TrendForceは2026年9月3日、iPhone 18世代の新機種が10〜20%値上がりするとの予測を公表した。メモリー部品の調達費急増が、小売価格にも波及するという見立てだ。折りたたみ機は2,099〜2,299ドルからを想定するが、いずれもAppleの正式発表ではない。

日本では、比較の基準にも注意が要る。iPhone 17 Proの256GBモデルは発売時の179,800円から、9月4日に確認したApple Storeでは194,800円へ変わっている。容量をそろえた歴代モデルの価格と、この途中の改定を分けて初めて、次世代で増える負担が見えてくる。

AD

なぜメモリー高騰が端末価格に響くのか

TrendForceは、2026年7〜9月に256GBのProモデルで使うメモリー部品の調達費が、前年同期より約400%増えると見込む。前年の約5倍に近い計算だ。ここでいう256GBはストレージの構成を指し、RAMが256GBになるという意味ではない。DRAMは処理中のデータを一時的に置くメモリーで、NANDは写真やアプリなどを保存する記憶媒体である。公開資料は両者の費用内訳と絶対額を示していないため、NAND単品が400%値上がりするとは断定できない。 

TrendForceは7月、メモリー各社がAI用途へ供給を優先したことで、モバイル向け低消費電力DRAMの供給が絞られ、NANDでも企業向けSSDへ配分が増えていると指摘した。端末の売れ行きが強くなくても、部品を作る側の配分が変われば、スマートフォンメーカーの調達費には圧力がかかる。 

8月の予測では、iPhone 18 Proの256GBモデルの部品原価は、同容量のiPhone 17 Proより38%高くなる見通しで、メモリー部品が部品原価に占める比率は約10%から34%へ上がるとされた。部品原価は端末を構成する部品の費用合計だ。販売にかかる費用もあるため、部品費の38%増から端末も38%値上がりすると計算することはできず、Appleの粗利率も求められない。 

メモリーが部品費の約3分の1を占めるなら、ほかの部品を少し安く調達するだけで増加分を埋めるのは難しい。同じ256GB構成でも、調達にかかる費用が増えるという予測だ。新しい機能を必要としない利用者も、同容量の次世代モデルへ買い替える際には、その費用増の影響を受ける可能性がある。

過去3世代と比べると、何が違うのか

Pro Maxの256GBは、米国の発売時価格が3世代とも1,199ドルだった一方、日本では189,800円から194,800円へ上がった。

世代 モデル 最低容量 米国の発売時価格 日本の発売時価格
iPhone 15 Pro 128GB 999ドル 159,800円
iPhone 15 Pro Max 256GB 1,199ドル 189,800円
iPhone 16 Pro 128GB 999ドル 159,800円
iPhone 16 Pro Max 256GB 1,199ドル 189,800円
iPhone 17 Pro 256GB 1,099ドル 179,800円
iPhone 17 Pro Max 256GB 1,199ドル 194,800円

価格はいずれも各モデルの発売時点で、米国は販売税別、日本は税込だ。下取りや通信会社の割引を適用する前の価格を、Appleの各発表から比較した。 

Proの見かけの価格上昇には最低容量の変更が混じる。17 Proは128GBから256GBへ移り、日本の発売時価格は2万円上がった。Pro Maxは3世代とも最低256GBで、米国では1,199ドルを保ったのに対し、日本では15・16の189,800円から17で194,800円5,000円、約2.6%上がった。容量を揃えたPro Maxは地域別の価格推移を読む基準になる。

Proでは、17世代への移行で最も安い128GB構成を選べなくなった。容量を必要とする人には増量でも、128GBで足りていた人には、購入に必要な最低額が上がったことになる。同じ容量の価格が動く場合と、安い構成がなくなる場合では、影響を受ける利用者が違う。18世代の値札も、最低価格と容量を組み合わせて読む必要がある。

AD

2nmと可変絞りで得られるもの

TrendForceは、Pro、Pro Maxと折りたたみ機に搭載するA20 ProがTSMCの2nmプロセスを採用し、メモリー実装をInFOからWMCMへ変えると予測する。信号経路を短くし、熱を扱いやすくする狙いがあるという。Proには機械式の可変絞りも予測した。レンズを通る光の量を機構で変える方式で、ソフトウェアが背景をぼかす処理とは役割が異なる。 

ただし、2nmという製造世代だけで、端末の電池持ちやカメラ画質を判断することはできない。実装の改善はチップ周辺の信号と熱に関わる。筐体が熱を外へ逃がす仕事は別だ。実際、AppleはiPhone 17 ProでA19 Pro、アルミニウム筐体、ベイパーチャンバーを採用済みであり、冷却が18世代で初めて入るわけではない。

16 ProはA18 Proと第2世代3nmプロセス、5倍望遠を備えた。17 Proでは望遠も48MPとなり、背面の3つのカメラが48MPでそろった。画素数や望遠機能を増やしてきた過去モデルに対して、18で予測される可変絞りは光学的な調整手段を増やす。撮影の何が変わるかは、更新する部品によって異なる。 

可変絞りの価値は、開口を変えることで光量やピントの合う範囲を撮影時に調整できることにある。ただし、実際にどれだけ調整できるかは、搭載されるレンズと絞りの範囲次第だ。冷却も、短時間の最高速度より、撮影やゲームを続けたときに性能を保てるかで効いてくる。発売後の画質と持続性能の検証が、買い替えに値する差を測る材料になる。

日本では発売時価格と現在価格を分ける

Apple Storeで9月4日に確認した17 Pro 256GB194,800円、17 Pro Max 256GB214,800円だ。発売時からはそれぞれ15,000円2万円高い。

以下は、日本でも同じ上昇率だった場合の支出の幅を見るための試算である。新機種の日本価格を予想した表ではない。

現行256GB価格(税込) 10%上昇と仮定 20%上昇と仮定 増加額
17 Pro:194,800円 214,280円 233,760円 19,480〜38,960円
17 Pro Max:214,800円 236,280円 257,760円 21,480〜42,960円

現在の日本価格に同じ上昇率を当てると、Proは約21.4万23.4万円、Pro Maxは約23.6万25.8万円になる。

計算は現在価格×1.10、現在価格×1.20で行った。ただし、前年モデルとの比較で示された上昇率を、すでに改定された日本の現行価格へ重ねると、改定分を二重に数えるおそれがある。日本で同じ率が適用されるとの予測でもない。

日本の新価格が出たときには、17世代の発売時と、いま買える17世代の価格の両方に照らすとよい。前者は世代をまたぐ価格変化、後者は買い替え時点での追加支出を測る。下取りや通信会社の割引を使う場合も、必要な容量の端末代を起点に条件をそろえれば、月額表示だけでは見えにくい負担を比べられる。

AD

折りたたみ機の価格と、春へずれる標準モデル

TrendForceが仮称「iPhone 18 Fold」と呼ぶ折りたたみ機は、開始価格を2,099〜2,299ドル、上位構成は3,000ドルを超える可能性があるとみる。iPhone 17 Pro Maxの米国発売時価格1,199ドルと比べると約1.75〜1.92倍の価格帯だ。容量も形状も同じではないため、これは同一条件の価格比較ではない。予測どおりなら、折りたたみ機はPro Maxよりさらに高い価格帯を開く製品になる。

同社はFoldに2眼カメラと静電容量式の指紋センサーを予測し、初期供給には制約があるともみる。2026年に折りたたみ機が世界のスマートフォン市場に占める割合は約2%との見通しだ。従来のPro系が3眼のカメラを磨いてきたのに対し、折りたたみ機では薄さや折り曲げ機構との両立が求められる。価格の高さが、すべての撮影機能でProを上回ることを意味するわけではない。日本円価格や国内の供給日は未発表だ。

標準iPhone 18などを2027年1〜3月に投入するという同社の予測も、日本の買い替え計画に関わる。秋にProかPro Maxを買う人と、より低い価格帯で世代交代したい人が同じ時期に選べなくなる可能性があるからだ。標準モデルを待つ人にとっては、春の発売までに旧モデルがどう値付けされるかも関心事になる。TrendForceは8月、部品費上昇に対応してAppleが旧モデルの価格を引き上げる可能性にも言及した。新世代の登場が旧世代の値下げにつながるとは限らない。

秋の新製品で先に確かめたいのは、必要な容量を、いつ、総額いくらで入手できるかである。折りたたみ機では国内の供給に加えて、修理と保証の条件も長く使う費用を左右する。価格上昇に見合う撮影性能や使い勝手が得られるかを、その条件と合わせて判断することになる。