Teslaは2026年7月22日、第2四半期の売上高が過去最高の282億3600万ドルに達したと発表した。その一方で営業利益は前年同期比57%減り、設備投資後のフリーキャッシュフローは赤字に転じた。さらに、前回資料にあったCybercab、Tesla Semi、Megapack 3の「2026年に量産開始」という文言が今回は消えている。過去最高の売上と投資の急拡大は同時に起きたが、その支出が量産やRobotaxiの稼働拡大につながる時期は、むしろ読みにくくなった。
282億ドルの売上高と3億9800万ドルの営業利益
Q2の売上高は前年同期比26%増となった。自動車部門は23%増の205億1600万ドル、エネルギー生成・貯蔵部門は13%増の31億3900万ドルだった。サービスその他も50%増の45億8100万ドルへ伸びた。納車増とこれら事業の成長に、5億ドルの為替のプラス影響も加わった。
しかし、粗利率は直前四半期の21.1%から16.8%へ4.3ポイント下がった。営業費用は前年同期比47%増の43億5300万ドルへ膨らみ、営業利益は3億9800万ドル、営業利益率は1.4%まで低下した。前年同期の営業利益は9億2300万ドル、利益率は4.1%だった。増えた営業費用を、売上総利益の伸びでは吸収できなかった。
GAAPベースの普通株主帰属純利益は11億1400万ドルと、営業利益より大きい。Q2資料の調整表には、Teslaが保有するSpaceX株式の税引前未実現利益10億500万ドルが記載されている。Teslaはこのうち税後7億6300万ドルをnon-GAAP純利益から外した。株式の評価益はキャッシュを生まず、車両やAIサービスが稼いだ営業利益でもない。
57億8900万ドルを投じ、キャッシュは赤字へ
営業キャッシュフローは前年同期比85%増の46億9700万ドルだった。それでも、設備投資が142%増の57億8900万ドルに達したため、フリーキャッシュフローは10億9200万ドルの赤字となった。Q1の14億4400万ドルの黒字から25億3600万ドル悪化し、設備投資は一四半期で倍以上に増えた。
Teslaは2026年4月に提出したQ1のForm 10-Qで、年間設備投資が250億ドルを超えると見込んでいた。用途はAIコンピュートとデータセンターに加え、製造・研究開発ラインの拡張、自社運営のAI対応資産フリートなど広い。Q2資料は57億8900万ドルを製品別に配分しておらず、その全額をCybercabやSemiの立ち上げ費用とはみなせない。
クッションは残る。現金・現金同等物・短期投資は435億2400万ドルで、前年同期から18%増えている。ただ、Q1末からは12億1900万ドル減った。直ちに資金が尽きる水準ではないが、設備投資が営業キャッシュフローを上回る状態が続けば、この流動性がどこまで持ちこたえるかが問題になる。
「生産開始」と「量産」の間
Q1とQ2の公式資料を比べると、工場の工程は前へ進んだが、到達時期の約束は弱まった。Q1でTeslaは、CybercabとTesla Semiの量産を2026年中に始めるとし、OutlookではMegapack 3も同じ時期の量産対象に含めていた。Q2ではCybercabの生産開始、SemiとMegapack 3の2026年内の「生産開始」を示す文言に変わった。
| 製品 | Q1の記載 | Q2の記載 | まだ分からないこと |
|---|---|---|---|
| Cybercab | パイロット生産、2026年に量産 | 生産中、設置年間能力12万5000台超 | 実際の生産レートとRobotaxiへの投入台数 |
| Tesla Semi | パイロット生産、2026年に量産 | Nevada工場を試運転中、2026年に生産開始 | 量産開始日と台数 |
| Megapack 3 | Texas工場を建設中、2026年に量産 | Texas工場を試運転中、2026年に生産開始 | 出荷開始日と量産レート |
| Optimus | 量産に向けたラインを設置中 | 2026年の生産を見込んでラインを設置中 | 「量産」へ移る時期と規模 |
この表からは、3製品が2027年へ延期されたとまでは言えない。Cybercabは生産ステータスへ進み、SemiとTexasのMegapack工場も試運転段階に入ったからだ。一方、Q1で明記した「量産」の期限はなくなり、今は最初の生産と量産の間にどれほどの距離があるのか判断できない。
Cybercabの「生産中」は、有料Robotaxiフリートへの投入完了も意味しない。Q2に始まったのは生産車の公道技術試験であり、7月の走行もGigafactory Texas構内の従業員向けである。TeslaはどちらもRobotaxiフリートへ展開する前段階と説明している。車両が存在することと、有料運送で稼ぐことはまだ分かれている。
Cybercabの12万5000台超も、現在の生産台数ではなく設置済みの年間能力である。Tesla自身が、設備の稼働率、部品供給、規制などで実生産は制限されると注記している。同社はバッテリーパック能力を車両増産の制約とし、CybercabとSemi用に4680セルを増産中だ。設置能力はできた。これを実際の台数に変える工程が残っている。
7月の都市拡大は、Q2の約90万マイルにまだ映らない
TeslaはRobotaxiが米国の7大都市圏で稼働中だと説明した。ただし状態は均一ではない。Q2資料ではAustin、Dallas、Houstonとフロリダ州の3都市を「無人運行を拡大中」としているが、San Francisco Bay Areaには安全ドライバーが乗る。PhoenixとLas Vegasは準備中である。
稼働の広がりを数量で見ると、別の景色が現れる。Teslaの累積グラフでは、有料Robotaxi走行マイルが2026年6月末までに約240万マイルへ増えた。Electrekがこのグラフを四半期ごとの増加分に変換したところ、Q1とQ2はともに約90万マイルだった。グラフからの近似値ではあるが、有料走行ペースが四半期ベースで加速していないことは分かる。累積値は増え続けても、増加ペースは横ばいである。
時系列の注意も要る。DallasとHoustonの無人運行は4月に始まり、Q2の走行マイルに反映される。それに対し、Miami、Orlando、Tampaでの開始は7月で、Q2終了後だ。フロリダ展開の効果が有料走行マイルに現れるのは、早くてQ3になる。
Teslaは全都市の稼働車両数、有料乗車回数、Robotaxi売上高を開示していない。そのため、7都市圏という地図の広さを、そのままサービス規模とはみなせない。Q3で有料走行マイルの四半期増加が90万マイルを明確に上回り、Cybercabの実生産台数とフリート投入台数が開示されれば、投資と稼働の差は縮まる。製造側では、SemiとMegapack 3の出荷、そして量産レートが同じ判断材料になる。Q2決算では大規模投資は確認できた。量産の出口はまだ数字になっていない。



