Jon Peddie Research(JPR)は2026年9月3日、同年第2四半期のPC向けGPU出荷が7,550万基に達したと発表した。前四半期比では10.4%増、前年同期比でも1.1%増となり、PC市場が弱含むなかでGPUの供給量は前年を上回った。
ただし、伸びは市場全体へ均等に広がったわけではない。ノートPC向けGPUは前四半期比16.8%増えたが、デスクトップ向けは4%減った。ディスクリートGPU(dGPU)は12.2%増えているものの、JPRはその内訳をPC形態別に示していない。今回の数字が描くのは、デスクトップ用カードだけの活況ではなく、CPU内蔵GPUを含むPC向けGPU市場がノートPC側へ傾いた姿である。
7,550万基に含まれる三つの市場
JPRが示した7,550万基は、PCに搭載されるGPUの総数だ。CPUへ統合されたGPUと独立型GPUを含み、対象となるPCもデスクトップ、ノートPC、ワークステーションにまたがる。グラフィックスカードの出荷台数とは分母が違う。
同社はGPU搭載比率を120%としている。これはPC1台に平均1.2基のGPUが対応する比率で、CPU内蔵GPUに加えて独立型GPUを搭載する構成があるため100%を超えうる。PC台数とGPU基数が一致しない理由でもある。
さらにJPRは、PC向けGPU全体、ディスクリートGPU、デスクトップ向けGPU、ノートPC向けGPUを別々に集計している。同じ四半期を比べた伸び率でも、包含範囲は揃っていない。四つの値を足したり差し引いたりして内訳を作ることはできない。
伸び率を分けると、ノートPCとデスクトップは逆方向
JPRの2026年第2四半期発表では、PC向けGPU全体が前四半期比10.4%増、ディスクリートGPUが12.2%増、ノートPC向けGPUが16.8%増となる一方、デスクトップ向けGPUは4%減った。
- 増加
- 減少(絶対値)
データを表で見る
| 増加 (%) | 減少(絶対値) (%) | |
|---|---|---|
| PC向けGPU全体 | 10.4 | — |
| ディスクリートGPU | 12.2 | — |
| デスクトップ向け | — | 4 |
| ノートPC向け | 16.8 | — |
この対比から確定できるのは、PC向けGPU全体の増加がノートPC向けの伸びと同時に起き、デスクトップ向けは逆方向へ動いたことだ。ディスクリートGPUの12.2%増にはデスクトップとノートPCの両方が入るが、それぞれの寄与は公開されていない。
デスクトップ向けGPUの4%減も、完成品のグラフィックスカードだけを測った値ではない。CPU内蔵GPUを含むデスクトップPC向け全体である。したがって、この4%をカード市場の減少率として使うことも、12.2%をカード市場の増加率として使うこともできない。
CPU構成でもノートPCは78%へ上昇
PC形態の変化は、JPRが同じ発表に載せたクライアント向けCPUの構成にも表れている。JPRの公開グラフでは、クライアント向けCPUのうちノートPC向けは2025年第2四半期の71%から2026年第2四半期の78%へ7ポイント上がり、デスクトップ向けは29%から22%へ7ポイント下がった。
- デスクトップ
- ノートPC
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| デスクトップ (%) | ノートPC (%) | |
|---|---|---|
| 2025年Q2 | 29 | 71 |
| 2026年Q1 | 27 | 73 |
| 2026年Q2 | 22 | 78 |
ノートPC比率は直前の2026年第1四半期にも73%まで上がっていた。第2四半期のGPU出荷増は、すでに進んでいたPC形態の変化を一段強めた局面と読める。ただし、CPU構成はディスクリートGPUの搭載率を示さないため、ゲーミングノートPCだけが伸びを作ったとは断定できない。
世界PC市場の数字も、同じ方向を単純には示さない。IDCによると、第2四半期の世界PC出荷は6,820万台で、前年同期比4.9%減だった。一方、JPRのPC向けGPU出荷は前年同期比1.1%増えている。調査会社、集計対象、流通段階が異なるため、この差をそのままGPU搭載率の上昇として計算することはできない。それでも、PC台数とGPU基数が別の動きをした点は、市場を見るうえで重要である。
AMDの21%はCPU内蔵GPUを含む
メーカー別シェアの分母も、PC向けGPU全体だ。JPRの公開グラフでは、PC向けGPU全体のAMDシェアは2025年第2四半期の14%から2026年第2四半期の21%へ7ポイント上がり、Intelは61%から56%へ5ポイント下がった。Nvidiaは24%から23%へ1ポイント低下した。
- AMD
- Intel
- Nvidia
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| AMD (%) | Intel (%) | Nvidia (%) | |
|---|---|---|---|
| 2025年Q2 | 14 | 61 | 24 |
| 2026年Q1 | 20 | 57 | 23 |
| 2026年Q2 | 21 | 56 | 23 |
この21%はデスクトップ向けRadeonカードの市場シェアではない。AMDとIntelでは、CPU内蔵GPUを搭載したプロセッサーの出荷が大きく影響する。3社の数字をグラフィックスカード市場の競争図として読み替えると、JPRが集計した対象範囲から外れてしまう。
AMDのForm 10-Qでは、第2四半期のクライアント向けCPU数量が前年同期比34%増え、Ryzenモバイルプロセッサーが主因とされた。平均販売価格は6%下がった。Intelは同じ四半期にクライアント向け数量が8%減り、平均販売価格は27%上昇したと開示しており、高価格帯製品への構成変化が価格上昇の大半を説明する。これらの決算情報は、AMDのモバイル数量増とIntelの数量減がJPRの総GPUシェアの方向と整合することを示すが、シェア変化の寄与率までは証明しない。
出荷増を需要増と読む前に残る確認
JPRが数える出荷は、消費者が購入した実売と同じではない。メーカーからPCメーカーや流通へ移った製品は、在庫として四半期をまたぐことがある。JPRはクライアント向けCPUの第2四半期出荷が前四半期比9.4%増えた理由について、第1四半期に減ったOEM在庫の積み戻しが一部含まれると説明している。
デスクトップ用グラフィックスカードには、JPRが別に集計する拡張グラフィックスカード(AIB)市場がある。直近で公開されている2026年第1四半期の出荷は1,180万台で、前四半期比0.6%減、前年同期比28.3%増だった。第2四半期版が未公表の現段階では、カード市場の絶対数とメーカー別シェアを確定できない。
公開データには比較時の注意点も残る。JPRの第2四半期発表が示す7,550万基を第1四半期発表の7,030万基と比べると7.4%増となり、公表された10.4%とは一致しない。公開資料には改訂履歴がないため、10.4%はJPRの公表率として扱い、未公表の基準値を逆算しない。
2026年第2四半期の輪郭は、PC向けGPU全体とディスクリートGPUが増え、PC形態ではノートPC向けが伸び、デスクトップ向けが減ったというものだ。メーカー別ではCPU内蔵GPUを含む分母でAMDがシェアを伸ばした。デスクトップ用カードの需要まで判断するには、専用レポートの出荷数に加え、小売在庫、実売価格、消費者への販売数を重ねる必要がある。
