Marvell TechnologyがLumentum Holdingsの買収に向けて、本格的な協議に入った。Bloombergが10月28日に関係者の話として報じたもので、発表は早ければ来週になるという。Lumentumの時価総額は約830億ドル、Marvellは約2210億ドルと報じられている。ところがMarvellの手元現金は約39億ドルで、830億ドルの約4.7%にすぎない。この取引の対価は、株式が中心になると見られる。

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価格も対価構成も未報、判明しているのは両社の規模

Bloombergによれば、協議は非公開だ。報じられた範囲では、価格、プレミアム、支払い方法は明らかになっていない。時価総額の約830億ドルと約2210億ドルは報道時点の値で、日々動く。確定した数字ではなく、試算の土台として使うものだ。

Lumentumは、AIデータセンター向けのレーザー、モジュール、光学サブシステムを手がける。2026年6月27日に終えた会計年度の売上は30億1400万ドルで、前年比83.2%増だった。4〜6月期の売上は10億630万ドルと前年同期の2.1倍に近く、前年同期比で109.3%増にあたる。この四半期の売上の64.5%にあたる6億4940万ドルは部品(Components)、残る35.5%がシステム(Systems)だ。

7〜9月期の売上見通しは12億2500万ドルから12億7500万ドルである。CEOのMichael Hurlstonは、データセンターの設計者が光接続を主要な接続手段として選ぶ動きが広がっていると説明した。同じ4〜6月期には転換社債の一部を株式に転換し、現金支出を伴わない債務消滅損78億ドルを計上したため、GAAPの純損益は72億ドルの赤字だった。

資本面の経緯も短く押さえておく。NVIDIAは2026年3月2日にLumentumへ20億ドルを投資すると発表した。契約は非独占で、数十億ドル規模の購入コミットメントと、先端レーザー部品の将来の生産能力を使う権利を含む。

Marvell側は2026年2月にCelestial AIの買収を完了し、光インターコネクト技術を取り込んだ。2026年8月1日に終えた四半期の売上は27億3900万ドルで、前年比37%増。うちデータセンター事業は46%増だった。次の四半期の売上見通しは31億5000万ドル(上下5%)で、Lumentumの会計年度1年分の売上30億1400万ドルとほぼ並ぶ。それでも時価総額の差は約2.7倍にとどまり、買収される側が小さな会社ではないことが分かる。

現金39億ドルで賄えるのは4.7%、残りは株式か借入

Marvellが2026年8月1日時点で持つ現金及び現金同等物は、39億3280万ドルだ。Lumentumの時価総額約830億ドルに対しては約4.7%になる。同じ日の長期債務は49億6290万ドルで、四半期の営業キャッシュフローは6億550万ドルだった。現金に1四半期分の営業キャッシュフローを足しても、Lumentumの時価総額の1割に届かない。

株式で払う場合の仕組みを確かめておく。買収側が新株を発行して対価にすると、買収先の株主は新株を受け取り、統合後の会社の持ち分を得る。

対価を買収先の時価総額と同額とすれば、新株の価値は約830億ドルで、既存のMarvell株主が持つ約2210億ドル分に加わる。プレミアムなしで全額を株式で払うと仮定すると、Lumentum株主は統合後の会社の約27%を持つことになる。83を、221と83の合計で割った値が約27.3%だ。一般に買収ではプレミアムが上乗せされるため、実際の持ち分はこれより高くなる方向に動く。現金や借入を混ぜれば、持ち分は下がる。

評価の水準も、払う側の負担を左右する。Lumentumの時価総額を直近の会計年度の売上で割ると約27.5倍で、7〜9月期の見通しの中央値12億5000万ドルを4倍した年間50億ドルで割っても約16.6倍になる。成長が続いても、プレミアムはこの高い水準にさらに上乗せされる。

日本の読者には、金額の規模から伝えたほうが分かりやすい。Lumentumの時価総額830億ドルは、1ドル157円(10月23日の東京外国為替市場の終値が約157円)で換算すると約13兆円になる。この額を株式で払う取引なら、Marvellの株主は新株の発行による持ち分の希薄化を受け入れる必要がある。

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借入を混ぜても残る前提と、発表で確かめる数字

最有力の反対論は、Marvellが現金、借入、株式を混ぜて払えば、Lumentum株主に移る持ち分は小さくなるというものだ。Celestial AIの買収では、完了時にMarvellの現金が10億ドル減り、株式の発行で希薄化後の加重平均株式数が約2700万株増えた。現金と株式を組み合わせる払い方は、すでに前例がある。

この反対論を数字で検証する。現金と借入が対価の4分の1にあたる約210億ドルなら、新株で払うのは残りの約623億ドルで、Lumentum株主の持ち分は約22%になる。全額株式の約27%から、約5ポイント下がるにとどまる。持ち分が約16%まで下がるのは、対価の半分の約415億ドルを現金と借入で賄う場合だ。

それでも見立ては維持する。約415億ドルを賄うには、両社の現金等約66億ドル(Lumentumは2026年6月27日時点の27億ドルを含む)を使い切っても、約350億ドルの新規借入が要る。これはMarvellの現在の長期債務の約7倍で、Lumentumの時価総額の約4割にあたる。借入だけでこの規模を賄うのは難しく、対価の半分以上は株式にならざるをえないと考えられる。

見立てが外れる条件は、正式発表の対価構成にある。新株による支払いが対価の半分を下回れば、株式が中心という前提は崩れる。Bloombergの報道どおり発表が来週なら、確認は間近だ。もう一つ確かめる数字はプレミアムで、上乗せが大きいほど、Lumentum側の持ち分は27%を超えて上がる。

発表された対価構成と発行株数がそろえば、Marvell株主が持ち分の希薄化をどれだけ引き受けるかは、新株で払う比率と新株の数という2つの数字で決まる。光部品の供給力を手に入れる代わりに、Marvellはその分だけ自社の持ち分を差し出すことになる。