技術領域にまたがる製品開発にも関係する可能性がある。

ただし、CanvaがCraftの開発を目的として今回の組織再編を実施したと発表したわけではない。また、組織統合による開発速度の向上やコスト削減について、具体的な測定結果も示されていない。AI機能の改善にどの程度の効果があるかは、今後の製品展開を通じて判断する必要がある。

出社方針の変更と退職者への支援策

組織再編にあわせて、Canvaは勤務形態も見直す。大半のハイブリッド勤務者に対し、2027年1月から地域の事情に応じて週2〜3日の出社を求める方針だ。

退職者に対しては、勤務地を問わず、法定給付を含めて最低6カ月分の給与を支給する。医療保障については、すでに制度を提供している国に限り、12カ月間延長する。また、従業員支援制度「Canva Care」は、退職者とその家族が12カ月間利用できる。

株式報酬についても、入社1年未満の従業員を対象に、権利確定までの待機期間を撤廃する。退職者は業務用のMacBookを引き続き所有できるほか、再就職に向けた支援も受けられる。

さらに、退職後に独立事業や地域活動などを始める人を支援するため、「Canva Collective Fund」を設ける。この制度では1万米ドルの助成を用意し、Canvaは支援先の事業に対する所有権や株式を求めないとしている。関心登録の期限は2026年12月14日だが、すべての退職者に無条件で支給されるものではない。

今回の再編は37カ国に及ぶため、具体的な手続きや実施時期は各国の制度に従って異なる。Canvaは11月10日に全社会議を開き、翌11日から部門ごとの会議を実施する予定も示している。

今後の焦点は、組織再編が実際の製品開発にどのような変化をもたらすかだ。部門間の引き継ぎや調整が減り、研究開発から画像生成、編集までを横断する機能改善が利用者に届くようになれば、今回の統合が成果を上げたと評価する材料になる。影響を受ける従業員の規模だけでなく、再編後の開発体制と製品の進化を継続して確認する必要がある。