Yuanjie Semiconductorが2026年3月25日に香港取引所へ提出した上場申請書は、CICの予測として、データセンター向け光インターコネクト市場が2030年に1444億ドルへ達すると記した。2024年の137億ドルから年平均48.1%で伸びる計算で、単純に割れば10.54倍である。AIデータセンターの配線需要を連想しやすい数字だが、これはCPO(Co-Packaged Optics)だけの市場予測ではない。用途、伝送速度、光技術という別々の軸から同じ市場を分けて見た予測である。

申請書はドラフトであり、未完成かつ変更される可能性があると明記する。CICの調査はYuanjieが有償で委託したもので、公開情報と業界関係者への面談を社内モデルで検証したという。したがって1444億ドルは確定売上ではなく、需要増、技術進歩、政策支援が続き、市場へ重大または根本的な影響を及ぼす極端な不可抗力や想定外の業界規制がないことを置いた予測値として読む必要がある。

それでも表の中身は、どの用途と部品で供給制約が生じるかを考える材料になる。2030年の成長をCPOの導入だけに還元できない理由は、三つの内訳に表れている。

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1444億ドルを作る用途・速度・技術の三表

用途別では、2030年に最大となるのはscale-outの645億ドルである。AI以外のデータセンター向けは402億ドル、scale-upは321億ドル、scale-acrossは76億ドルと予測する。scale-upの年平均成長率は561.5%と最も高いが、2024年の基数が表示上0.0になるほど小さかったことによる。成長率が最大の用途と、2030年の売上が最大の用途は同じではない。

用途 2024年売上 2030年売上 2024〜2030年CAGR
非AI 59億ドル 402億ドル 37.5%
scale-out 76億ドル 645億ドル 42.7%
scale-across 1億ドル 76億ドル 108.5%
scale-up 0.0億ドル(表示上、基数が小さい) 321億ドル 561.5%

速度別では、1.6Tが656億ドル、3.2Tが445億ドルに達する予測である。二つを足すと1101億ドルで、1444億ドルの76.2%を占める。200G以下は33億ドルから12億ドルへ減り、400Gは59億ドルから63億ドルへほぼ横ばいになる一方、800Gは45億ドルから267億ドルへ伸びる。2025年時点で400Gと800Gは全面的な商用展開に達し、販売数量の約半分を占めるという業界記述とも整合する。

速度 2024年売上 2030年売上 2024〜2030年CAGR
200G以下 33億ドル 12億ドル マイナス15.4%
400G 59億ドル 63億ドル 1.0%
800G 45億ドル 267億ドル 34.8%
1.6T 0.0億ドル(表示上、基数が小さい) 656億ドル 867.3%
3.2T 0.0億ドル(表示上、基数が小さい) 445億ドル 2024年の基数なし

速度表は、1.6Tが量産・出荷を始め、3.2Tは研究開発中という2025年時点の説明と並べて読むべきだ。2030年の売上配分は、今日の提供状態を写したものではない。なお用途別、速度別、技術別の三表は同じ市場を異なる切り口で分けたものであり、各表の金額を横に足して市場規模を作ることはできない。

SiPh63.7%はCPOの市場比率ではない

技術別の予測でSiPh(Silicon Photonics)の売上は、2024年の40億ドルから2030年の919億ドルへ増える。市場に占める比率は29.4%から2027年に50.2%、2030年に63.7%となる見通しだ。この63.7%はSiPh技術の売上比率であって、CPOの売上比率でもCPOの採用率でもない。

SiPhは、変調器や受動部品をPIC(Photonic Integrated Circuit)へ集積する技術区分である。非SiPhトランシーバーは光チップと電気チップに加え、受動光部品や基板・機構部品を使う。申請書は、SiPhでは部材構成がSiPhチップとレーザーへ集中すると説明する。シリコンは効率よくレーザー光を出す材料ではないため、SiPh方式はCWレーザーを外付けまたは異種集積の光源として使う。例示では400G SiPhトランシーバーに50mWまたは70mWのCWレーザー2個、1.6Tには70mWまたは100mWを4個使うが、これは製品設計によって変わる一般例である。

SiPhの増加がIII-V系レーザーの需要減を直ちに意味しないのは、この光源の分担による。OpenLightは2026年3月、Tower Semiconductorと開発したPH18DA InP-on-silicon基盤について、NewPhotonicsの800G・1.6Tレーザー集積PICで初の量産注文を得たと発表した。対象用途にはDSP/LPOプラガブルとNPOが含まれる。SiPhの売上拡大は、CPOの普及だけで説明されるものではない。

プラガブル、NPO、CPOは、光エンジンをスイッチASICのどこへ置くかで電力、密度、保守性の配分を変える。申請書の比較では電気リンク長がプラガブルで150〜250mm、NPOで30〜100mm、CPOで15mm未満となる。CPOは電気経路を短くして密度と電力面で有利になる一方、プラガブルより保守しにくい。現時点の主流である光トランシーバーは、前面から着脱でき、モジュール単位で保守でき、成熟した互換性と長距離適応を備える。CPOがすべての用途を直ちに置き換えるという話ではない。

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量産開始と市場普及の間

2026年の一次資料には、CPOと高速光部品の実装が前へ進んだことを示す発表が並ぶ。ただし、それぞれが指す導入状態は異なる。NVIDIAは5月31日、Spectrum-X Ethernet Photonicsを生産中と発表し、CoreWeave、Lambda、Oracle Cloud Infrastructureを初期のエコシステムパートナー・採用者に挙げた。一方、製品ページにある提供時期は2026年後半である。

NVIDIAのSN6800はSpectrum-6 ASICを4個搭載し、409.6Tbps、800Gbpsで512ポートまたは200Gbpsで2048ポートをうたう。電力5倍、AI稼働時間5倍という比較値も示すが、同社が定めた比較条件による値であり、CPO一般の性能値にはできない。生産中という言葉と、どの顧客がいつ利用可能になるかは分けて見る必要がある。

Broadcomは2025年10月、200Gbps/laneで102.4TbpsのTH6-Davissonを発表した。16基の6.4Tbps光エンジンと、交換可能な外部レーザーモジュールを備えるCPOスイッチである。発表本文はshippingとするが、提供欄ではearly-access顧客とパートナーへのsamplingと記す。出荷の表現は、広い商用提供を意味すると決めつけられない。

TSMCも2026年4月、COUPE on substrateを使うCPOソリューションが2026年に生産を始めると発表した。プラガブル版に比べて電力効率は2倍、遅延は10分の1とするが、これもTSMC固有の比較である。OpenLightの量産注文は、顧客と用途が限られた企業発表であり、市場全体の量産規模を表す数字ではない。production、early-access sampling、提供予定、量産注文を一つの「普及」として数えると、現状を早く見積もりすぎる。

予測を現実の売上に変える条件

CIC予測の背後には、単価の高い高速品へ移るという前提がある。だが、1.6Tや3.2Tの需要見通しがそのまま出荷額になるわけではない。高速品を量産する歩留まり、光エンジンとCWレーザーの供給、先端パッケージの能力をそれぞれ満たしたうえで、顧客認定と運用手順まで通す必要がある。保守性でプラガブルに利点が残ることも、導入場所を分ける条件になる。

この予測の計算式、面談先、誤差範囲は公開されていない。委託調査である点を含め、1444億ドルを一点の答えとして受け取るより、用途別ではscale-out、速度別では1.6T、技術別ではSiPhが最大になるという三つの方向を確かめる基準にした方がよい。2026年後半のSpectrum-Xの提供状況、early-access samplingから先の商用展開、そして3.2Tの量産・出荷が、予測を実需へ近づける次の証拠になる。