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AppleがAmazonのAIチップを採用し効率40%向上と公表 – AWS再投資でAI開発体制を強化

Y Kobayashi

2024年12月4日

Appleが同社のAIサービス基盤にAmazon Web Services(AWS)の独自AIチップを採用し、検索サービスで40%の効率向上を実現していたことが明らかになった。また次世代AIモデルの事前学習にも、最新のAWSチップの採用を検討していることが判明した。

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AWSのカスタムAIチップが支えるAppleのクラウドサービス

AWSの年次カンファレンス「AWS re:Invent」において、Appleのシニアディレクター(機械学習・AI担当)であるBenoit Dupin氏が登壇し、同社がAWSの独自チップを広範に活用している実態を明らかにした。Appleは10年以上にわたり、Siri、Apple Maps、Apple Musicなどの主要サービスでAWSのインフラを利用してきた。

特筆すべきは、AmazonのInferentiaおよびGravitonチップの採用により、検索サービスにおいて従来のIntelやAMD製x86プロセッサと比較して40%の効率向上を達成したことである。これはAppleがプライバシーとセキュリティを重視しながらも、クラウドインフラの最適化を積極的に推進していることを示している。

次世代AIモデル開発に向けた新たな展開

特に興味深い発言が、AppleがAWSの最新AIトレーニングチップ「Trainium2」の評価プロセスを開始したことが明らかになった点だ。Benoit Dupin氏が明らかにしたTrainium2による「事前学習の効率で最大50%の向上」という数値は、特にApple Intelligenceのような大規模なAIモデルの開発において、著しいコストと時間の削減につながる可能性を示唆している。

この動きの背景には、AppleのAI開発インフラに関する興味深い変遷がある。同社は先にリリースした研究論文において、iPhoneのAIサービスであるApple IntelligenceのトレーニングにGoogle CloudのTPUチップを使用していたことを明らかにしている。AWSのTrainium2への関心は、より効率的なAIモデルの開発手法を模索する同社の取り組みの一環と見ることができる。

AWS CEOのMatt Garman氏がCNBCに語ったところによると、AppleはTrainiumチップの初期採用者としてベータテストから参画していた。「Appleは生成AI機能の構築に向けて、我々に支援を求めてきた」というGarman氏の発言は、両社の協力関係が単なるインフラ提供を超えた戦略的なパートナーシップに発展している可能性を示唆している。

特筆すべきは、このトレーニングインフラの選択がユーザーのプライバシーに直接的な影響を与えないという点である。Apple Intelligenceの実際の処理は、iPhoneやiPad、Macに搭載された自社チップ、もしくはAppleが運営するサーバー上のM系列チップで実行される。Trainium2の評価は、あくまでもAIモデルの事前学習段階に限定されており、このアプローチによってAppleは効率性とプライバシーの両立を図ろうとしている。

また、この動きはAI業界全体にとっても重要な意味を持つ。現在、AI訓練の大半は高価なNVIDIAのグラフィックプロセッサに依存している状況にある中、Appleのようなテクノロジー業界の巨人がAWSの独自チップを採用することは、NVIDIAに依存しない新たなAIトレーニングアプローチの実現可能性を市場に示す強力なシグナルとなるだろう。


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