コンゴ民主共和国(DRC)のコバルト供給網を通じ、2000〜2024年に推定2,000〜5,000トンの天然ウランが水酸化コバルトへ混入したまま国外へ運ばれた。ウィスコンシン大学マディソン校とプリンストン大学の研究チームが、2026年7月30日付のNature Communicationsで報告した。これは秘密のウラン輸送を発見した研究ではない。電池材料を支えるコバルト鉱業が急拡大する一方、鉱石に同伴するウランを測り、分け、申告する仕組みが追いつかなかった可能性を物質収支から示したものだ。

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2,000〜5,000トンは何を数えたのか

研究チームは、Copperbeltの地質図と地球化学データ、鉱山別の生産・取引記録を、コバルト製錬時の化学モデルと組み合わせた。対象期間は25年間である。貨物を1件ずつ測定して積み上げた値ではなく、鉱石に含まれるウラン量と、各工程で製品側へ残る割合を鉱山別のコバルト輸出量へ掛けた推計だ。

DRCは近年、年間15万トンを超えるコバルトを産出し、世界供給の約3分の2を担ってきた。産出物の95%超は、金属まで精製せず、粗水酸化コバルトとして輸出される。研究チームが最も妥当とみなす地質条件と複数の製錬条件を合わせると、国外へ出た天然ウランは約2,000〜5,000トン、鉱山や製錬所周辺の不安定な尾鉱へ移った量は約1,000〜4,000トンになった。

DRCは2006年、コバルトを金属まで精製してから輸出するよう求めた。だが、大規模な電解採取に必要な電力が足りず、輸出は安価に作れる粗水酸化コバルトへ傾いた。国内で金属まで精製しない構造が残り、ウランも粗製品に同伴して国外へ出やすくなった。

推計は幅を持つ。すべての鉱山をCopperbeltの背景濃度である4〜7ppmと置く低移動度シナリオでも、現実的な工程条件なら輸出量は1,500〜2,500トンに達する。最も妥当とされた中間シナリオでは、大半の鉱山を背景値とし、一部を30〜100ppmとした。一部の高品位鉱山を前提にしなくても大きな量になる。

中間シナリオで採掘・製錬に入ったウランは25年間で7,000トンを超える。増加が鋭くなるのは、コバルト輸出が年8万トンを上回った2017年以降だ。ウラン鉱山の再開ではなく、電気自動車向けを含むコバルトの増産が、低濃度の同伴物を無視できない総量へ押し上げた。

研究者は規模の比較として、推定量を回収・処理すれば約600〜1,500発分の核分裂性物質を生産でき、標準的な軽水炉なら10〜25年分の燃料に相当し得ると説明する。ただし、輸出されたと推定されるのは天然ウランである。そのまま核兵器や標準的な軽水炉へ投入できず、転換と濃縮を経なければならない。研究は回収後の所在や軍事転用を確認していない。

粗水酸化コバルトにウランが残る化学

コバルトとウランは、鉱山から別々の経路を進むわけではない。DRCの酸化鉱に多いヘテロゲナイト(CoO(OH))は、酸化状態のウランを表面へ取り込みやすい。結晶単位では重量比3%に達する例もあるが、研究モデルは産業鉱石の保守的な背景値として7ppmを採用した。

鉱石を砕いて濃縮した後、製錬所は硫酸で金属を溶かす。約pH 1.5の浸出液では、ウランはウラニル種としてよく溶け、コバルトと同じ液相へ進む。水酸化コバルトは原鉱よりコバルト濃度が通常50〜100倍高いが、沈殿工程にはウランを選択的に排除する働きがない。粗製品の段階で輸出すると、不純物のウランも製品側へ残りやすい。

鉄・アルミニウム・マンガンを除く最初の沈殿工程を約pH 4で行うと、除去できるウランは10%未満にとどまる。約pH 5.5の第2段を加えても、モデル上の除去率は約50%が上限だ。さらにpHを上げればコバルトや銅まで沈殿し、製品歩留まりを損なう。

ウランを狙って分離するには、リン酸を加えて安定なリン酸塩として沈殿させるか、陰イオン交換樹脂で捕まえる工程が要る。研究チームが輸入記録を調べた31鉱山のうち、リン酸の輸入が一度でも確認できたのは11鉱山だった。コバルト2万5,000トン当たり約100万リットルという処理の目安を継続して満たしたのは3鉱山で、2024年までの累積輸出量のうち、意図的な除去の証拠があったのは約20%に限られた。

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詳細会計より手前にもある10トンの報告線

「未申告」と「保障措置外」は、違法な核物質の横流しと同義ではない。保障措置の実務では、ウラン鉱石は回収され、燃料製造または同位体濃縮に適した組成と純度の原料物質となるまで詳細会計の外側にある。水酸化コバルトに含まれる低純度のウランも、この開始点より手前にある。

それでも追跡義務が消えるわけではない。DRCの追加議定書は、燃料製造または同位体濃縮に適した組成と純度に達していない原料物質を非核目的で輸出する場合、1件がウラン10トンを超えるか、1件ごとは10トン未満でも同じ相手国への年間累計が10トンを超えれば、量、化学組成、仕向地をIAEAへ申告するよう求める。前年の輸出情報の期限は毎年5月15日だ。

中国の追加議定書にも、同じ非核兵器国からの輸入が1件でウラン10トンを超えるか、1件ごとは10トン未満でも年間累計が10トンを超えれば、量と化学組成に加え、現在地と用途または予定用途を報告する規定がある。前年分の期限は同じく毎年5月15日だ。論文の推計では、DRC由来のウランは2010年以降、毎年この線を超え、2024年には約50倍に達した可能性がある。仮に全貨物がウラン濃度75ppm以下だったとしても、2024年の中国向けは約40トンになる計算だ。

この申告は、燃料用物質に行う詳細な在庫管理とは役割が違う。非核商品の中にある原料物質の量と行き先を輸出国・輸入国から集め、両国の申告を照合するための透明性措置である。水酸化コバルト中のウラン量を測らなければ、年間10トンを超えたか判断できない。

公に申告され、国際保障措置へ入ったと研究チームが確認できた量は、推定総量の10%未満だった。確認例は、フィンランドのKokkola Chemicalsが2010〜2017年にDRC由来のコバルト製品からウランを回収し、申告して販売したケースである。推定輸出量の約65%は中国系企業へ送られたが、企業の所有国はウランの最終用途を示さない。論文が突き止めたのは、取引の意図ではなく、コバルトという非核商品の中にあるウランを国家間で照合する仕組みの弱さだ。

輸出先より先に、尾鉱へ残る負担

DRC国内に残った推定1,000〜4,000トンも見逃せない。研究モデルでは、沈殿や吸着で製品流から除かれたウランは、主に移動しやすいウラニル種または水酸化物種として尾鉱へ入り、溶解・再浸出し得る。この化学挙動は潜在的な環境管理上の問題を示すが、今回の研究は周辺住民の個人曝露を直接測ったものではない。

論文が参照した過去の生体モニタリングでは、Copperbeltの住民や手掘り鉱山労働者に高いウラン曝露が報告されている。論文は、換気の悪い坑道や住宅でのラドンもウラン鉱化に伴うリスクとして挙げた。ただし、今回の1,000〜4,000トンは尾鉱中の物質収支を推定した値であり、これらの既往研究との因果関係や疾病数を測ったものではない。

研究チームは、DRC全土の鉱山監査、水酸化コバルト貨物の独立分析、作業員の放射線監視を求める。製錬所ではリン酸沈殿やイオン交換を標準化し、尾鉱を安定な形で管理する必要がある。DRC国内でコバルトを金属まで精製すれば、ウランを輸出前に分離できるが、電力と設備への投資が要る。まず確かめるべき数字は、モデルが示した総量よりも、鉱山別・貨物別のウラン濃度と、どの年・相手国向けで年間10トンを超えたかである。