Lam Researchは10月21日、2026年9月27日終了四半期の売上高が82.2億ドルとなり、前四半期から22%増えたと発表した。半導体製造装置への投資が売上に結びつくなか、同社が示した区分別の数字には大きな差がある。新規装置の売上高は前四半期比34.9%増えた一方、顧客サポート関連は0.6%増にとどまる。売上全体の伸びを分解すると、AI需要を背景とする今回の成長が、どこで生じたかが見えてくる。
増収額の99.1%は新規装置から
Lam Researchの2026年9月期は、前四半期からの増収額の99.1%を新規装置が占めた。会社が公表した売上区分を同じ期間で比較し、増加額を計算した結果だ。
| 売上区分 | 2026年6月期 | 2026年9月期 |
|---|---|---|
| 新規装置 | 4,249,848 | 5,732,907 |
| 顧客サポート関連売上高など | 2,472,390 | 2,486,511 |
| 合計 | 6,722,238 | 8,219,418 |
単位は千ドル。Lam Researchの決算発表の売上区分表をもとに作成した。
全社の増収額は約15.0億ドルで、このうち約14.8億ドルを新規装置が生み出している。寄与率の計算式は「(5,732,907−4,249,848)÷(8,219,418−6,722,238)×100」。千ドル単位の原数値で計算し、小数第1位に丸めると99.1%になる。つまり、今回の前四半期比の成長は、ほぼ新規装置に集中していた。
新規装置の区分には、成膜やエッチング、洗浄などの先端装置が入る。半導体上に薄い材料層を作り、必要な部分を削り、加工後の表面を洗浄するための設備だ。一方、顧客サポート関連にはサービスや部品、装置のアップグレードが含まれ、Reliant製品群の非先端装置もここに計上される。したがって、二つの区分は「新しい装置」と「保守料金」だけで割り切れる関係ではない。
顧客サポート関連も約24.9億ドルの売上規模を持つが、前四半期の約24.7億ドルからの伸びは小さい。既存顧客向け事業が全体を一様に押し上げた、と読むより、新規装置の売上増が全社の数字を大きく変えた決算と捉えるほうが実態に近い。ただし、99.1%は計上済み売上の増加額に占める割合であり、新規受注やAI専用装置の寄与率を表す数字ではない。
利益率40.0%とAI需要の読み方
米国会計基準(GAAP)の営業利益率は40.0%で、前四半期の37.4%から2.6ポイント上昇した。粗利率も51.7%から52.3%へ改善し、売上の拡大と利益率の上昇が重なっている。純利益は27.5億ドル、希薄化後1株当たり利益(EPS)は2.19ドルだった。
調整後の非GAAPベースでは、営業利益率が40.2%、EPSが2.20ドルとなる。Investing.comがまとめた市場予想はEPSが2.18ドル、売上高が81.3億ドルで、実績は両方を上回った。同媒体の予想との比較で使う2.20ドルは調整後の数値であり、GAAPの2.19ドルとは区別して見る必要がある。
非GAAPの数字には、買収に伴う無形資産の償却などを除く調整が入る。さらに今回と前四半期では、一部の調整項目も異なっている。利益の比較では、同じ会計基準の営業利益率を追い、そのうえで会社の調整後指標を併せて読むと、利益が伸びた事実と調整による差を分けやすい。
Tim Archer社長兼CEOは、AIに伴う半導体需要の増加とデバイス構造の複雑化を挙げ、運営面の実行が売上高・利益・EPSの過去最高につながったと説明している。技術転換と製造能力への投資が、半導体製造装置市場を上回る成長を支えるという見方も示した。
ただし、AI用途別や個別製品別に今回の増収額を分けた数字は、この決算発表には示されていない。デバイス構造が複雑になれば、材料を積み重ねたり加工したりする装置の役割は増すが、今回の新規装置売上のすべてをAI向けとみなす根拠にはならない。会社の需要認識と、決算表から計算できる増収の所在は、分けて受け止める必要がある。
次の焦点は86億ドル見通しの中身
2026年12月27日終了四半期の売上高見通しは86億ドルを中心に、上下4億ドルの幅を持たせている。予想範囲は82億〜90億ドルだ。EPSはGAAP・調整後とも2.33ドルを中心に上下0.15ドル、営業利益率は40.5%を中心に上下1ポイントとしている。
売上高の中心値を9月期の実績82.19418億ドルと比べると、増収率は約4.6%となる。計算は「86÷82.19418−1」を百分率にしたもので、今回の前四半期比22%増に比べ、次期の中心値が想定する伸びは小さい。もっとも、見通しには幅があり、中心値だけで実際の成長率が決まるわけではない。
Investing.comが示した次四半期の市場予想は、売上高85.4億ドル、EPS2.32ドルだった。会社見通しの中心値はこれらをわずかに上回る。すでに高い売上水準を見込む市場に対し、今後は予想を超えたかどうかに加え、どの売上区分で成長を維持できるかが判断材料になる。
売上を計上する時期にも注意したい。Lam Researchは、日本の顧客向け出荷について、顧客の検収まで支配が移らず、原価で在庫に計上すると説明している。9月期末のこうした出荷から見込む将来売上は4.683億ドルで、繰延収益26.6億ドルには含まれない。出荷済みだからといって、すべてが当期の売上に入るわけではないということだ。
また、9月期の地域別売上では中国が35%を占める。会社は輸出規制や関税をリスクに挙げているが、この比率はそのまま規制対象の割合を意味しない。顧客の投資時期に加え、販売地域や製品の構成が変われば、売上と利益率の組み合わせも変わり得る。
12月期に86億ドルの売上見通しへ近づく際、新規装置の増収が続くのか、それとも顧客サポート関連の伸びも加わるのか。区分別売上と営業利益率を併せて追えば、今回の急増収が次の四半期にどうつながったかを、AIという需要説明から一歩進んで確かめられる。
