AI画像生成プラットフォームIdeogramが3月26日、新たなフラッグシップモデル「Ideogram 3.0」を発表した。リアリズムの向上、革新的なスタイル参照機能、高精度テキストレンダリングを特徴とする同モデルは、すでにWebサイトとiOSアプリで一般公開されている。
革新的な「スタイル参照」機能を導入
Ideogram 3.0の最大の特徴は、新たに導入された「スタイル参照(Style References)」機能だ。ユーザーは最大3枚の参照画像をアップロードすることで、テキストプロンプトだけでは表現しにくい特定の美的スタイルを簡単に指定できるようになった。



スタイル参照に加え、「ランダムスタイル(Random style)」機能も導入された。これは、Ideogramが持つ43億種類もの膨大なプリセットスタイルの中から、ユニークな組み合わせをランダムに提案する機能である。ユーザーは予期せぬスタイルの発見を楽しむことができ、創造的なインスピレーションを得るきっかけとなる。気に入ったスタイルが見つかれば、そのスタイルに紐づけられた「スタイルコード(Style Code)」を使って、後で簡単に再利用することも可能である。
写真レベルのリアリズムと詳細な表現力
Ideogram 3.0は、生成画像のリアリズムを大幅に向上させている。複雑な空間構成、精密な照明と色彩コントロール、緻密な背景描写など、生成画像と実写の境界をあいまいにするレベルの表現力を実現した。
特に環境の詳細表現や大気効果のレンダリングにおいて顕著な改善が見られ、以前のバージョンで課題とされていた手のレンダリングも大幅に強化されている。
グラフィックデザイン向け高精度テキスト生成

Ideogramは初期リリース時からテキスト描画能力に定評があったが、バージョン3.0ではその能力がさらに強化された。特に、グラフィックデザイン、広告、マーケティングなどの分野で求められる、デザイン性の高い、かつ正確なテキスト生成において、他のモデルを凌駕する性能を発揮するとされる。長く複雑な文章構成であっても、高い精度で画像内に組み込むことが可能であり、単なる文字入力(タイポグラフィ)を超えた、芸術的で美しいテキスト表現を実現する。ロゴデザインやプロモーションポスター、ランディングページのコンセプト作成など、プロフェッショナルな用途での活用が期待される。
ユーザーエクスペリエンスの向上
Ideogramは今回のアップデートで、WebサイトとCanvasプラットフォーム全体で統一された新しいプロンプトボックスを導入している。また、Describe機能も改善され、より詳細なシーン説明が可能になった。
新たに導入されたCanvasエディタでは、Magic Fill、Extend、Replace Backgroundなどの機能により、AIを活用した高度な画像編集が可能になっている。
市場における位置づけ
Ideogramの初期バージョンは正確なテキストレンダリングを強みとしていたが、OpenAIのGPT-4oも同様の機能を提供するようになったため、Ideogramは写真リアリズムとプロフェッショナルツールへと焦点を広げている。
この戦略転換により、まだ最新アップデートをリリースしていないMidjourneyに対して優位性を確保する狙いもあると見られる。Ideogram 3.0は、人間による評価で他の画像生成AIモデルよりも高いELOレーティングを獲得しており、様々な能力、テーマ、スタイル、ユースケースにおいて一貫して高いパフォーマンスを示しているという。

利用について
Ideogram 3.0は、すでにIdeogramのWebサイト(ideogram.ai)およびiOSアプリで全ユーザーに公開されている。一部のユーザーには早期アクセスが付与され、10,000の優先クレジットが提供されているという。
なお、Ideogramの前バージョンとなるIdeogram 2aは3月7日にリリースされたばかりで、約3週間という短いスパンでの大型アップデートとなった。
Sources
- Ideogram: Ideogram 3.0