ドイツのデスクトップDDR5メモリーは、2026年7月に再び値を上げた。3DCenterが7月19日に更新した小売価格指数は、2025年7月を100%とした場合の448%に達し、6月の419%と、2026年1月・2月の440%を上回った。これは基準月から448%上がったという意味ではない。基準月の価格水準の4.48倍、上昇率に直せば348%である。

今回の変化は、特定の高クロック製品だけの跳ね方ではない。調査対象の20カテゴリーのうち18カテゴリーで、ドイツの通常小売における最安の在庫あり価格が6月から上がった。前月比の平均は+7.1%で、6月の419%から7月の448%へ、価格水準がもう一段上へ動いたことを示す。

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448%は「448%高い」ではない

3DCenterの指数は、2025年7月の価格を100%として積み上げる。したがって、7月の448%は同じ条件の製品群が1年前の4.48倍の水準にあるという表示だ。価格の増加分は348%であり、「448%高騰」と読むと上昇幅を100ポイント分大きく見積もってしまう。

指数の山は、昨年末から今年初めにかけて急につくられた。2025年12月に345%へ上がり、2026年1月と2月は440%で高止まりした後、3月には408%へいったん下がった。しかし6月の419%から7月には448%へ戻り、過去最高を更新した。今回の+7.1%は一見すると年初の急騰より小さいが、すでに基準月の4.48倍となった水準に乗る上昇である。

ドイツの一般的なPC自作向けメモリーを買う人は、上昇率の大きさだけで予算を判断できない。容量を増やす見積もりでは、同じ構成を組む予算が以前の水準からどこまで膨らんだかが問題になる。指数は個別ブランドの値札ではないものの、製品名を替えて安値を探しても、条件に合う選択肢全体が上へ動いているかを確かめられる。

最安在庫価格を20カテゴリーで追う

この指数は、Geizhalsに掲載されたドイツ小売の価格履歴から作られている。3DCenterは各月の中旬週末に、在庫がある通常小売の最安値を記録し、eBayとAmazon Marketplaceの出品を対象から外した。つまり店頭の平均販売価格や、契約価格をそのまま表す統計ではなく、購入可能な最安価格を同じ手順で追った観測値である。

対象は20種類のデスクトップDDR5カテゴリーで、容量と枚数を決め、速度とレイテンシーも条件に固定する。例えば「2×16GB DDR5-6000 CL28」はメーカーを固定せず、その条件に当てはまる製品の最安値を採った。特定ブランドのモデルは終売や供給停止で価格系列が途切れ得るため、同じ条件での最安水準を追う方法とは区別する必要がある。

その代わり、指数から世界のDDR5市場や日本の実売価格を直接は読めない。月中旬の一点観測であり、店舗別の在庫、期間限定セール、個別キットの品薄は別に動く。また、このデータだけでDRAM契約価格、供給量、流通在庫のどれが今回の上昇を招いたかを決めることもできない。価格水準と上昇の広がりを測る指標として使うべきだ。

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18カテゴリーで上昇、最速帯にも波及

6月から7月にかけての変化は、低容量品だけにも、高速なオーバークロック向けだけにも偏らなかった。20カテゴリーのうち2つは同じ価格だったが、残る18では上昇した。代表的な3条件を並べると、最安値が上がる範囲の広さが分かる。

カテゴリー 2026年6月の最安値 2026年7月の最安値 前月比
8GB DDR5-5600 105ユーロ 118ユーロ +12%
16GB DDR5-6000 CL28 417ユーロ 485ユーロ +16%
16GB DDR5-7200以上 385ユーロ 450ユーロ +17%

掲載した3例では、2×16GB DDR5-7200以上の+17%が最も大きい。一方、8GB DDR5-5600も+12%となり、廉価な低容量帯が横ばいだったわけではない。容量や速度が違う製品群まで同時に動いたため、購入者が一つ下の速度や別容量へ替えるだけで、直前までの価格水準へ戻れるとは限らない。

ただし、ここで示すのは「各条件で最も安く買える1組」の価格である。特定メーカーのヒートスプレッダ、RGB照明、保証条件までそろえた同一製品の比較ではない。個別の購入判断では、必要な容量、対応するマザーボードのメモリープロファイル、販売店の納期を確認して、指数の値と混同しないほうがよい。

見積もりを長く寝かせにくい局面

今回の448%は、DDR5を含むPC構成の見積もりを数カ月前の価格で固定しにくくしている。メモリーを後から増設する前提なら、同じ容量・速度をもう1組買う費用を、初回の部材選定時に別枠で見ておく必要がある。ドイツの観測値に限れば、安価な代替品を探す余地が一様に残っている状況ではない。

一方で、指数が高値圏にあることだけから、翌月も同じ幅で上がるとは言えない。今回の集計でも2カテゴリーは横ばいで、20条件すべてが同じ速度で動いたわけではない。次回の月次データで18カテゴリーの広がりが維持されるか、6月から7月の+7.1%が一過性かを見れば、PC自作向けの最安値が再び高止まりへ戻るのか、さらに上へ向かうのかを判断しやすくなる。