OpenAIは3月24日、ChatGPT BusinessおよびEnterpriseのチーム向けに、Codexを固定席料金なしで導入できる「Codex-only seat」を追加した。Codex-only seatは利用量に応じて課金される従量課金方式で、Codexへフルアクセスでき、レート制限は設けられない。小規模なチームが限られた開発フローから導入し、効果を見ながら利用を広げる経路を用意した形である。
さらに4月2日には、Codexの新しいレートカードが公開された。ChatGPT Businessでは新規・既存顧客、ChatGPT Enterpriseでは新規顧客を対象に、Codexの利用量をメッセージ単位ではなくトークン単位で計算する新方式が適用される。入力、キャッシュ済み入力、出力のどこで消費が増えるのかを、従来より細かく把握できるようにした点が今回の見直しの中核である。
固定席料金なしで導入できるCodex-only seatを用意
今回の制度変更でまず目を引くのは、Codexだけを必要な人数へ配布しやすくした点である。OpenAIによれば、ChatGPT BusinessとEnterpriseのワークスペースでは、Codex-only seatを追加することで、固定のシート料金なしにCodexを使える。利用量はトークン消費ベースで請求され、Codex-only seat自体にはレート制限がない。
一方で、ChatGPT全体を広く使いたいチーム向けには、従来のChatGPT Business seatも継続する。この通常席にはCodex利用枠が含まれるが、Codex-only seatのような無制限利用ではない。OpenAIは同時に、ChatGPT Businessの年額料金を1席あたり25ドルから20ドルへ引き下げるとしており、通常席とCodex専用席を用途別に分ける設計を前面に出した。
| 項目 | 課金の考え方 | Codex利用条件 | 補足 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT Business通常席 | 年額20ドル/席 | Codex利用枠を含む | ChatGPT全体を広く使うチーム向け |
| Codex-only seat | 固定席料金なし、利用量に応じて課金 | Codexへフルアクセス、レート制限なし | 小規模導入や特定ワークフロー向け |
この整理から分かるのは、OpenAIが「ChatGPTを広く配る席」と「開発用途に絞ってCodexを深く使う席」を切り分け始めたことである。まずは必要最小限の人数にCodex-only seatを付与し、成果が見えた段階で対象を広げる運用を取りやすくしている。
新レートカードの適用範囲はBusinessと新規Enterpriseが中心
4月2日に公開されたレートカードでは、どの顧客が新しいトークンベース課金へ移るのかが明示された。重要なのは、ChatGPT Businessでは新規・既存顧客の両方が新レートの対象となる一方、Enterpriseでは新規顧客と既存顧客で扱いが分かれている点である。
| 顧客区分 | 適用されるレートカード | 状況 |
|---|---|---|
| ChatGPT Business(新規・既存) | トークンベース課金 | 4月2日時点で新レート対象 |
| ChatGPT Enterprise(新規) | トークンベース課金 | 4月2日時点で新レート対象 |
| ChatGPT Enterprise / Edu(既存) | 旧レートカード | 移行まで継続利用 |
| Plus / Pro(新規・既存) | 旧レートカード | 今後数週間で移行予定 |
| ChatGPT Edu / Teacher / Healthcare(新規・既存) | 旧レートカード | 当面は旧レート継続 |
このため、Enterprise向けにCodex-only seatの導入経路が示されたとしても、4月2日時点で新レートカードがそのまま適用されるのは新規Enterprise顧客である。既存のEnterprise / Edu顧客については、移行完了までは旧レートカードを参照する必要がある。契約開始時期によって確認すべき料金表が異なる点は、管理者にとって実務上の注意点になる。
課金単位は「1メッセージ」から「トークンの内訳」へ移る
新レートカードでは、Codex利用量を「100万トークンあたり何クレジット消費するか」で示す。区分は入力トークン、キャッシュ済み入力トークン、出力トークンの3つである。従来の「1メッセージあたりおよそ何クレジット」という近似的な見せ方と比べると、どの処理が消費増につながるのかを把握しやすい。
| モデル | 入力トークン | キャッシュ済み入力トークン | 出力トークン |
|---|---|---|---|
| GPT-5.4 | 62.50 credits | 6.250 credits | 375 credits |
| GPT-5.4-Mini | 18.75 credits | 1.875 credits | 113 credits |
| GPT-5.3-Codex | 43.75 credits | 4.375 credits | 350 credits |
| GPT-5.2-Codex | 43.75 credits | 4.375 credits | 350 credits |
| GPT-5.2 | 43.75 credits | 4.375 credits | 350 credits |
| GPT-5.1-Codex-Max | 31.25 credits | 3.125 credits | 250 credits |
| GPT-5.1-Codex-mini | 6.25 credits | 0.625 credits | 50 credits |
この表からは、特に出力トークンの消費が大きいことが読み取れる。OpenAIは、実際のクレジット使用量は入力、キャッシュ、出力の構成比によって変動すると説明している。出力が多いタスクほど消費が増えやすく、Fast modeは通常の2倍のクレジットを消費する。コードレビューにはGPT-5.3-Codexを使うことも明記された。
従量課金へ移ることで、管理者は単に利用人数だけでなく、どのモデルを主に使うのか、出力が長くなりやすい作業をどの程度回すのか、Fast modeをどれだけ使うのかまで含めて運用を設計する必要が出てくる。
旧レートカードは当面併存し、見積もりの考え方も異なる
新方式へ移行していない顧客向けには、旧レートカードが引き続き使われる。旧方式では、ローカルタスク、クラウドタスク、コードレビューごとに、おおよその平均クレジット消費量を示していた。
| 区分 | 単位 | GPT-5.4 | GPT-5.3-Codex | GPT-5.1-Codex-mini |
|---|---|---|---|---|
| Local Tasks | 1 message | 約7 credits | 約5 credits | 約1 credit |
| Cloud Tasks | 1 message | 約34 credits | 約25 credits | 利用不可 |
| Code Review | 1 pull request | 約34 credits | 約25 credits | 利用不可 |
旧レートは概算の把握には向くが、同じ1メッセージでも、入力が長いのか、出力が長いのか、キャッシュが効いているのかといった違いは見えにくい。新しいトークンベース課金は、その内訳を直接クレジットへ結び付ける形式である。コスト構造の見通しは良くなる一方で、どの作業が消費を押し上げているのかをワークスペース側で継続的に把握する必要も増す。
Business向けには導入促進のクレジット施策も付く
Business向けには、導入初期の負担を抑えるためのクレジット施策も用意された。条件を満たすChatGPT Businessワークスペースでは、新しいCodex-only team memberが参加してCodexを使い始めると、1人あたり100ドル分、チーム全体で最大500ドル分のクレジットを受け取れる。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | EligibleなChatGPT Businessワークスペース |
| 付与額 | 新しいCodex-only team member 1人あたり100ドル分 |
| 上限 | 1チームあたり最大500ドル分 |
| 有効化条件 | Codex-only seatの追加、または新規Businessワークスペース作成 |
| 実施期間 | 期間限定 |
この施策は、少人数の試験導入から始める設計と整合している。通常席を全員へ配る前に、Codex-only seatを一部メンバーへ付与して利用を開始し、実際の消費や効果を見ながら拡大する進め方を後押しするための制度と位置付けられる。
OpenAIはあわせて、仕事でChatGPTを使う有料ビジネスユーザーが900万人超、Codexの週間利用者が200万人超に達し、ChatGPT BusinessとEnterprise内のCodex利用者は1月以降で6倍に増えたとしている。今回の見直しは、この利用拡大に合わせて、チーム単位での導入と運用をしやすくする方向へ料金体系を組み替えたものといえる。
実務上は、Business管理者は通常席とCodex-only seatのどちらを起点にするか、主に使うモデルをどう決めるか、Fast modeやコードレビューの利用頻度をどう見積もるかを先に整理しておく必要がある。既存のEnterprise / Edu顧客は、移行通知が届くまでは旧レート前提で運用しつつ、新旧レートカードの差を比較して備えるのが現実的である。
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