欧州委員会は2026年7月10日、MetaのFacebookとInstagramが「依存を促す設計」を適切に評価・軽減していないとして、デジタルサービス法(DSA)違反との暫定見解を示した。無限スクロールや動画の自動再生を初期状態で無効にし、利用を中断させる仕組みを強め、推薦システムをエンゲージメント偏重から改めるよう求めている。まだ最終決定ではない。それでも今回の認定は、利用者や保護者に管理を委ねる従来の安全策では足りず、サービスを開いた瞬間から働く設計をMeta自身が変えるべきだという判断を明確にした。

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無限スクロールを「初期設定」から外す要求

欧州委員会が問題視したのは、無限スクロールと自動再生である。プッシュ通知や、個人ごとに最適化された推薦も対象に含めた。いずれも新しいコンテンツを途切れなく差し出し、利用者が止める判断をする前に次の刺激を与える。Associated Pressが伝えた暫定見解によると、委員会はこうした設計が利用者を「自動操縦」のような状態へ導き、強迫的な利用を促し得るとみている。

ただし、委員会が個々の利用者を医学的な意味で依存症と診断したわけではない。DSAが問うのは、大規模なサービスの設計が身体・精神の健康に及ぼす「システミックリスク」を企業が十分に調べ、効果のある対策を講じたかどうかだ。対象には未成年者と脆弱な成人が含まれる。

Metaは利用時間の通知や保護者向け管理機能をすでに提供している。だが委員会は、時間制限が簡単に解除・無視でき、保護者が設定を理解して運用するには知識と手間が要ると判断した。ここで分かれたのは機能の数ではなく、初期状態で何が起きるかである。利用者が自分で止める設定を探す構造から、事業者が過剰利用を招く機能を初めから抑える構造へ、責任の置き場所が変わる。

2024年から積み上がった二つのMeta案件

今回の暫定認定は、2024年5月に始まった調査の延長線上にある。欧州委員会は当時、FacebookとInstagramのアルゴリズムが子どもの行動嗜癖を刺激し、特定のコンテンツへ深く入り込ませる「ラビットホール効果」を生むおそれがあると説明した。調査はMetaが2023年9月に提出したリスク評価書、同社の回答、公開資料、委員会独自の分析から始まった。

同じ手続きには年齢確認の問題も含まれていた。委員会は2026年4月、13歳未満の利用を防ぐ対策について別の暫定違反認定を出している。子どもが登録時に虚偽の生年月日を入力しても有効な確認が働かず、登録後の発見と削除も不十分だという内容だった。

二つの認定は別の論点を扱うが、実務では重なる。年齢を正しく把握できなければ未成年者向け保護を確実に適用できない。一方、年齢確認を通過した利用者にも、無限スクロールや自動再生が初期状態で働く。欧州委員会は入口の年齢確認と、入った後の利用設計を並行して審査することで、未成年者保護をアカウント設定の問題からサービス全体の構造へ広げた。

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DSA第34・35条がプロダクト設計へ届く

DSA第34条は、非常に大規模なオンラインプラットフォームに対し、サービスの設計、機能、アルゴリズムから生じるシステミックリスクを特定・分析・評価するよう義務付ける。第35条は、その結果に応じて「合理的、比例的かつ有効」な軽減策を実装するよう求め、対策例にインターフェースを含む設計や機能の変更を明記している。

法律の前文はさらに踏み込む。広告を中心とする事業モデルに合わせてサービスが最適化されること自体が社会的懸念を生み得るとし、推薦システムや広告システム、関連するデータ利用まで評価対象に含めた。DSAは無限スクロールという特定機能を一律に禁じる法律ではない。だが企業が利用を伸ばすために採用した設計が健康リスクを増やすなら、その設計を変えるところまで執行が届く。

現段階でMetaに確定した制裁や実装期限はない。DSA第73条では、欧州委員会が暫定見解と必要と考える措置を示した後、企業が調査資料を確認し、書面で反論できる。最終的に違反が確定すれば、委員会は期限を定めて是正を命じられる。罰金の上限は前会計年度の世界売上高の6%であり、Metaには是正計画と独立監査を組み合わせた強化監督も適用し得る。

TikTokに続く同じ処方箋

欧州委員会は2026年2月、TikTokにも依存を促す設計を理由とした暫定違反認定を出した。そこでも無限スクロールと自動再生に加え、通知や高度に個人化された推薦が問題視された。時間管理ツールは簡単に解除できるため、有効性が足りないとされた。委員会が示した改善策は、無限スクロールの停止と夜間を含む実効的な休止、推薦システムの変更だった。

FacebookとInstagramへの今回の判断は、同じ評価軸を短尺動画中心のTikTokから、フィード、Reels、友人関係を組み合わせたMetaのサービスへ広げたことになる。製品の見た目が違っても、行動データを使って次のコンテンツを選び、切れ目なく表示し、再訪を通知で促す仕組みは共通する。委員会は個別アプリの名称より、利用を長引かせる一連の動作を見ている。

同じ基準は、2025年7月の未成年者保護ガイドラインにも表れていた。ガイドラインは、自動再生やプッシュ通知などを初期状態で無効にし、子どもの行動履歴より本人が明示した意思を推薦に優先するよう勧める。順守は任意であり、自動的にDSA適合が保証される文書でもない。それでも委員会は第28条の適合性を判断する参照点として使うため、企業側には事実上の設計チェックリストとして働く。

規制はさらに広がる可能性がある。欧州委員会が7月9日に公表した約5,000人の子どもへのEU全域調査では、48%が利用者を長くとどめる依存的な設計への規則を求めた。結果は、2026年中に予定されるデジタル公正法の準備にも使われる。DSAの執行で巨大プラットフォームの個別案件を進めながら、消費者保護法制にも設計規制を組み込む流れだ。

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Teen Accountsで残る問い

Metaは暫定見解に対し、調査開始後にTeen Accountsを導入し、未成年者を自動的に厳しい設定へ入れたと反論した。同社によると、保護者は夜間の利用を止め、1日当たりの上限を15分まで短くできる。Instagramで始まった仕組みは2025年にFacebookとMessengerへ広がり、非公開設定や接触・コンテンツの制限も組み込まれた。

Teen Accountsは、誰と交流できるか、どの内容を見られるかという安全性を高める。一方で、保護者が時間制限を設定する方式は、無限スクロールや自動再生が初期状態で動く設計への回答にはなっていない。委員会の暫定見解は、家庭ごとの管理能力に依存するほど保護の実効性に差が出るとみている。

Metaが今後示すべきなのは、機能を追加した事実より、その機能で深夜利用や長時間利用がどれだけ減り、年齢別にどんな差が出たかという結果である。欧州委員会が最終決定で初期設定の変更範囲と実装期限をどう定めるか、独立監査で効果を測れる指標を要求するか。この二点が、FacebookとInstagramの欧州向け設計を実際に変えるかどうかを左右する。