複数のAIコーディングエージェントを並行して利用できる開発ツール「Conductor」が2026年11月4日、Metaへの参加を公式に発表した。MetaもTechCrunchの取材に対して買収を認めている。これに伴い、Conductorのクラウドサービス「Conductor Cloud」は11月20日に終了し、ユーザーデータの削除が始まる。それに先立つ11月13日には新規メッセージの送信が停止されるため、既存利用者は作業環境の移行とデータの保存を進める必要がある。ただし、Macへの移行によってワークスペースやチャットを引き継ぐことはできても、Cloudと同じ実行環境が維持されるわけではない。

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Metaが買収した複数のAIエージェント向け開発ツール「Conductor」

Conductorは、複数のAIコーディングエージェントを独立した作業環境で並行して実行・管理できる開発ツールだ。AnthropicやOpenAIなどが提供する外部のAIエージェントを利用し、複数の開発タスクを同時に進められる。Conductor自身が独自の基盤モデルを開発しているわけではなく、既存のAIエージェントを効率よく活用するための開発環境を提供してきた。

Conductorの製品公開は2025年7月で、会社は2024年に設立された。Axiosによると、Charlie HoltzがCEO、Jackson de CamposがCTOを務めている。同媒体は取引関係者の情報に基づいて買収を報じており、買収金額などの取引条件は明らかになっていない。ConductorはMetaへの参加を表明し、TechCrunchもMetaから買収の事実を確認している。

11月13日に新規メッセージ停止、20日にCloud終了とデータ削除開始

Conductorは買収を発表した11月4日から、新規ユーザーの登録とアプリのダウンロードを停止した。既存の無料ユーザーは有料のProプランへ変更できなくなる一方、すでにProを利用しているユーザーは、サービス終了までPro機能を無料で使い続けられる。また、有効な契約については返金を行う方針も示している。

Conductor Cloudの終了に向けて、利用者が特に注意すべき日付は11月13日と20日だ。13日以降はCloudで新しいメッセージを送れなくなるものの、過去のチャットの閲覧やデータの書き出しは引き続き可能となる。そして20日にCloudが停止し、ユーザーデータの削除が始まる。ただし、20日は削除の開始日であり、すべてのデータの削除が完了する日ではない。

利用者が取るべき対応は、作業環境の移行と記録の保存で異なる。

目的 期限・条件 必要な操作 注意点
作業を継続する 11月13日にCloudの新規メッセージ送信停止 ワークスペースを右クリックし、「Transfer to local」でMacへ移行 ワークスペースとチャットは移行できるが、Cloudと同じ実行条件にはならない
記録を保存する 11月20日にデータ削除開始 「Settings → Account → Export data」から全データを書き出す 移行先での復元や後継製品への自動移行は保証されない
アプリ終了後も処理を継続する Cloud終了後は従来の条件を維持できない 実行環境の変更が必要 ローカル版ではアプリ終了やMacの停止によってセッションが終了する

重要なのは、Macへの移行と全データの書き出しは別の操作だという点だ。「Transfer to local」は、ワークスペースとチャットをMacに移して作業を続けるための機能であり、すべてのデータの保全を保証するものではない。一方、「Export data」は記録を保存するための操作で、書き出したデータを別の環境にそのまま復元できるとは説明されていない。作業環境と過去の記録の両方を残したい場合は、それぞれの操作を実施する必要がある。

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Macへの移行で失われるバックグラウンド実行機能

Conductor Cloudとローカル版の最大の違いは、AIエージェントが動作する場所にある。ConductorのFAQによると、CloudではVercelのサンドボックス上でエージェントが実行されるため、Conductorアプリを閉じても処理を継続できる。これに対してローカル版ではMac上で処理が実行され、アプリを終了したりMacを停止したりすると、そのセッションも終了する。したがって、ワークスペースを移行できたとしても、アプリを閉じている間にAIエージェントへ作業を進めさせる従来の運用は、そのままでは維持できない。

データの保存場所にも違いがある。Cloudではチャットの履歴がConductorのサーバーに保存されるのに対し、ローカル版ではセッションデータがMac上に保存される。また、ローカル版からのメッセージはモデル提供者へ直接送信されるとFAQで説明されている。つまり、ローカル版への移行によってConductorのクラウド環境への依存は減るものの、AIモデルとの通信まで不要になるわけではなく、完全なオフライン環境で動作するわけでもない。

特に、複数のAIエージェントに長時間の開発タスクを任せている利用者にとっては、この違いが運用に影響する可能性がある。CloudではMacを使っていない間も処理を進められたが、ローカル版ではアプリとMacを稼働させておく必要がある。移行を検討する際には、ワークスペースやチャットを引き継げるかだけでなく、これまでの作業手順をローカル環境で再現できるかも確認しておきたい。

ローカル版は2027年初頭まで更新予定、後継製品の詳細は未定

Conductorはローカル版について、2027年初頭まで新しいAIモデルへの対応と重大なバグの修正を続ける予定だと説明している。同時期には新たな製品やサービスを提供したい意向も示しているが、具体的な製品名や機能、料金、既存ユーザーの移行条件などは明らかになっていない。また、2027年初頭という期限は更新サポートの予定を示したものであり、その時点でアプリが強制的に使用できなくなることを意味するわけではない。一方で、それ以降も無期限に利用できると保証されているわけでもない。

Metaによる買収を受け、Conductorの技術や開発チームが今後どのように活用されるかにも関心が集まる。ただし、現時点では後継製品の詳細が公表されておらず、既存のConductorユーザーが新しいサービスへ自動的に移行できるかも分かっていない。そのため、後継製品の登場を前提に移行を先送りすることは避けたい。

既存ユーザーにとって最も差し迫った課題は、11月13日の新規メッセージ送信停止と、20日のデータ削除開始への対応だ。作業を続けるためのMacへの移行と、記録を残すための全データの書き出しをそれぞれ確認し、Cloudで利用していたバックグラウンド実行が必要かどうかも見直す必要がある。Meta傘下での新たな展開は今後の発表を待つことになるが、現在の作業環境とデータについては、Cloud終了前に確保しておくことが重要だ。