Googleの次期ミッドレンジスマートフォン「Pixel 9a」のプロトタイプと思われる実機の画像が新たにリークされた。X(旧Twitter)ユーザーのfenibookが投稿した2枚の画像からは、Pixel 6以降のシリーズの特徴的なデザイン要素であった背面のカメラバーが姿を消し、新たなデザインへとGoogleが転換する可能性が示唆されている。
プロトタイプから見える重要な変更点
今回リークされたプロトタイプには、Googleの開発中デバイスに特徴的な識別マーキングが施されており、背面には「For evaluation only」「For internal testing and development only」という文言が記されている。さらに、FCC認証や欧州およびカナダの規制への準拠テストが未実施であることを示すステッカーも確認できることから、このデバイスがエンジニアリング評価テスト(EVT)段階にあることが判明している。


デザインの最も顕著な変更点は、Pixel 6以降3世代にわたって採用されてきた特徴的なカメラバーの廃止である。その代わりに採用されているのは、背面にフラットに統合されたシンプルなピル型のカメラハウジングだ。これにより、従来のPixelシリーズの象徴的なデザイン要素が完全に姿を消すことになる。LEDフラッシュは独立して配置される新しいレイアウトとなり、全体的にミニマルな印象を与えるデザインへと進化している。

端末の前面については、Pixel 9と同様のデザイン言語を踏襲しており、フラットなディスプレイ、丸みを帯びたコーナー、メタルフレーム、そして中央寄せのセルフィーカメラカットアウトが確認できる。ただし、これまでのAシリーズの特徴を引き継ぎ、フラッグシップモデルと比較してやや太めのベゼルが採用されると見られている。
技術面では、デバイスのIMEI番号から、このプロトタイプがモデル番号「GTF7P」を持つGoogleデバイスであることが確認されている。これは過去のPixel Aシリーズで使用されてきたG8HHN、G576D(Pixel 8a)やGWKK3、GHL1X(Pixel 7a)といったモデル番号とは異なるナンバリングパターンを示しており、内部的にも大きな変更が行われている可能性を示唆している。
このデザイン変更は、単なる見た目の刷新以上の意味を持つと考えられる。カメラモジュールの小型化は、Googleの計算写真技術の進歩により、物理的なカメラハードウェアへの依存度が低下していることを示唆している。これは、ミッドレンジスマートフォンにおける画質と製造コストのバランスに関する、Googleの新たなアプローチを表明するものかもしれない。
スペック情報と発売時期
複数のソースによると、Pixel 9aは以下のような仕様になると予想されている:
- 6.3インチActuaディスプレイ(120Hz)
- Tensor G4プロセッサ
- 8GBのRAM
- 128GB/256GBストレージオプション
- 5,000mAhバッテリー
- 48MPメインカメラ + 13MP超広角カメラ
- 18W有線充電 / 7.5W無線充電
発売時期については2025年3月が有力視されており、Android 16の早期リリーススケジュールとも合致する展開が予想されている。カラーバリエーションはPorcelain、Obsidian、Peony、Irisの4色が予定されているとの情報もある。
Xenospectrum’s Take
カメラバーの廃止は、 Pixelスマートフォンの背面デザインを一新しようとしているGoogleの計画の一端と見られている。GoogleのデザインディレクターであるClaude Zellweger氏はThe Vergeに対し今年の8月に「計算写真技術の進歩によるカメラハードウェアとスマートフォンハードウェアの比率の再評価」について言及しており、この思想が今回のデザイン変更に反映されていると考えられる。
しかし彼は、Googleやそのライバル企業が使用している計算写真やAIのポストプロダクション技術は、厚いカメラが取り除かれた場合のギャップを埋めることができるため、デザイナーはいつか薄いハードウェアを使用するかもしれないと示唆している。 (一例: Googleはズーム画質向上機能をリリースしたばかりで、いつか長いズームレンズの需要が減るかもしれない)。
彼は、”カメラ “という概念全体が進化し続ける中で、デザイナーはカメラのハードウェアと電話のハードウェアの比率を見直すことになるだろうと言う。
ミドルレンジモデルでこの大胆な変更を試みることは、Googleの戦略的な判断を示唆している。高級機種に比べてリスクの少ないAシリーズで新しいデザイン言語を検証し、将来的なPixelシリーズ全体のデザイン進化への布石とする意図が読み取れる。
ただし、報じられているモデムの旧世代採用については懸念が残る。Pixel 9シリーズで達成された通信性能の向上を維持できない可能性があり、これは価格競争力とユーザー体験のバランスという観点で微妙な判断を迫られる部分となるだろう。
Sources