電子機器や産業設備、自動車などからは、大量の熱が利用されないまま環境中へ放出されている。こうした排熱を電力へ直接変換できれば、外部電源に頼らず動作するIoTセンサーや、エネルギーの有効利用につながる新たな発電技術への応用が期待できる。その実現に向けて研究が進められているのが、材料の両端に温度差を与えることで電圧が生じる「ゼーベック効果」を利用した熱電変換技術だ。しかし、実用化には材料の物理的な特性と製造工程の両面で課題が残されている。

一つは、熱電材料に特有のトレードオフだ。温度差から生じる電圧の大きさを決めるゼーベック係数と、電流の流れやすさを表す電気伝導率は、一般にキャリア密度に対して相反する傾向を示す。電気伝導率を高めようとしてキャリア密度を増やすと、ゼーベック係数が小さくなりやすい。もう一つの課題は製造温度である。高い熱電性能を得るために高温での焼結や結晶化処理を必要とする材料では、耐熱性の低いフレキシブル基板や、微細な電子回路が形成された半導体デバイスへの直接集積が難しい。

東北大学の倉橋純也氏(研究当時、大学院生)、双逸助教、須藤祐司教授らの研究チームは、こうした課題に対し、窒化クロム(CrN)薄膜へのチタン(Ti)添加という方法で成果を上げた。2026年10月12日に学術誌『Journal of Materials Chemistry A』で公開された研究論文によると、基板を加熱せずに作製したCrN薄膜へ少量のTiを加えることで、室温での出力因子(Power Factor)を無添加の薄膜と比較して約250倍に高めたという。高温処理に頼らずに熱電材料の電気的特性を改善できたことは、熱に弱い電子デバイスにも組み込める薄膜発電技術の開発に向けて重要な成果といえる。

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250倍の向上とは何を意味するのか、出力因子の物理的定義

今回の研究成果で注意したいのは、「250倍」という数字が何を表しているかだ。向上したのは、熱を電力に変換する効率そのものではなく、熱電材料の性能指標である「出力因子(Power Factor、以下PF)」だ。両者は密接に関係しているものの、同じ物理量ではない。

出力因子PFは、ゼーベック係数 \(S\) と電気伝導率 \(\sigma\) の積によって定義される。電気抵抗率を \(\rho\) とすると、電気伝導率はその逆数であるため、次のように表せる。

\[ PF = S^2 \sigma = \frac{S^2}{\rho} \]

ゼーベック係数 \(S\) の単位はV K⁻¹、電気伝導率 \(\sigma\) の単位はS cm⁻¹などで表される。ゼーベック係数が2乗されているのは、温度差によって生じる開放電圧がゼーベック係数に比例し、回路から取り出せる最大電力がその電圧の2乗に比例するためだ。したがって、PFは熱電材料から電力を取り出すうえでの電気的な性能を評価する指標となる。

一方、材料が熱を電力へ変換する性能を、熱の伝わりやすさも含めて評価する指標が、無次元性能指数 \(zT\) である。絶対温度を \(T\)、材料の全熱伝導率を \(\kappa\) とすると、次の関係が成り立つ。

\[ zT = \frac{S^2 \sigma T}{\kappa} = \frac{PF \cdot T}{\kappa} \]

ここでの熱伝導率 \(\kappa\) には、電子による熱輸送と結晶格子の振動による熱輸送の両方が含まれる。PFが高くても、材料を通じて熱が大量に逃げる場合には、\(zT\) が同じ割合で向上するとは限らない。さらに、実際の発電素子の変換効率を評価するには、高温側と低温側の温度差、電極との接触抵抗、周囲への熱損失なども考慮しなければならない。つまり、今回報告された250倍という数字は、材料の電気的な発電性能を示す出力因子の改善率であり、発電効率が250倍になったことを意味しない。

研究チームが着目した窒化クロムは、耐摩耗性や耐食性に優れ、熱電材料としても利用が期待されている窒化物だ。ただし、高い熱電性能を得るには高温成膜やエピタキシャル成長が必要となる場合があり、室温で作製した薄膜では電気抵抗率が大きくなりやすい。その原因の一つが、結晶中で本来窒素原子が存在する位置が空いた「窒素空孔」と呼ばれる欠陥である。窒素空孔は電子を供給するドナーとして働く一方、電荷を帯びた欠陥として電子の移動を妨げる散乱源にもなる。今回の研究では、この窒素空孔を高温処理に頼らずに抑制することが、性能改善の鍵となった。

室温スパッタ成膜とチタン組成制御の実験手法

研究チームは、基板を加熱せずにCrN薄膜を作製できる反応性スパッタリング法を採用した。基板には、熱酸化膜付きシリコン基板(SiO₂/Si)と無アルカリガラス基板を使用し、成膜時の基板加熱を行わず、室温条件で薄膜を形成した。高温処理による材料特性の改善に頼らず、成膜時の組成制御によって性能を高めることを狙った実験設計だ。

薄膜の作製には、高周波マグネトロンスパッタリング装置による反応性共スパッタ法を使用した。高純度の金属クロム(Cr)と金属チタン(Ti)をターゲットとして配置し、アルゴン(Ar)と窒素(N₂)の混合ガス中でプラズマを発生させた。成膜室は背圧が \(5.0 \times 10^{-5}\) Pa以下になるまで排気し、成膜時のガス流量はアルゴンを5 sccm、窒素を2 sccm、動作圧力を0.14 Paに設定した。

実験では、クロムターゲットへの投入電力を50 Wに固定し、チタンターゲットへの投入電力を0 W、40 W、50 W、60 Wの4段階に変えた。作製した薄膜の厚さはいずれも約100 nmである。エネルギー分散型X線分光法(EDX)による組成分析では、金属元素全体に占めるチタンの原子濃度は、それぞれ0 at.%、4.6 at.%、6.9 at.%、9.3 at.%となった。チタンを添加していない試料を比較対象とすることで、添加量による物性の変化を調べた。

組成分析では、チタンの添加によって窒素の欠損が抑えられることも確認された。薄膜の組成を \(\mathrm{Cr_{1-x}Ti_xN_y}\) と表すと、無添加のCrN薄膜では窒素組成比 \(y\) が0.89であり、化学量論比の1.00を下回っていた。これに対し、チタン添加膜では \(y\) が0.92〜0.96となり、窒素の含有割合が増加した。チタンはクロムよりも窒素との親和性が高く、窒素を結晶中に安定して保持しやすいため、窒素空孔の形成を抑えたと考えられる。

ただし、窒素組成比はチタン濃度の増加に対して完全に単調増加したわけではない。全体として窒素欠損が減少する傾向は確認されたものの、結晶の配向や格子定数の変化なども材料の特性に影響すると考えられる。研究チームは、こうした組成や結晶構造の変化と電気輸送特性の関係を詳しく調べた。

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移動度が約47倍に向上、窒素空孔の抑制が電子輸送を改善

チタン添加による電気的特性の変化は、室温(300 K)でのホール効果測定と電気抵抗率測定によって確認された。無添加CrN薄膜の電気抵抗率は7.44 mΩ cmで、電気伝導率に換算すると約134 S cm⁻¹だった。これに対し、チタン添加量が増えるにつれて抵抗率は低下し、9.3 at.%の薄膜では1.21 mΩ cm、電気伝導率は約826 S cm⁻¹となった。無添加膜と比較すると、電気抵抗率は約6分の1に低減している。

この導電性の改善をもたらした主な要因は、電子の数が増えたことではなく、電子が材料内部を移動しやすくなったことにある。研究チームは、ホール効果測定によってキャリア密度とホール移動度を調べ、チタン添加による変化を定量的に評価した。無添加膜と9.3 at.%のチタン添加膜を比較すると、ホール移動度と出力因子はいずれも大幅に向上していた。

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  "caption": "無添加対照群と最大PF達成膜の実測値比較。移動度は約47倍、PFは約250倍へ向上",
  "source": "Journal of Materials Chemistry A (2026)"
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無添加CrN薄膜のホール移動度は0.0123 cm² V⁻¹ s⁻¹だったが、9.3 at.%のチタン添加膜では0.578 cm² V⁻¹ s⁻¹となり、約47倍に向上した。なお、論文によればホール移動度が最大となったのはチタン濃度6.9 at.%の試料であり、9.3 at.%ではわずかに低下しているものの、依然として高い値を維持している。

一方、電子のキャリア密度は、無添加膜の約 \(6.8 \times 10^{22}\) cm⁻³から、9.3 at.%のチタン添加膜では約 \(8.9 \times 10^{21}\) cm⁻³へと、およそ1桁減少した。これは、窒素空孔が減ったことで、欠陥から供給される電子も少なくなったためと考えられる。それにもかかわらず電気伝導率が向上したのは、キャリア密度の減少を上回るほど移動度が改善したためだ。電子の数は減っても、一つひとつの電子が欠陥による散乱を受けにくくなり、材料内部を移動しやすくなったことが、全体としての電気抵抗の低下につながった。

ゼーベック係数にも大きな変化が見られた。すべての試料でゼーベック係数は負の値となり、電子が主な伝導キャリアとなるn型の特性を示した。無添加膜のゼーベック係数は−12.5 µV K⁻¹だったが、4.6 at.%のチタン添加膜では−106 µV K⁻¹となり、絶対値が最大になった。キャリア密度が減ることで、キャリア1個当たりが運ぶエントロピーの寄与が大きくなったことが、ゼーベック係数の増大につながったと考えられる。チタン濃度をさらに増やすと絶対値はやや減少し、9.3 at.%の薄膜では−79.8 µV K⁻¹となった。

こうした変化の結果、ゼーベック係数の2乗と電気伝導率の積で決まる出力因子PFは、無添加膜の0.021 µW cm⁻¹ K⁻²から、9.3 at.%のチタン添加膜では5.26 µW cm⁻¹ K⁻²へと向上した。これは無添加膜の約250倍に相当する。ゼーベック係数の絶対値が最大となる組成とPFが最大となる組成は一致しておらず、熱電性能を高めるにはゼーベック係数と電気伝導率の両方を考慮する必要があることも分かる。

研究チームは、チタンと窒素の強い結合によってドナーとして働く窒素空孔が減少し、イオン化不純物による電子散乱が抑えられたことを、移動度向上の主な要因として挙げている。さらに、局所的な結晶構造の秩序化も電子の輸送特性を改善した可能性があるという。東北大学の発表でも、組成分析に加え、X線光電子分光法によって窒素欠陥に由来する成分の減少が確認されたと説明している。ただし、個々の欠陥による電子散乱の寄与を直接分離して測定したわけではなく、欠陥抑制による移動度改善というメカニズムは、組成分析や電気輸送特性などの結果を総合した解釈である。

試作素子の発電性能と出力密度の評価

研究チームは、材料単体の物性改善を確認するだけでなく、実際に温度差を与えて電力を取り出す熱電発電素子も試作した。評価では、チタン添加CrN(Ti-CrN)を用いたn型単脚素子、比較用の酸素ドープCrN(O-CrN)を用いたp型単脚素子、両者を同一基板上で接続した面内型(in-plane)複合素子の3種類を使用した。単脚素子は一種類の熱電材料を使う構成で、面内型複合素子はp型とn型の材料を基板上に配置し、両者の起電力を利用する構成だ。

各材料・素子の主な評価結果は以下のとおりである。

評価対象 測定指標と結果 比較対象 測定条件 解釈上の注意点
Ti-CrN薄膜(Ti 9.3 at.%) 出力因子PF:5.26 µW cm⁻¹ K⁻² 無添加CrN:0.021 µW cm⁻¹ K⁻² 室温(300 K)、膜厚約100 nm 材料物性値であり、熱電変換効率そのものではない
Ti-CrN薄膜(Ti 9.3 at.%) ホール移動度:0.578 cm² V⁻¹ s⁻¹ 無添加CrN:0.0123 cm² V⁻¹ s⁻¹ 室温(300 K)、ホール効果測定 移動度の最大値はTi 6.9 at.%の試料で得られた
Ti-CrN薄膜(Ti 4.6 at.%) ゼーベック係数:−106 µV K⁻¹ 無添加CrN:−12.5 µV K⁻¹ 室温(300 K)、温度傾斜法 ゼーベック係数の絶対値が最大となる組成とPF最大の組成は異なる
n型単脚素子(Ti-CrN) 最大出力:455.8 nW、出力密度:38.0 mW cm⁻² p型単脚素子:12.4 nW 温度差96 K 出力密度は薄膜の断面積で規格化した値
面内型複合素子(n型+p型) 開放電圧:180 mV、最大出力:122.7 nW n型単脚素子:455.8 nW 温度差97 K 高い起電力が得られた一方、内部抵抗が出力を制限した

9.3 at.%のチタンを添加したn型Ti-CrN薄膜を用いた単脚素子では、両端に96 Kの温度差を与えた際、最大455.8 nW(ナノワット)の電力が得られた。このときの出力密度は38.0 mW cm⁻²と報告されている。研究チームは、この出力密度が高温プロセスを用いて作製された既存の高性能熱電薄膜と比較しても遜色のない水準にあるとしている。

ただし、この38.0 mW cm⁻²という数字の解釈には注意が必要だ。出力密度は薄膜の電流が流れる断面積、すなわち約100 nmの膜厚とチャネル幅の積で規格化した値であり、素子が占める基板の平面投影面積当たりの出力ではない。 熱電材料の研究では有効断面積を基準に性能を比較することがあるが、太陽電池などで一般的に使われる設置面積当たりの出力密度とは意味が異なる。膜厚が極めて薄いため、断面積で規格化した出力密度が大きくても、素子全体から取り出せる電力は455.8 nWにとどまる。なお、研究チームは温度差の2乗で規格化した出力密度として、4.12 µW cm⁻² K⁻²という値も報告している。

一方、比較用に作製したp型O-CrN単脚素子では、103 Kという、より大きな温度差を与えたにもかかわらず、最大出力は12.4 nWにとどまった。酸素をドープしたp型CrNは電気伝導率が低く、内部抵抗が大きいため、十分な電流を取り出せなかったと考えられる。n型材料の特性が大幅に改善しても、組み合わせるp型材料の性能が低ければ、発電素子全体の出力が制限されることを示す結果だ。

この問題は、n型とp型の薄膜を直列接続した面内型複合素子でも確認された。97 Kの温度差を与えたところ、複合素子は180 mVという高い開放電圧を発生させた。これは、n型とp型のゼーベック効果による起電力が加算されたためだ。しかし、実際に取り出せた最大電力は122.7 nWで、n型単脚素子の455.8 nWを大きく下回った。電圧を高めても、p型領域の大きな内部抵抗や接合部の接触抵抗によって電流が制限されれば、取り出せる電力は増えない。

この結果から、研究チームは実用的な発電モジュールの開発に向けて、p型材料の電気輸送特性の改善と、電極・接合界面の抵抗低減が必要だと指摘している。材料単体で高い出力因子を達成することと、複数の材料を組み合わせて十分な電力を取り出すことは、異なる技術課題である。

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室温成膜が広げる応用の可能性と、実用化までの課題

今回の研究の重要な成果は、基板を加熱しない室温成膜によって、従来の高温プロセスを用いた熱電薄膜に匹敵する水準の出力因子を達成したことにある。高い熱電性能を得るために高温処理や特殊な単結晶基板を必要とする製法では、製造工程の制約が大きく、既存の電子デバイスとの集積も難しくなる。これに対し、室温スパッタ法で作製できるTi-CrN薄膜は、熱に弱い基板や複雑な微細構造を持つデバイスへの応用を検討しやすい材料といえる。

例えば、ビスマス・テルル系やシリコン・ゲルマニウム系などの熱電材料では、高い性能を引き出すために高温での結晶化処理や焼結を必要とする製法がある。こうした工程は、耐熱性の低い樹脂基板や有機エレクトロニクス、微細配線が形成された半導体チップへの直接集積を難しくする要因となる。Ti-CrN薄膜であれば、半導体の後工程やフレキシブル回路などへの応用も期待できる。ただし、室温で成膜できることだけで既存の製造ラインとの完全な互換性が保証されるわけではなく、基板への密着性や製造工程全体への影響などは別途検証する必要がある。

また、今回の成果を直ちに実用的な排熱発電の実現と捉えることもできない。論文で示されたのは、実験室環境での材料物性の改善と、小型の試作素子による発電の実証である。商用の排熱回収システムとして十分な出力や変換効率、信頼性を備えていることまで証明されたわけではない。

第一の課題は、実際に取り出せる電力の大きさだ。試作したn型単脚素子の最大出力は455.8 nWであり、一般的なIoT向けマイクロコントローラや無線通信機能を継続的に動かすために必要となるマイクロワットからミリワット級の電力には届いていない。もちろん、電子回路の消費電力は動作条件や間欠動作の頻度によって大きく変わるため、ナノワット級の発電にも用途は考えられる。しかし、より幅広い機器で利用するには、多数の薄膜素子を集積して出力を高めるとともに、配線や接合部で生じる損失を抑える技術が必要となる。

第二の課題は、熱電変換効率が明らかになっていないことだ。今回の研究では電気伝導率とゼーベック係数を測定して出力因子を算出したが、薄膜の面内方向における熱伝導率 \(\kappa\) は測定されていない。そのため、無次元性能指数 \(zT\) や、素子に投入した熱のうち何%を電力へ変換できるかを示す正味の変換効率は求められていない。チタンの添加によって熱伝導率も増加していた場合、出力因子が250倍になっていても、\(zT\) が同じ割合で向上しているとは限らない。材料の総合的な熱電性能を判断するには、熱輸送特性の評価が不可欠だ。

第三の課題は、実際の使用環境における長期的な信頼性である。論文の補足資料では、アルゴン雰囲気中で室温から400℃まで電気抵抗を測定する熱サイクル試験が行われ、電気的特性の可逆的な変化が確認されている。ただし、これは不活性ガス中での試験結果であり、大気中での長時間の高温暴露に対する耐酸化性や、繰り返し温度差が生じる環境での耐久性を保証するものではない。長期間の加熱による元素の拡散や、熱膨張・収縮に伴う機械的な疲労についても、今後の検証が必要となる。

熱電材料の実用化には、材料自体の性能改善に加え、電極との接合、熱の流れを制御する構造設計、複数素子の集積など、さまざまな技術を組み合わせる必要がある。今回のTi-CrN薄膜は、窒素空孔を制御することで、室温成膜のまま高い出力因子を得られることを実証した点に意義がある。一方、実用的な発電デバイスへの発展には、性能の高いp型材料との組み合わせや界面抵抗の低減、熱伝導率の評価、実環境での耐久試験が欠かせない。今後は、材料レベルの性能向上を、実際に利用できる電力の増加へどこまで結び付けられるかが焦点となる。