MicronのGDDR7製品カタログで、容量16Gb(2GB)の二つの品番が「End of Life(EOL)」になった。9月22日にVideoCardzなどが報じ、9月23日に公開カタログを確認すると、28GT/s品と32GT/s品の両方がEOLと表示されている。16Gb品はGeForce RTX 5060の一部製品で採用例があり、部品調達の選択肢が狭まる可能性がある。ただし、品番のEOLとカードの出荷停止は同じ出来事ではない。Micronに残る24Gb(3GB)品の状態と、既存の8GBカードの設計を突き合わせると、影響を判断するために欠けている数字も見えてくる。

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カタログが示す4品番の現在地

MicronのGDDR7製品カタログには、16Gbと24Gb、各28GT/sと32GT/sの計4品番が載っている。Micronの現行カタログでは16Gbの2品番がEOL、24Gbの28GT/s品だけがProductionだ。24Gbの32GT/s品は「Contact Sales」であり、生産中と表示されているわけではない。9月23日の掲載状態を、密度と速度ごとに並べると次のようになる。

1個の容量 28GT/s 32GT/s
16Gb(2GB MT68A512M32DF-28:A:End of Life MT68A512M32DF-32:A:End of Life
24Gb(3GB MT68A768M32DF-28:A:Production MT68A768M32DF-32:A:Contact Sales

16Gbと24Gbは1個に保存できるデータ量、28GT/sと32GT/sは端子あたりの転送速度という別の軸である。16Gbの32GT/s品がEOLになっても、24Gbの32GT/s品が直ちに量産代替となるわけではない。カタログでは後者の状態がProductionではなくContact Salesだからだ。

表から分かるのは、MicronがGDDR7全体から撤退したという話ではなく、16Gbの二つの速度品がEOLになったという範囲だ。24Gbへの移行にも速度による状態の差がある。「3GB品はすべて量産中」とまとめれば、32GT/s品の扱いを見誤る。

Micronの製品資料は、16Gb、x32構成、28Gb/sと32Gb/sの型番を説明している。一方、現行カタログは製品状態を示す。資料に16Gb品の説明が残っていることを、現在も通常生産している証拠にはできない。逆にカタログのEOL表示だけでは、最終発注日や最終出荷日、流通在庫の量は分からない。公開されたEOL通知書や後継品の指定も確認できていない。

2GBが消えると8GBカードに何が起きるか

採用が確認された例は、GALAX製GeForce RTX 5060だ。VideoCardzは、今年2月に見つかった同カードにMicronのD8FHLと呼ばれる16Gb品が4個載っていたと報じている。今回のEOL報道も、UNIKO's Hardwareの発見とMicronのカタログ変更をたどったものだ。確認できるのは一部カードの実装であり、RTX 50シリーズの全モデル、全ロットでMicron製品が使われていたことではない。

NVIDIAの公式仕様では、RTX 5060は8GBのGDDR7を搭載し、メモリーバスは128bit。Micronのカタログにある品番は1個あたりx32、すなわち32bit幅だ。32bit幅を4個並べれば128bitになり、2GB品を4個なら8GBになる。VideoCardzが報じた搭載個数は、この仕様と整合する。

では、Micronの生産中表示がある3GB品に置き換えればよいのか。同じ32bit幅の部品を4個使う構成なら、計算上は12GBになる。容量は現行RTX 5060の8GB仕様と変わる。両密度の品番はカタログ上、266ボールで外形も同じ12.00×14.00×1.10mmだが、外形が同じだけで既存カードに無条件で載せ替えられるとはいえない。対応するメモリー制御、基板、動作条件の検証と製品仕様の変更が必要になる可能性がある。少なくとも、Micronが24Gb品をProductionと表示したことは、NVIDIAが12GB版RTX 5060を発表したことを意味しない。

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EOLから供給危機は導けない

EOL表示が直接示すのは、Micronの二つの品番の製品ライフサイクル上の状態である。既存の在庫や契約済みの出荷がいつ尽きるかは、カタログから読めない。MicronがRTX 50向けに供給していた比率も公開されていない。したがって、今回の表示だけからGeForce RTX 50の生産台数、店頭在庫、価格の変化を算出することはできない。

部品調達への影響は、どのカードのどのロットがMicron品を認定していたかで変わる。VideoCardzのGALAX RTX 5060という実例は、Micronが単なるカタログ上の候補ではなかったことを示す。他方、その1例からMicronが主要供給者だったとも、供給量が小さく影響はないとも言えない。報道で名前が挙がるSamsungとSK hynixがどの程度代替できるかも、両社の生産余力やボードメーカーの認定状況が分からなければ判断できない。

3GB品への切り替えも、8GBカードでは容量と製品仕様の変更を伴う。同じ容量の部品を別メーカーから買い足す場合とは分けて考える必要がある。

次の判断材料

まず必要なのは、Micronが16Gb二品番について示す最終発注・最終出荷の条件だ。そこにNVIDIAとボードメーカーの認定品番、採用比率、在庫期間が加われば、部品のEOLがカードの生産に及ぶ時期と範囲を絞れる。Micronの24Gb品については、32GT/s品が「Contact Sales」からどう変わるか、搭載製品が実際に現れるかが分岐点になる。

8GBのRTX 5060にとって、2GB品のEOLは直ちに12GBへの増量を約束しない。しかし、同じ128bit構成を保ちながら1個あたりの容量を増やせば、カードの容量設計は変わり得る。Micronの製品状態、NVIDIAの公式容量仕様、実物の搭載品番。この三つが揃って動いたときに初めて、今回の部品変更が消費者向けカードの選択肢を変えたと言える。