Microsoft AIは2026年8月10日、画像生成モデル「MAI-Image-2.6」を発表した。匿名のモデルを人が見比べるArenaのテキスト画像生成ランキングで、OpenAIのGPT Image 2に次ぐ総合2位に入った。前世代のMAI-Image-2.5から総合スコアを79ポイント伸ばし、評価対象の8カテゴリすべてで上回っている。ただ、発表時点で試せる場所はArenaに限られ、価格や速度、詳細な提供仕様はまだ出ていない。向上した品質をMicrosoft製品でいつ、どの条件で利用できるようになるかが次の関心事になる。
2位の裏にある3,488票と「2〜3位」
Arenaが2026年8月10日13時(UTC)に更新したスナップショットでは、MAI-Image-2.6-previewのスコアは1335.7で、77モデル中2位だった。首位のGPT Image 2(Medium)は1381.1で、差は約45.5ポイントある。3位のGrok Imagine Image 2.0(Low)は1315.5だ。Microsoftのモデルは、GoogleのNano Banana 2やMetaのMuse Imageも上回った。
ただし、この順位には票数に応じた不確実性が残る。2.6が参加した比較は3,488票で、GPT Image 2の70,065票よりかなり少ない。スコア区間は1324.8〜1346.6、rank spread(信頼区間から算出する可能順位の幅)は2〜3位となっている。Arenaのraw rankでは2位が現時点の最良推定だが、3位との統計的な差が固まったとまでは言えない。
Arenaでは、利用者が同じプロンプトから生成された2枚をモデル名が伏せられた状態で比べ、好みの画像へ投票する。集まった対戦結果をBradley-Terry方式でスコア化するため、固定問題を自動採点するベンチマークとは性格が違う。実際の利用者が完成画像をどう選ぶかを捉えやすい反面、著作権リスクや安全性、生成速度、API価格を直接測る数字ではない。
全8カテゴリで伸び、3Dは114ポイント上昇
Microsoftが発表記事に載せた比較では、2.6は2.5を全項目で上回った。とりわけ差が大きいのは3Dモデリングの114ポイント、ポートレートの105ポイント、文字描画の91ポイントだ。文字と立体構造、人物表現をまとめて改善したというMicrosoftの主張を、Arenaの人間選好スコアが支えている。
| Arenaカテゴリ | MAI-Image-2.6 | MAI-Image-2.5 | 上昇幅 |
|---|---|---|---|
| 総合 | 1335 | 1256 | +79 |
| 3Dモデリング | 1362 | 1248 | +114 |
| カートゥーン | 1355 | 1270 | +85 |
| 写実・映画的表現 | 1332 | 1252 | +80 |
| アート | 1345 | 1278 | +67 |
| ポートレート | 1364 | 1259 | +105 |
| 文字描画 | 1374 | 1283 | +91 |
| 商用デザイン | 1344 | 1265 | +79 |
伸び幅は一つの能力に偏っていない。Microsoftは、文字描画の強化、ポートレートと3D画像の改善に加え、商品・ブランド・映画的な用途で仕上がりが向上したと説明する。2.5は2026年6月の発表で、高品質な生成と画像編集を売りにしていた。2.6の変化は、その制作向け路線を保ったまま、テキストから最初の一枚を作る能力を大きく押し上げた点にある。
なお、2.5が6月に獲得した「2位」はArenaの画像編集ランキングだった。今回はテキスト画像生成の2位であり、同じ順位でも評価タスクが異なる。2.6について画像編集の比較値は発表されていないため、2.5で示した精密な編集能力まで同じ幅で向上したとは判断できない。
複数参照画像は予告、価格と速度は未公表
MAI-Image-2.6には、Arenaのスコアに表れない機能も用意される。Microsoftは、複数の参照画像を扱う能力、情報との結び付きを強めるグラウンディング、推論・出力形式・解像度を調整する制御を挙げた。発表記事は詳細を「近く共有する」としており、入力枚数や対応解像度、利用できる製品は明らかにしていない。
開発者が比較に使えるモデルカードもまだない。学習データの概要、既知の制約、安全評価が示されていないため、Arenaの好みだけから業務利用の適否は決められない。前世代の2.5では、Microsoftが入力・出力フィルタを備える一方、訓練データ由来の偏りや、もっともらしい誤った視覚情報を生成し得ると説明していた。
価格も空白のままだ。MAI-Image-2.5はMicrosoft Foundryで、100万トークン当たりテキスト入力5ドル、画像入力8ドル、画像出力47ドルで提供されている。高速・低価格版の2.5-Flashは、それぞれ1.75ドル、1.75ドル、19.50ドルだ。2.6が同じ系列を引き継ぐのか、品質向上に伴って料金や処理時間が変わるのかは公表されていない。
Arena先行からFoundry展開へ

提供は三段階で進む。8月10日の発表時点では、ArenaのDirect Modeでテキストから画像を生成できる。MAI Playgroundには同じ週の後半、Microsoft Foundryとその他の製品には「近日中」に展開する予定だ。Microsoft LearnのFoundry向け資料は現時点で2.5-Pro、2.5-Flash、2.5、2e、2を対応モデルとして挙げており、2.6はまだ加わっていない。
この時間差は、順位と調達判断を分ける。Arenaで2位になった事実は、Microsoftが自社開発の画像モデルを最上位群へ押し上げたことを示す。一方、企業が制作工程へ組み込むには、APIを使える地域と出力解像度を確かめる必要がある。レート制限と価格も欠かせない。Foundryでの正式提供時にこれらが開示され、3,488票からさらに比較が積み上がったとき、2.6の品質向上を本番環境の費用対効果へ換算できるようになる。



