あなたの脳は現在、体が消費するエネルギーの約5分の1を使っているが、そのほとんどはあなたがしていることには使われていない。これらの文章を読んだり、椅子に座って体の重さを感じたりといった行為を全部合わせても、脳のエネルギー消費量はほとんど変わらず、わずか1%程度にすぎない。
残りの99%は、脳が自ら生み出す活動に使われている。つまり、一生懸命考えているとき、テレビを見ているとき、夢を見ているとき、あるいはただ目を閉じているときでさえ、ニューロン(神経細胞)は互いに発火し、シグナルを送り続けているのだ。
視覚専用の脳領域においてさえ、目から入ってくる視覚情報がニューロンの活動に与える影響は、この内部で継続している活動よりも小さい。
Psychological Reviewに掲載されたばかりの論文の中で、私たちは、想像力がこの背景にある脳活動を「彫り込む」ことによって、心の目に映るイメージを形成すると主張している。実際のところ、想像力は生み出す脳活動よりも、沈黙させる脳活動とより深く関わっているかもしれないのだ。
「逆再生」としての想像
「見る」という行為がどのように機能するかを考えてみよう。光が目に入り、神経信号を引き起こす。その信号は視覚専用の複数の脳領域を順番に伝わっていき、各領域が前の領域の処理結果をもとに作業を積み上げていく。
最初期の領域は輪郭や線といった単純な特徴を抽出する。次の領域はそれらを形に統合し、さらにその先の領域は物体を認識する。そして最上位の領域が、顔や場面全体を組み立てる。
神経科学者はこれを「フィードフォワード活動」と呼ぶ。生の光が、犬や友人といった名前をつけられるものへと段階的に変換されていくプロセスだ。
脳科学における従来の通説では、視覚的な想像はこの視覚プロセスを逆方向に実行するもの、すなわち目から入る光ではなく、心の内部から始まるプロセスだとされてきた。
友人の顔を思い浮かべるとき、まず視覚システムの外側にある領域の「ファイルキャビネット」から、その人の記憶や名前といった抽象的なイメージを引き出す。
そのイメージは視覚経路を逆向きに降りていき、初期視覚野へと到達する。初期視覚野は、顎のラインの曲がり具合や瞳の色合いといったパーツから顔を再構築する「脳のワークショップ」ともいえる場所だ。この下向きの信号は「フィードバック活動」と呼ばれる。
ノイズの中のシグナル
しかし先行研究によれば、このフィードバック活動は、実際に何かを見ているときと同じように視覚ニューロンを発火させるわけではない。
少なくとも視覚処理の初期段階にある脳領域では、フィードバックは脳活動を直接引き起こすのではなく、調節する。つまり、ニューロンがすでに行っている活動を増減させ、そのニューロンが現在している活動を作り変えるのだ。
目を閉じていても、初期視覚野は実際の視覚処理に使われるパターンに似た、変化し続ける神経活動のパターンを生み出し続けている。
想像力は顔を一から構築する必要はない。素材はすでにそこにある。視覚野の内部で鳴り続けるざわめきの中に、あなたが知っているすべての顔の断片が、小さな音量で漂っている。友人の顔も、今この瞬間も、バラバラになって認識されないまま通り過ぎているのだ。想像するとは、それらの断片を運び去ってしまう流れを一時的に止めることだ。
必要なのは、別の方向へ引き寄せられているニューロンに対する、小さく的を絞った抑制だけだ。そうすることで友人の顔がノイズの中から浮かび上がってくる。まるでシグナルがノイズを切り開くように。
脳を操る
マウスの実験では、感覚脳領域のわずか14個のニューロンを人工的にオンにするだけで、そのマウスが反応し、砂糖水の注ぎ口を舐めるのに十分だった。これは、脳への介入がいかに小さくても行動を誘導できるかを示している。
人間において、意識的な想像の経験へと内部活動を誘導するのに何個のニューロンが必要かはまだわかっていないが、神経活動を抑制することの重要性を示す証拠が積み重なってきている。
私たちの以前の実験では、人々が何かを想像したとき、それが行動に残した痕跡は、ニューロンの発火ではなく、活動の抑制に対応していた。その後、他の研究者たちも同じパターンを発見している。
この理論を裏付ける証拠はほかにもある。約100人に1人はアファンタジア(頭の中でまったくイメージを形成できない状態)を持つ。一方、約30人に1人は、実際に見ているイメージに近い鮮明さでイメージを形成し、これはハイパーファンタジアと呼ばれる。
研究によれば、精神的イメージが弱い人ほど初期視覚野の興奮性が高く、ニューロンが自発的に発火しやすい。これは、自発的なパターンを一定の形に保ちにくい視覚システムと一致している。
これらすべてを総合すると、想像力が継続的な脳活動の流れの中からイメージを彫り出すという私たちの新理論「自発活動再形成仮説」は、なぜ想像が通常、実際に見ることより弱く感じられるかを説明する。また、私たちが想像と現実をほとんど混同しない理由も説明できる。
視覚知覚は、脳自身の内部パターンには及ばない強さと規則性を持って到達する。想像力はそれらのパターンに逆らうのではなく、ともに働き、すでにそこにあるものを「ほぼ見える」何かへと作り変えていくのだ。
本記事は、サンシャインコースト大学トンプソン研究所の研究員兼講師 Thomas Pace氏とシドニー工科大学(UNSW Sydney)健康学研究科 上級研究員 Roger Koenig-Robert氏によって執筆され、The Conversationに掲載された記事「How does imagination really work in the brain? New theory upends what we knew」について、Creative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、翻訳・転載しています。